第18章 セレパラの時代

 とうとう、その日は来た。
 わたし達はライブをエントリーしようとしたけど…
「ゆうきさんとれみさんはランクが低いのでここではライブできません。システムでーす」

 どうやら、セレパラが始まってしまったようだ。
「どうしよう」
「スプリングドリーム大会のためには、あみだけでもライブをしておいたほうがいいよ。私たちは客席で見てるから」
「とはいえ、一人だとつまらないよ」
「いっそ、芸風を変えて、一時的にソロをやるとか」
「でも、3人か5人でエントリーだよ。ソロはないはず」
 わたしの指摘に対して、れみはスマホを取り出した。
「こんなアプリがあるんだよ」
「プリチケメーカー?」
「うん。これは、自分が一度でも着たコーデだと、コーデもチケットのポーズも指定できるんだ」
「へぇ。でも、それをどう使うの?」
「このアプリ、ドリームシアターは未対応だけど、なぜかソロに対応してるんだ」
「そういえば、最近、レアなコーデを選ぶと、センターのソロのプリチケになるし、その関係かな」
「3人一緒がいいけど、レアコーデも欲しいし、あれは悩むよね」
「脱線したけど、つまり、それでソロを指定すれば…」
「ソロライブが出来るって寸法ね」
「でも、芸風ってどうすればいいのかな」
「うーん、どうしよう」

「どうしたぷり?」
 わたし達が困っているところにみれぃが通りかかった。わたしが事情を説明する。
「なるほど。ランクが足りているのはあみだけというわけぷりね。まぁ、私もランク足りないかられみたちと一緒ぷり」
「で、わたしがソロでつなぐんだけど、どんな芸風でやろうかなと」
「そうぷりね。私の計算によると、物真似路線がいいぷり。あみは私たちプリパラアイドルとたくさんライブしたから、みんなの特徴を知っているぷり」
「なるほど」
「そして、その3DSソフトで私たちのサイリウムコーデと髪型メニューを登録できるぷり」
「さすがです。みれぃさん。でも、物真似なんかしたら、怒られないかなぁ」
「ちょっと待つぷり」
 みれぃがみんなに連絡を取ってくれた。
「わぁー、面白そう。見てみたい!あたしの物真似も見せてね。かしこま☆」
「ぷしゅ〜。いいんじゃない…」
「試行錯誤。色々試すのはいいことだ。ライバルとして応援する」
「まぁ、本物のボクの実力が引き立つし、面白いんじゃない?でも、ちゃんとやってよね」
「ドロシーがそう言うなら」
「ファルルも物真似は得意だったんだよ。今度、物真似合戦しようね」
「我の下僕となるに形から入るのだな。よかろう。汝の物真似見せてみよ」
「あろまは物真似を見たいって言ってるなの。天使も大歓迎なの」

「怒るどころか、大ウケだったぷり。みんな見てみたいって言ってるぷり」

 こうして、わたしは物真似9変化ライブを行ったのだった。

 その日は久しぶりにゆうき、れみと3人でお茶をしていた。
「物真似ライブ、けっこうウケてるね」
「おかげさまで。まぁ自分で見ても偽者っぽいから逆に嫌味がないのかな」
「いっそ、その路線で行く?」
「いやいや、やっぱりわたし達3人で自分らしいライブやりたい」
「きっとそう言うと思ってた」
 そう。やっぱり自分らしさが一番。
「あ〜あ。3人でライブしたいなぁ。ライブしないとあたしたち、いつまでもトップに上がれないよ」
 ゆうきの言葉に、下のほうから返事が返ってきた。
「ライブ、できるガァル」
「えっ?」

 わたし達の足元に小さなボーカルドールがいた。そういえば、以前このミニファルルがたくさんプリパリから来たってニュースを見た。
 でも、目の前にいるボーカルドールは髪が黒く、顔つきも他のミニファルルと違っていた。
「ガァルル、歌もダンスも苦手。でも、大きくなってライブしたいガァル」
「ガァルルさん?ライブできるってどういう事?」
「地下に古いステージがあるガァル。地下パラは誰でもライブできるガァル」

 へぇ、そんなところがあるんだ。行ってみる価値はある。
「ガァルルと一緒に行くガァル?」
「うん。みんなで行こう」

 こうして、物真似アイドルはセレパラを去り、以後、地下パラでまた3人でライブすることになったのでした。


今回のプリチケ
        
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