第2部 ドリームパレード編

 第10章 チーム結成!ライブいっくよー!

 その日、わたしはプリパラ内のカフェでお茶していた。
 ピシ、ピシピシッ。
 何かが割れるような音が聞こえる。
「何の音?え、あっ!」
 なんと、わたしのマネージャーの卵にヒビが入っている。
 パリッ!
 卵が割れて、紫色のネコのぬいぐるみが飛び出した。
「君のマネージャーネコ。よろしくネコ」
「よろしくね。ネコさん」
 そらみスマイルのクマさん達を見たことがあるおかげで、わたし達はそう驚くこともなく挨拶をした。

 と、ゆうきから電話がかかってきた。
「あみ、あたしのマネージャーの卵から生まれたよ。可愛いトリのぬいぐるみ!」
「わたしのもさっき生まれたんだ。ネコなのになぜか卵から生まれた」
「わぁ、見たい見たい!今どこにいるの?」
「プリパラのカフェだよ。来る?れみも呼ぼうか」
 その時、
「その必要はないみたいよ」
 れみの声がした。いつのまにか隣の席にれみがいた。
「マネージャー生まれたから、ここに来ればだれか友達いるかなって思って来てみたんだけど、ビンゴだったね」
 わたしは電話の向こうのゆうきに、
「ははは、れみもここに居たわ。早くおいでよ」

「ねぇ、知ってる?ドリームシアターってのができたんだって」
 ゆうきが到着し、マネージャーを見せ合って、しばらく話し込んだあと、れみが聞いてきた。
「あ、そういえば聞いたことある。なんか、すごい設備のライブ会場が出来るって噂になってたね」
「あ、そうなんだ」
 さすがに、まだなかなかプリパラに来れないゆうきは知らなかったみたいだけど、確かに話題にはなっていた。
「それがオープンしたんだって。一度行ってみない?」
「いいね」
 わたし達はオープンしたてのドリームシアターへ向かった。

「えっ?料金が倍?」
「はい。システムでーす」
 ドリームシアターはエントリーにかかる料金は倍だけど、それに見合った設備で、将来的には5人でライブできるとの事だった。
「高いけど、どうする?」
 わたしは二人に聞いてみる。
「せっかくだし、あたしはやってもいいよ」
「どうする、って、あみの顔には「やってみたい」って書いてあるよ」
「ははは・・・じゃ、やってみようか」

 しかし、いざエントリーしようとすると、めが姉ぇさんが、
「エントリーできませーん」
「え?」
「TVライブを3回こなさないと扉が開きません。システムでーす」

「ということは、今、シアターオープン以来、2回ライブしてるから」
「あと1曲だね」

 結局、わたし達はあと1曲ライブしてからエントリーした。時間はまだあるから、ライブは体験できる。

 わたし達はドリームシアターに入った。
 ライブ会場にはいつもより大きなステージがある。代わりにランウェイはないみたいだった。
 いつもよりステージは広いのに、バックダンサーの人もいない。3人だけのライブ。

 曲が始まった。
 いきなりホログラメーションが稼動し、わたし達は商店街の路上にいるようなセットの中で歌った。
 しばらくすると、商店街がパタパタと変形し、セットが公園に変わる。
 そして、サビの部分になると、なんと富士山の上で歌っている。

 確かに、これは楽しい。

 今回の曲は歌のなかでやたらとトモチケをパキる。また、入荷するコーデも「トモチケこうかんコーデ」だった。
 ドリームシアターではスタンプカードを貰って、スタンプと引き換えに6種類のコーデを一式セットで順番に貰える。
 そして、プリチケの倍の大きさのドリチケとよばれるチケットが作られる。
 料金は倍だけど、フルコーデだから、逆に割安かも。
「ところでさ、トモチケこうかんコーデで思い出したんだけど」
 わたしはふと頭によぎった話題を切り出すことにした。
「え、何?」
「わたし達、3人だし、マネージャーも生まれたし、アレ、やってみたいんだ」
「アレって、もしかして?」
 そう。チーム結成式。チームになる3人がマネージャーの立会いのもとで祝詞を唱えてトモチケを交換する。
「そうだね。ここのところ、基本この3人だもんね」
「二人は「あみゅーず」ってチーム名にしてたんだよね。名前はそのままいくの?」
 れみが訊く。そういえば、何も考えてなかったな。
 そこへ、ゆうきが提案する。
「れみも入ったし「レアみゅーず」なんてどうかな」
「あ、それいいかも」
 わたしも賛成する。
「え、変えてもいいの?」
「もちろん。3人のチームだもん。それじゃ、それで決定ね。マネージャーさんたちもいいよね」
「いいネコ!」
「了解トリ!」
「OKネコ〜!」
 わたし達はすぐさま結成式会場を予約しに行った。

 そして、会場を予約した当日になった。

 わたし達は3人で向き合って、プリチケを2枚ずつ持って立った。
「プロミス 友情を信じて」
 まず、わたしが2枚まとめてトモチケ部分をパキる。
「リズム 刻んで」
 次はゆうき。
「パラダイス 求めて」
 最後にれみがパキる。そして、3人で声を合わせて、
「ライブすることをここに誓います」
 右手、左手それぞれでそれぞれとトモチケを交換する。

「トモチケ交換を認めるネコ!」
「結成式は成立トリ!」
「チーム結成をここに宣言するネコ〜!」

 わたし達のチームが誕生した瞬間だった。

「それじゃ、結成記念ライブをドリームシアターでやろうか」
「うん、いいね!」
 わたしの提案にゆうきも乗ってくる。しかし、れみは、
「それはいいけど、その前に一度ライブしてきてもいいかな」
「いいけど、ランクアップまでまだまだあるよ?」
「独身最後の思い出みたいなやつ?」
「いや、そうじゃないんだけど…」

 そして、れみはライブ会場に向かった。

「ただいま」
 帰ってきたれみを見て、わたし達はびっくりした。
 れみの髪が瞳と同じ濃いピンクになっていた。
「ライブしないと、メイクルーム行けないから。私、もともとが地味だから、いつかチームを組む時にはイメチェンしたかったんだ」
「なるほどね。元が地味かどうかは別として、結構似合ってるよ」
「あみは時々髪型変えてるよね」
「うん。でも、なかなかどの髪型が似合うか難しくて」
 最近は髪を左右でおだんごにまとめる髪型にしてる。これまでトモチケ交換した人とかぶってなかったし、結構気に入ってる。

 その時、控室に以前トモチケ交換したことのあるコが入ってきた。
 このコとは、その時はたまたま同じこむぎ肌ったことで、日焼けについて延々トークしたんだっけ。
「こんにちは。あ、あみさんだっけ。前にライブしたよね。アタシのこと覚えてる?」
「覚えてるよ。こむぎ肌同盟の仲間だもんね。実は今日はわたし達、チーム結成式をしたんだ」
「へぇ、おめでとう。でも偶然だね。アタシたちも今から結成式に向かうところなんだ」
 よくよく考えれば、結成式会場の控室だもん。当たり前か。
 わたし達はお互いのチームメイトを紹介した。
「アタシたちは、あ、『進撃の巨人』って知ってる?」
「人食い巨人から身を守るため、壁に囲まれた街で兵士たちがが巨人と戦うやつだよね」
「うん、アタシたちはその漫画のファンつながりでチームになったんだ」
 うーむ、結成の経緯って人それぞれだなぁ。
 あ、このコに意見を聞いてみようかな。
「ところで、さっきうちのチームで話題になってたんだけど、わたしの髪型だけど、どれが似合うかな?」
「そうだねー。セインツのみあみたいなウェーブのロングとかが似合いそうかなって思ったけど、今のおだんごが似合ってるんじゃないかな」
 その意見に対して、
「確かに今のこれ、可愛いんじゃないかな」
「うん。全然違和感ない」
 わたしのチームメイトたちも肯定する。
「実は、リーダーから話を聞いて、あみさんをプリパラTVで見かけた時、その髪型だったから、我々のあみさんのイメージは完全に今の髪型ですよ」
 先方のチームメイトまで太鼓判を押してくれる。
「それじゃ、わたしはこの髪型をベースにします!」
 私が宣言すると、一同拍手で盛り上がる。しかし、なんなんだ?このノリは。

「だったら、このあとお披露目ライブだよね」
「うん、今日は遅いから次回でいいかとも思ったけど、せっかくだからやっちゃおうかな」
「やっちゃいなよ。記念日だし。アタシたちも結成式のあと見に行くし」
「じゃ、ドリームシアターでライブしてくるね」

「ところで、せっかくの記念ライブだけど、コーデはどうしようか?」
「何か合わせられるのがあればいいんだけど」
「だったら」
 れみが何か思いついたようだ。
「ねぇ、あみとゆうきが「あみゅーず」時代に最初におそろいライブした時のコーデは?」
「たしか、カエルちゃんコーデだったはずよ」
「じゃ、今回もそれでいこうよ。そうすれば、私にとってもカエルちゃんコーデが思い出のコーデになるし」
「決定だね。じゃ、ライブ、行くよ!」
「おーっ!」

 わたし達のユニット、いよいよ始動です!


今回のプリチケ

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