第19章 最後の季節のプリンセスコーデを目指して

 地下パラでは、以前のように誰でもアイドルの雰囲気で、楽しみながらライブができた。
 その日は、ガァルルが初めてライブをするというので、わたし達も応援に行った。
 彼女は、小さなボーカルドールではなく、かつてのファルルくらいの大きさになって、時計をモチーフにしたメルヘンクロックコーデで登場した。
 歌もダンスも苦手なのに、ファルルの持ち歌に挑戦していた。
「大丈夫かな?」
「なんでも、今日のためにものすごく練習したそうよ」

 ガァルルは途中で転倒しても、すぐに立ち上がり、なんとか最後まで歌いきった。

 セレパラでの拍手とは全然別の性質の暖かい拍手が客席から送られた。

 わたしは、やはり、セラパラよりこういうプリパラの方がいいなぁ。

 ようやく、冬の寒さが和らぐ頃、ゆうき達もようやくトップにランクアップした。
 なんとかスプリングドリーム大会にも出れそうだ。

「無事、大会にエントリーできそうだね」
「例によって、あと2人呼ばないと」

 その時だった。
「あ、あみさん居た!」
 サマードリーム大会で一緒にライブしたコだった。
「トップ以上だから、チームメイトがなかなか見つからなくて。もし良かったら、チームに入れてもらえないかな」
「ナイスタイミングだよ。わたしたちもチームに入ってくれる人を探してたから」
「でも、プリパラアイドルもセレパラ歌劇団の5人となるとお願いできるかな」
「まずは探してお願いしてみよう」

 しばらく歩くとあろまに出会った。
「あ、あみ。汝、みかんを見なかったか?」
「わたし達も探してるんだけど」
「我と一緒に居たいのでセレパラ歌劇団を辞めて戻ってくると連絡があったのだが…」
「戻って来ないの?」
「うむ。全力で走って、途中で腹を空かせて倒れているやも知れん」
「ならば探さないと」
「それでここまで来たものの、悪魔は体力不足である。少し休んでいたのである」
「じゃ、わたし達が探してくるよ」
「ならば、この白き皮に包まれし豚の屍を持って行くがよい。助かった。汝らを一生呪ってやる」
 あろまはそう言って、肉まんをわたしに託した。

 わたし達が肉まんを持ってしばらく行くと、道に誰か倒れていた。みかんだった。
「みかんちゃん、大丈夫?あろまさんから肉まん預かってきたよ」
「ありがとうなの。もう大丈夫なの」
「良かった」
「お礼をするなの。何か欲しいものがあったら言ってなの」
「別にお礼なんていいけど、一緒にスプリングドリーム大会に、またわたし達とエントリーしてくれたら嬉しいな」
「おやすい御用なの。一緒にライブしようなの!任せてえーんじぇるーん!」

 さて、メンバーは5人集まった。
「さて、センターは誰にしようか」
「これまで、ゆうき、わたし、れみがセンターだから…」
 わたしはメンバーを見回した。
 ゲストのコと目が合った。
「あ、私はレギュラーじゃないし、後衛でいいよ」
「じゃ、順番からいけばゆうきかな」
「夏に私が参加したときもゆうきさんがセンターだし、ちょうどいいんじゃないかな」
「じゃ、センターはゆうきで」
「戦力的にはあみがセンターのほうが良くない?」
「大丈夫。ゆうきだってトップなんだし。楽しくライブして、コーデさえゲットできればOKだよ」

 スプリングドリーム大会の課題曲は、なんと、飛行機の上で歌う!
 もちろんホログラメーションによる演出なんだけど、その後も世界の名所が次々と現れる。
 毎度毎度、なかなかに凝ったステージなので楽しい。

 もう、ベルの鳴らし方も慣れてきた。わたし達は無事、四季のプリンセスのコーデを揃えることができた。

 わたし達がカフェで祝杯、とはいってもジュースだけど、をあげていると、テレビの画面にめが姉ぇさんが登場した。
「プリパラパンポーン。お知らせでーす」

「お知らせだって。何だろう」
「システムに異常が発生しました。現在、復旧しましたが、その影響でセレパラは廃止になりました」
「まぁ、地下パラのほうが楽しかったし、昔に戻るのはいいんじゃない」
「併せて、ドリームシアターのスタンプカードも廃止になりました。システムでーす」

 どういう事?今までみたいに順番にフルコーデが手に入らなくなるの?


今回のプリチケ

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