第46章 ありがとうライブ

「いよいよこの日が来たね」
「やると決めてから半年以上経ちましたからね」
「ネタ探しの卒業旅行、春真っ盛りだったよね」
「結局、スタジオそのものが無くなる事態になったから、時期的にはいいかもしれませんね」
「うん。まさに怪我の功名!」
「あみ、威張って言う事じゃないよ…」
 三人はこんな話をしながらも、ブランドコラボの服で気合を入れてプリマジに来た。
 とらいあんぐる☆ARTのありがとうライブをやると告知した当日。今日は貸し切りで自分たちだけのライブイベントだ。

「…で、本当に私だけ参加でいいの?」
 楽屋にはモモカさんが来ている。途中でコラボユニット「ツインズ」の出番を考えてオファーしていた。
「もちろん!ツインズも私の中では大切なユニットですから」
「やっぱり、ゲストのサプライズ参加は盛り上がるし、大歓迎!」
 言いながらあみが時計を見る。
「さて、そろそろ開始の時間だね」
「オープニングはこのままブランドコラボ服でいいんだよね」
「うん」

「お前らーっ!準備はいいかー!」
 MCのみゃむのひと声で会場のボルテージが上がる。
「みなさーん!」とれみ。
「ゴーゴー!」とあみ。
「よろしくね!」ととみ。
「ワッチャ、ワッチャ、ワッチャ、ワッチャ」
「スリー!」
「ツー!」
「ワン!」
「ワッチャーっ!」
「プリマジー!」
 レスポンス&コールで会場が一体となってライブイベントが始まった。
   
「次は、基本に返って、コーデは使わずにスタジオTシャツで行っちゃうよー!」

  
「最初にソロデビューした『はじまりのプリンセス』あみ!」
「次にデビューし、デュオを組んだ『はばたきのプリンセス』れみ!」
「最後にデビューし、チームユニットを組んだ『きらめきのプリンセス』とみ!」
「プリンセスコレクションのコーデで行きます!」

   
「とみの着てるコーデ、スカートの真ん中にシースルーなんだよね」
「ロングとミニの両方の雰囲気が出るから面白いって話になって、あたし一人が着るのもね…」
「というわけで、全員色違いでもう一曲いきますね!」

  
「わたし達って、食べ物の話ばかりしてるってイメージがあるみたいだけど」
 あみのコメントに会場から笑いと同意の声があがる。
「だから、食べ物モチーフのコーデでいってみよー!」
 会場が笑い声に満たされた。

  
「さて、ここからはデュオ曲行っちゃうよ!」
「まずは私ととみでいきます」
「あ、わたしのトイレ休憩じゃないからね!」
「あみ、何ボケてるんですか…」

    
「次は私とあみが交代して、とみとあみです!」
「バンキッシュハートの色違いで行っくよー!」

     
 二人のデュオが終わると、れみが再び登場する。
「次はれみとわたしだと思うでしょ?」
 あみの問いかけに会場がざわつく。
「ここで、サプライズゲスト!モモカさん登場です!」
「コラボユニット「ツインズ」でのデュオです!」
「前半戦、最後の曲です!楽しんでね!」

   
 前半のプログラムが終わり、れみがマイクを取った。
「ここから暫く休憩です!私だけ二つのユニットをさせてもらった代わりに、休憩中はリハーサルでこっそり撮ったとみとあみの秘蔵映像をモニターで流しますので楽しんでくださいね」
「ちょ、れみ!いつの間にこんなモノを!?」
「後半の衣装のネタバレまで入ってる…」

             
「後半は去年の春、わたし達が三人で行った旅行の思い出を元に選んだコーデからスタートです。私は遊園地で乗ったカルーセル」
「あたしは温泉宿の浴衣!」
「わたしは夕食バイキングで食べたお寿司!」
「あみはやはり食べ物ですね…」
 ここで笑い声が起こる。
「そして、遊園地のパレードで見た花の妖精!二曲続けてどうぞ!」

      
「次からはミックスコーデライブ、行きますよーっ!」
「まずはおしゃれにお出かけがテーマだよ」
「続いてはレッツダンス!アクティブにいっくよーっ!GoGo!」
「それではまた、二曲続けて!レッツプリマジ!」

           
「そして、やっぱりグループなら制服!」
「お正月にもやりましたけど、ハッピーセーラーでやりますよ!」

  
「そして、いよいよ最後の曲!」
「卒業コーデでしめます」
「みんな、今まで本当にありがとう!」

   
 曲が終わると、会場からアンコールの声が上がる。
 舞台裏ではメンバー3人とマナマナ達が、
「良かった…アンコール用の考えてて」
「六人でいくはに?」
「うん。マナマナの三人も含めてのわたしたちのチームだもん」
「そうです。ぱたのさん達は私達と一緒にこれまで歩んできた仲間ですから」
「でも、全員でステージに上がったら、誰が合いの手やるはに?」
「そこはドローンでやるしかないね」
「ちょっと寂しいけど仕方ないですね」
「そろそろ行かなきゃ」
「だね」

 あみたちがステージに上がった。マナマナたちも人の姿になり、一緒に登場した。一体感を出すため、全員Tシャツを使ったコーデだ。
「皆さーん、アンコール、ありがとうございまーす!」
「では、アンコールは一緒にやってきたマナマナのはにたん、きゃろん、ぱたのも一緒にフィナーレ曲!」
「Magic of the people!」

     
「本当に楽しかった!」
「お疲れ様」

 楽しかった1日が終わった。
 これから、スタジオ閉鎖までの間、悔いのないプリマジライフを送ろうと思うあみ達なのだった。

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