第40章 オールスターコーデ・プリパラ

「うーむ」
「まさか、最後の思い出作る!といった後にこうなるとはね…」
「そういえば、プリマジでやりたいプリティーシリーズの曲のアンケートしてたから、予想はできたんでしょうけどね」

 ファイナルありがとうライブまでの期間に、プリティーシリーズの曲とコーデが順次導入されるというニュースが入ってきたのだ。
 あみとれみは別の世界線上の別の時間軸でプリパラで出会ったのがきっかけで、異世界のプリチャンではルームメイトとして同居するなど、なぜか引き継いだ記憶がある。その思い入れのあるプリパラがその第一弾という。
「まぁ、ライブの日は告知したわけじゃないからまだ暫くは思い出作り続けてもいいよね」

 こうして、いとも簡単にオールスター・プリパラ編への参戦が決まったのだった。

 そして。
「意外と高レアのはずの神コーデが先に揃いましたね」
「曲はファルルのものなので、マリオネットミューサイリウムは揃えたいところだね」
 そんなことを言いながらサイリウムコーデを狙う際に、いつの間にかノクターンスカイコーデが揃った。
「いつの間にか揃ったといえば、この前の思い出大会の最後に出たぺんぺんぺんぎん、あれ、れみが持ってるのと合わせたら揃ったんだよね」
「そうなんですね」
「ノクターンスカイでライブする前のランウェイで着てみようかな。あのコーデ、手が使えなくてダンスしづらいけどかわいいし」
「いいんじゃないですか。色としてはいちばんペンギンっぽいですしね」
「そういえば、あたし、プレミアムプランが切れる直前にかわいいTシャツ買ったけど、お小遣いピンチでプラン更新してないからまだステージでは着てないんだよね」
「くまくまパークのTシャツですね。かわいいです」
「貸そうか?」
「ありがとうございます!さっそく着て出かけましょう!」
 とみ本人はコーデ集めのゲン担ぎに「もってない」Tシャツを着ている。
「くまくまパークか。でも、大丈夫かな?あのテーマパーク」
「何が?」
 あみの唐突な疑問にとみが訊く。
「いや、今年はどんぐりが少なく人里に熊が出てけが人出てるじゃない?」
「他にも、ハンターが駆除したら市役所に動物虐待だってクレームが来たり、色々大変みたいですね」
「確かに、最近、クマが害獣扱いされてるよね」
「なんか、ごめんはに〜」
 横で聞いていたはにたんが言う。そういえば、普段はくまのぬいぐるみの中にいる。
「まぁ、それはそれとして…」
 れみが借りたTシャツに着替えるべく服を脱ぎながら、
「あみはあそこに干してあるTシャツがいいんじゃないですか」
「カレーとシチューの柄のやつ?」
「確かにあみの普段のイメージかもね。いつも何か食べてる感じ」
「ひどーい!」

 三人でTシャツスタイルでプリマジに向かい、まず、あみがソロでノクターンスカイコーデを着てみる。
 あみが楽屋に戻ってくると、
「せっかくですし、Tシャツ合わせもやろうかって話してたんですけど」
「いいけど…わたしはカレー…」

 Tシャツライブをしてから再び楽屋に戻るとクレアさんが来ていた。
「おや、とみさん、話題のTシャツですね」
「話題?」
「プリマジコーデとしてだけでなく、一般のアパレルとしても売りだされて、結構人気だとか」
「そうなんだ」
「買いに行きます?」
「いやいや、これで十分…」
「クレアさんはこれからステージですか?」
「あみさん達との思い出シリーズ、また参加したいと思って。でも、そのコンセプトなら、私はやはりサマメにすべきですよね…」
「確かに、夏はあのコーデで盛り上がったからね」
「でも、朝晩肌寒いこの時期だとさすがに季節外れで運営から止められちゃうかも…」
 クレアさんが不安そうに言うが、
「大丈夫。ステージは魔法で動くから温度調節もできて多分OKだと思う。知らんけど」
 その会話が聞こえたらしく、後ろから声がかかった。
「アツいプリマジ!最高じゃん!夏のリゾート満開のコーデで参加しちゃうじゃん」
「ひな先輩!」
「季節外れとツッコミがきても、最後に勝つのは弥生ひな!これっきゃないじゃん!」
 力強い味方を得て、れみのノクターンスカイお披露目のバックは夏真っ盛りの水着になった。
「でも、よく考えたら、私のコーデもおなか出てるし、脚以外の露出は水着と変わらない気がします」
「確かに…」
 季節の乖離の激しいライブは結局実際には何の違和感もなく実施されたのだった。

 こうして、色々やっているうちにプリパラコーデは全てコンプできたのだが、結局まだ予定のライブをしていない。
 3人の都合が合った日に3人でプリパラの楽曲「morning」をしようとしていたのだが…
 この日、あみはれみと買い出しに来ていた。れみがツインズでのライブの予定が入ったので、差し入れがてらの買い物だった。
「今日はこの菓子パンでどう?」
 あみが示したのは神戸屋の「サンミー」という菓子パンだった。クリーム入りのデニッシュにチョコをかけたケーキ生地が乗って三つの味を一度に味わえるパンだ。
「あ、たしかによく見かけるけど、食べたことないかもしれません」
「この前テレビでローカルの菓子パン扱ってて、大阪で知名度すごかったのを見たんだ」
「神戸屋なのに大阪ですか?」
「隣の大阪の人ですらよく食べるのに、地元のわたし達が見たことある、程度じゃダメなんじゃない?」
「ていうか、単にテレビで見ておいしそうだから食べたくなったんですね」
「え、まぁ、そういった面も否定できないような…」
 れみにはお見通しのようだった。
 と、とみから連絡が入った。八重さん達と会ってプリマジに向かっているとのことだった。
「じゃ、とみ達の分も買おう」
「ちょうど6個ありますね」
「買い占めしてるみたいだ…」

 そして、あみとれみがプリマジに到着した。とみ達も来ている。
「わたし達も3人揃ったから、念願の「morning」やっちゃおうか」
「全員マリオネットミュー?それとも全員別のサイリウム?」
「うーん、マリオネットミューかな」
 あみ達が相談していると、初音さんが
「私と八重もサイリウムコーデ持ってるので、皆さんが統一なら、私たちと3種類サイリウムで両方やるのはどうですか?」
と提案があり、とらいあんぐる☆ARTで統一コーデのライブをすることになった。
「わぁ、プリパラと同じで階段降りる演出あるんだね」
「まさか、連続イリュージョンとか…」
「さすがにそれはありません」
 アニメでのプリパラでは、ファルルが連続メイキングドラマをする話がある。ただし、曲は違っていたが。
 そして、続いてあみと初音さん、八重さんでのコーデ3種バージョンだ。
「あみさんがセンターなら、主役のらぁらのドリームテゥィンクルリボンですかね。初音がファンタジータイムで私がマリオネットミューでいきましょう」

 そして、その後で。
「差し入れの菓子パン、ありがとうございます!」
「あれ?6個?」
「うん。もうすぐ来ると思うよ、てか、来たみたい」
 モモカさんが入ってきた。
「あれ?今日はツインズの…?」
 れみだけだと思って驚くモモカさんに
「まぁ、色々とね」
「あたしは八重さんと神コーデデュオしようかって話してて」
「モモカさんがシャインーニングディーバプリンセスなら、私も神コーデで合わせてもいいかもですね」
 他の二人がデュオをセッティングしているのを見て、
「じゃ、わたしは…」
 言いかけたところで初音さんが、
「あ、私、予定があるので、八重が終わったら失礼しますので」
「そっか…じゃ、わたしはソロで神ライブしようかな」

 そして、最初はとみの番だが、フレンド紹介では八重さんのアクセが無かった。
「アクセ、読み込みエラーになっちゃった」
「そういえば、昔はアクセのエラー、すごく多かったらしいよ」

 舞台裏ではその経験者だったあみが、
「なかなか読まなくて、ライトでQR照らしたり、カチャカチャ左右に振りながら読ませたり、みんな色々チャレンジしてたなぁ。特にあの頃はコーデの初期化が無かったから、最初に付けたアクセがドラクエの「呪いのアイテム」みたいにずっと付いてたりしたっけ」
などと体験談を語っていた。

 幸い、本番では無事にアクセを読み込めて、デュオができたのだった。
 そして、次はれみとモモカさんのツインズでのデュオだ。
「コラボユニットの時は髪型はツインテにしないとね」
 モモカさんは時々髪型を変えるが、ユニットの時はこの髪型だ。

 最後にあみがソロで踊り、新イリュージョンを発動させて舞い上がる。
「見て見て、わたしの女神のステージ!」

 ライブ後、3人はその場面などを振り返りながら、
「神スカート、ちょっと動いただけですみれ色のインナーが出ちゃうよね」
「そうそう。あみがイリュージョンで舞い上がる時なんて丸見えでしたし」
「スカートと同じ色じゃないから余計にね」
「神装備なのに守備力低すぎだよね」
「だからひらがな標記で「かみコーデ」なのかも」
「あ、でも逆に、ファイティンコーデとかのスパッツみたいにもともと出てる衣装だけど、角度によってはミニスカに見えてドキドキで「神!」なのかも」
 などど、神のコーデに対する不謹慎なミニスカ談義に花を咲かせたのだった。


今回のフォト
                                                  
今回のソロ・デュオ・チームユニット

あみ


あみ


とみ&れみ&あみ


れみ/とみ&ひな/クレアさん&あみ


とみ&れみ&あみ


初音さん&あみ&八重さん


八重さん&とみ


れみ&モモカさん


あみ


前へ表紙へ次へ