第7章 ハイセンスの日々
年末。わたしは毎年、一年無事のお礼参りに神社に行っている。ここの参堂で柚子最中とせんべい、そしてお正月用の佃煮を買う。
どちらかというと、それが楽しみな気もするけれど。
神様に拍手を打ちつつ…
「今年はとても楽しかったです。来年も楽しい一年になりますように」
神社の帰り、紅白歌合戦というわけではないけれど、歌い納めにプリパラに寄ってみようかな、と思った。
明日の大晦日は、このせんべいをかじりながら紅白見るから今日がプリパラ納めだ。
確か、年越しイベントで、レアリティの高いコーデを入荷するってポスターを見たような気もするし。
プリパラに着くと、ちょうど二人組のコがいた。ライブに誘ってみよう。
「こんにちは」
「あ、お久しぶり!」
そのうちの一人はかつて、わたしに声をかけてくれたコだった。そうそう。このコに誘われて、わたしも色々とトモダチをふやそうと思ったんだっけ。
「今日は友達と来てるから、一緒にライブしようよ」
今年のプリパラ納めはなかなかに楽しいライブが出来た。年明け前にご利益があったかな。
そして、年が明けた。
冬休みなので、時間を合わせてわたしとゆうきはプリパラへ来た。受付で、わたし達は卵のようなものを渡された。わたしには紫色、ゆうきには緑色の卵だった。
「それはマネージャーになるマスコットの卵でーす」
めが姉ぇさんがそう説明する。そういえば、そらみスマイルにはピンクのクマのぬいぐるみがマネージャーとしてついていたっけ。ということは、この卵から生まれる子がわたしのマネージャーになるのか。
わたしは卵をまじまじと見た。なんか、猫耳みたいな突起がある。ゆうきの緑の卵には鳥の尻尾のような突起がある。
「どんな子が生まれるか楽しみだね」
「うん」
そんな話をしながら、ライブ会場へ行き、わたしたちはライブした。その日、プリズムストーンショップに入荷したのは店のショップブランドのワンピだった。2つとも、同じデザインの色違い。
「へぇ、かっこいいデザインだね」
「わたしもゲットしたからおそろいライブできるね」
わたし達が話をしていたら、店に居た前髪で片目が隠れた女の人がこちらに近づいてきた。
「そのハイセンスワンピ、気に入ってくれたならコズミック嬉しいわ」
「あなたは・・・?」
「北条コスモ。デザイナーよ」
なんと、あのサイリウムコーデや今手に入れたハイセンスコーデを生み出したデザイナーさんに会えた。これもご利益かな。
「これを着てライブしてね。テラコズミック応援してるから」
この人は接頭語がすべてコズミックになるのか。芸術家って独特な人いるよね。
「ぜひ、このコーデでライブさせてくださいね」
「コズミック楽しみにしているわ」
そう言って、コスモさんはトモチケを交換してくれた。
数日後、わたしは一人でプリパラに来ていた。この日はなぜかあまり人がいなかった。
ライブする仲間を探そうとすると、ベンチにそふぃが座っていた。最近はそふぃは少しずつリハビリして、常にくらげ状態ではなくなっているようだ。
わたしはうどん屋で貰った小梅があったので、それを差し出してライブに誘ってみた。
「いいわ。小鳥ちゃん。ちょうど私の姉と姉妹ライブをするところだったから、一緒に行きましょ」
そふぃ、お姉さんがいたんだ。
「そふぃ、レッドフラッシュをコズミック持ってきた…って、あら?」
そこに来たのはコスモさん。
「ええぇーっ、コスモさんとそふぃさん、姉妹だったんですか?」
北条姉妹と一緒にライブして、プリズムストーンショップに入荷したのは…両方ともハイセンスコーデ。それも今着てライブしたやつだった。それならいっそ、今着てるワンピをランクアップしよう。けっこう気に入ってる服ではあるんだよね。
実にそれから数日間、ひたすらにハイセンスコーデが入荷されたのだった。人が少ないのはそのせいだったのかも。
ああ、わたしもそろそろ新しい服が欲しいよーー!
今回のプリチケ
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