第38章 思い出いっぱい作ろう -Day2・ハロウィン-

「さて、どうしたものか…」
「結局食べるだけだよね」
「それはそうですが…私たち、完全に似た者同士ですね」
 あみの部屋に集まったとらいあんぐる☆ARTの三人。目の前には朝食にと買ってきたパンがあるのだが…

 時を少し戻そう。

 あみはその日、なんとなくメロンパンが食べたくなって、近所のセブンイレブンで「ふんわりメロンパン」を買ってきた。れみ達が買ってくるパンもシェアするし、デザートの菓子パンという位置づけで買ってきたのだ。あみがコーヒーを用意していると、
「おはようございます」
 れみが訪ねてきた。
「ローソンでポスター見て、食べ比べしようかなと思ってこれ買ってきました」
 れみが袋から出したのは、普通の「ふわサクっ!メロンパン」と変わり種の「じゅわバタ塩メロンパン」だった。
「これ、メロンパンって甘いイメージありますからね。どんなものか楽しみです」
「れみ…わたしもメロンパン用意したんだよ…」
「あらあら。かぶってしまいましたね」
 そこへ、
「おはよう!」
 とみが到着した。と、いきなりあみが、
「とみ、まさかあんた…」
「えっ?カメムシは付いてないよ?スカートめくらないでよ…」
「いや、そうじゃなくて、買ってきたのがメロンパンだったりしないかって事ですよ」
 れみが言うと、とみがキョトンとした顔になって、
「へ?なんで判ったの?」
 とみの持ってきた袋の中には「ファミマ・ザ・メロンパン」「バタークロワッサンメロンパン」「生メロンパン(ミルクホイップ)」と、3種類のメロンパンが入っていた。
「ファミマでメロンパンいろいろってポップ出てたから、3人でシェアしたら全部味わえるなって思って買ってきたよ」
 とみは言いながらテーブルの上を見て、急にテンションが下がった。
「一気に倍になった…」
「大手コンビニ3社のメロンパンがコンプリートしましたね…」

 そして、冒頭の場面となる。
「普通のメロンパン3種は袋から出してお皿に入れたら、どれか判らなくなる自信あります」
 そう言うれみの目の前で、とみが律義に普通のメロンパン3個を律義に3等分しながら、
「そういえば、うちのお母さん、この手のメロンパンの事、「サンライズ」って呼んでるなぁ」
「確かに、ちっちゃい頃通ってたパン屋さんのメロンパンはオムライスというかラグビーボールというか、そんな形で…」
「中にメロン風味の白あんみたいなのが入ってるやつ?」
「そうそう。で、そのお店ではこの手のパンはサンライズって書いてあったの思い出した」
「でも、それ神戸のローカルネタらしいですよ」
 そんな話をしながら食べ始める。
「さて、この生メロンパンは…」
「中にクリーム入ってるね」
「おいしいですけど、メロンパンでもクリームパンでもない立ち位置ですね。こちらの塩バターは上の甘い部分と中の塩バターの塩味、2つの味ですね」
「甘いお菓子と塩辛いおつまみを交互に食べると無限に食べられるってやつの応用かな」
 そう言いながら2つの味を楽しんでる横で、あみはガブリと食べて味が口のなかで喧嘩している状態になっていた。
「そっか…空洞の上と下を交互に食べるのか…それならこっちのファミマの方も…」
「これは普通にバタークロワッサンの上に大粒の砂糖がまぶしてあるから一気にかじってもいいんじゃない?」
「でも、これメロンパンを名乗らなくてもいいような気がします」
「確かに、どれもおいしいんだけど、メロンパン食べたくなったら普通にサンライズ系がいいのかもね。ところで、さすがに何か飲みたくなってきた…」
 そこでコーヒーを淹れようとしてそのまま忘れていることに気付くのだった。

 3人が集まったのは別にメロンパン談義をするためではなかった。今日は「プリマジで思い出いっぱい作ろう大会」を告知した日だった。
「この後、ハロウィンシーズンだからハロウィンライブってことで募集かけたんですよね」
「うん。だから、それを考えてコーデ用意しないとね」

 プリマジに到着して最初に到着したのは…
「ただのヘタレです」
 エルザさんの仲間のプリマジスタだった。
「ヘタレなのでエルザに黙って仮装として人魚姫のコーデ持ってきました」
「それじゃ、私と人魚デュオしましょうか」
 れみが受ける。
「よろしくお願いします」
 そこへいなりさんが入ってきた。
「今、限定でやっているミラクルベアの新色があるので、ケモ耳ライブはどうです?」
「面白そうですね。ところで、隣にいるのは…?」
 いなりさんの隣にもう一人のプリマジスタがいる。
「いなりとは陰と陽のような存在にして…」
 そのプリマジスタが自己紹介をしようとするのを遮るように、いなりさんが
「相方のFOXを連れてきました。あみさんのチームメイトの方ともご一緒したいと思っていたので、五人ライブが出来るようにと」
 FOXさんはこてつくんコーデということだった。
「れみはケモノ耳ならイースターバニーブラックとか似合いそう」
「確かに。じゃ、とみはわんわんダルメシアンかな」
 とみの提案にあみがかぶせる。
「わたしは…何が残ってるかな?にゃんこみけかな」
 こんな感じで最初の二曲が決まった。

 二曲終えて楽屋に戻ると、ぜんいつさんが来ていた。ぜんいつさんはとみ達に、
「フレンド登録を増やしたい時は協力しますよ」
「ありがとうございます!さっそくあたしとライブしましょう!」
 とみが食いついた。
「ハロウィンの雰囲気というなら、このあたりが他の方とかぶらないですか」
 ぜんいつさんがコーデを提案する。
「ステンドグラス!いいかも」
「わたしも今、バレンタインの赤持ってるよ」
 あみも参戦する。
「じゃ、あたしは白にしようかな。れみは留守番だけどいい?」
「私はセンターを2連続だったので休憩します」

 そして、昼が近づいてきた頃。
「そういえば、一番専用っぽいハロウィンフリル使ってませんね」
 れみの指摘にあみが不敵に笑う。
「ふっふっふ。そこは手を打ってあるのだよ」
 と、そこへ来客がある。
「えっと…あ、ここで良かったですね」
 みか♪さんだ。
「みか♪さん、ありがとうございます」
「いえいえ」
 みか♪さんが限定のハロウィンカラーのショートケーキコーデを手に入れたので、一緒にプリマジしたい人を募っていたのであみが声をかけていたのだ。
「ショートケーキコーデ、かわいいからお気に入り!新色はぜひ見たいです」
 そう言うとみに、
「では、ハロウィンデュオの前にショートケーキ合わせでもやりますか?」
「いいんですか?」
「あみがハロウィンデュオなら、私はストロベリーカラーでショートケーキ合わせに参加しましょうかね」
 れみのポジションも決まった。
「じゃ、始めよう!トリック、オア、トリート!」

 ハロウィン大会を終えて、打ち上げ兼昼食で三人は近くのラーメン店に入った。
「私は以前と同じチャーシューめんと高菜ごはんにします」
「えっと…チャーシューめんはBでCは大盛か…あたしはCの大盛に挑もうかな」
「わたしは今日は変化球でトマトらーめんでいこう」
「あみがそっちへ行くのは珍しいですね」
「うん。その代わり、ごはんをコレにするんだ」
「あ、ごはんの上にチャーシューと生卵が載ってるのか、あたしも大盛やめて、これのミニサイズにしようかな」
 あみにつられてとみが方向転換した。そして、店員に注文しようと振り向くと、囲みカウンターの横の席にいなりさんとFOXさんがいた。
「あ、さっきはどうも」
「いなりさん達もここに来るんですね」
「時々ね」
「ここの沢庵、食べ応えありますよね」
「そうそう。箸休めに丁度いいかんじですね」
 あみといなりさんの沢庵談義を聞きながら、とみは沢庵食べるなら、ご飯系を追加にして良かったと満足していたのだが、注文された料理を見て、いなりさんが
「とみさんは、チャーシュー大好きなんですね」
 とみの目の前にはチャーシューめんとチャーシュー丼。
「しまった!かぶってたーー!」


今回のフォト
                       
今回のソロ・デュオ・チームユニット

れみ&ただのヘタレさん


れみ/FOXさん&あみ/いなりさん&とみ


あみ&とみ&ぜんいつさん


とみ&れみ&みか♪さん


みか♪さん&あみ


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