第45章 近づく終焉
あみは久しぶりのスタジオでのライブを終えて楽屋に戻ってきた。とりあえず、最初に手に入れたスカートでささっと作ったミックスコーデだったのだが…
「いいミックスですね」
フィーアさんが声をかけてくれた。そういえば、年始の挨拶でまたライブしたいって話をしていたな…
「フィーアさん、もう一つミックス作るからデュオしませんか?」
「いいですよ。お正月にそんな話もしてましたよね」
あみは赤系統でミックスを作った。フィーアさんもミックスコーデだ。そして、デュオを終えた後、あみはミックスに使ったアイテムを元のコーデセットに戻そうとして…
「あれ?」
残りアイテムを組み合わせてもミックスコーデになりそうだ。
あみはとりあえず着てフレンドカードを作ってみたのだが…
「とはいえ、この謎ミックスじゃ需要ないかな…」
「あら?あみさん!ミクコの研究でもしてるんですか?」
「実験みたいなものかも…」
「なら、ちょうどデュオで実験したいことがあるから、デュオしましょう」
「需要あった?!で、何の実験ですか?」
「このコーデでね」
ミラクルベアのカラバリだが、クレアさんが着ると普通にかわいいのだが、どこが実験なのかよく判らない。
「このもふもふの手袋でマナマナエンゲージのイリュージョンすると、指輪どうなるのかなって」
「うーむ、考えたこともなかったな…」
こんな調子で、あみはいつものようにプリマジをしていた。そして、ある日のこと。
「じゃ、このみゃむ様の合図で順番に入場するんだぞ」
みゃむの説明を聞くのは何度目だろう。あみはふと思った。今日はスタジオのひな壇プリマジスタなのだが、毎回みんなでこの説明を聞いている。
ふと見回すと、一緒にライブしたことのないプリマジスタを含めて、皆一度は見かけたことのある顔だ。そして、殆どのプリマジスタとは一緒にステージに立っていた。
「わたしも長い事やってきたなぁ」
そこで、あみが思いついて提案した。
「ねぇ、ここにいるみんなでステージしない?」
「えっ?どういう事?」
メンバーの中にいたFOXさんが訊く。
「今ここにいるわたし以外の15人を3班に分けて、最初はわたしと1班でステージを始めるんです。そして、フロートに乗る時にメンバー交代、イリュージョン終了で後半ステージに立つ時にメンバー交代すれば、16人のステージってわけ」
「面白そう!」
「でも、大丈夫かなぁ…」
心配そうにしているプリマジスタもいる。
「じゃ、初めての人達でスタート…あと一人、あかりさん、誘導も兼ねて1班でいいですか?」
「わかりました」
「2班はFOXさん、ゆきさん、うるさん、ゆきおんなさん、ただのヘタレさんでイリュージョンやりましょう」
「確かに、あみさんとプリマジした事のあるメンバーだし、確実ですかね」
「で、3班がはぁるる♪さん、やすなさん、にぱさん、つぼみさん、メロディさんでクライマックスでどうですか」
「なんとなく、2班と3班は今立っている場所で線引きしただけのような気が…」
「それでも、うまくまとまったんじゃないですか?」
「ところで、コーデのテーマはどうします?」
「賑やかライブはルール無しの方が面白いから、お気に入りのコーデでOKです!」
「よし!じゃ、楽しんでやりましょう!」
16人はひな段での役割を終えると再集合した。
あみは実は以前にチェリーシュガープリンセスコーデを手に入れた時、この企画を思いついていたのだが、人数集めが難しそうだったので断念したことがあったので、今回はそのコーデを用意した。集まったメンバーもそれぞれのコーデで色違いはあっても、特にコーデがかぶる事もなかった。
「行くよー!」
あみの掛け声で1班メンバはステージに飛び出した。
「ワッチャ、ワッチャ、ワッチャ、ワッチャ、3・2・1、ワッチャー!」
曲が始まる。そして、最初のパートが終わると2班のメンバーと交代してフロートに乗る。
「マナマナ!」
「マジパ!」
「チュッピ!」
イリュージョンが発動する。
そして、コーデメイツたちのいる階段ステージで3班が待機している。
曲が終わると、最初のステージに5人、フロートに5人、階段ステージに6人。みんなで思い切り手を振った。大成功だ。
「お疲れ様―!」
みんなでドヤドヤと楽屋に戻る。
「そういえば、おしゃれプリンセスコーデの色違いって…たしか大会の」
「あ、私のですか?今、復刻してるからそれで手に入れたんです」
あみは、ひょんな事から大会の情報を入手したのだった。
そんな事があり、翌日。れみはあみからの電話で目が覚めた。
「朝からどうしたんですか?」
「今、大会復刻開催してるんだって!行こう!」
「そうなんですね。じゃ、支度しますね」
「コーデゲットしたら、松のやでとんかつ食べようね」
「普通、勝負メシって、事前に食べる気がしますが、まあいいでしょう」
「とんかつって、断面を下にして食べると、最初にお肉の味が楽しめて、後から揚物の味になるから2倍楽しめるってネットで誰かが言ってたから、昨日、店の前で厚切りのポスター見て今日試そうって思っただけだったんだけど、そっか、確かに勝負メシだね」
あみとれみが復刻大会の会場に到着するとひめめが出迎えてくれる。
「ついに最後のプリンセスコレクションね!今まで私と一緒に踊ってくれてありがとう!本当ならまた、1000年の眠りにつかなきゃいけないのに全然眠くならないの!おしゃれプリンセス達と集めたワッチャの力で奇跡が起きたの!これからもみんなにコーデを届けられるわ!今日のステージでは永遠のおしゃれプリンセスコーデがゲットできるの!フルコーデを集めて終わりのないおしゃれを楽しみましょう!」
ふーむ、本来ならひめめはまた眠りにつくはずだったのか…
「あみ、どのコーデで行くんですか?」
「ジャンピングラビッツ揃った黒も揃ったから、自前でできるし、どうかな」
「確かにとみとぜんいつさんでやっただけですからね」
「じゃ、コーデゲットめざしてがんばろう!」
「はい!」
最後の大会を終えたあみはそのまま、
「そうそう。エンジェルバブルイエローも揃ったんだよね」
せっかくなので、続けてソロを一曲やることにした。
そして、ライブ後に貰えるマイフォトを見ていたら楽屋にとみが入ってきた。
「この前考えて使わなかったミックスコーデを試しにきたんだけど…あみ、どうしたの?」
マイフォトを見るあみの表情に気付いたようだ。
「実はね…」
あみはとみにマイフォトを見せる。
「なるほどね。衣装の泡の飾りで顔が隠れて…ない?」
「そう。事故フォトなんだけど、透明の飾りだから顔は写ってるんだよね」
袖や肩の飾りの大きな衣装や束ねた髪で顔が隠れる「事故フォト」は所謂「プリマジスタあるある」の一つだ。
「これ、ネタ写真か事故写真かでアンケート取ると面白いかもね」
とみはライブ動画を一時停止して、
「これは100%ネタ写真だよ」
あみがイリュージョンでクリスタルの中で眠る演出に泡がかぶさって、漫画の鼻提灯のようになっていた。
「冗談はさておき、とみのライブの後めちゃマジダンスの収録だね」
「このミクコで大丈夫かな?」
「かわいいと思うよ」
しかし、この後のめちゃマジダンスの放映で、あみ達に衝撃が入ることになるのだった。
「ねえ、右下に何かメッセージ出てるよ」
「何かな…えっ!?」
それはプリマジスタジオ終了のお知らせだった。
今回のフォト
一部の画像提供:クレアさん
今回のソロ・デュオ・チームユニット
あみ
あみ&フィーアさん
あみ
クレアさん&あみ
あみ&よねくらさん/ゆめみさん&あかりさん/やまださん&あいりさん
あみ&FOXさん/ゆきさん&うるさん/ゆきおんなさん&ただのヘタレさん
あみ&はぁるる♪さん/やすなさん&にぱさん/つぼみさん&メロディさん
れみ&あみ
あみ
とみ
参考:アンケートしたマイフォト
(結果はネタ67%、事故33%でした)
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