第31章 夏だ!水着だ!サマーメイドだ!
「夏だあーーーっ!」
あみは思い切りジャンプして叫んだ。毎日35度以上の猛暑日が続き、熱中症警戒アラートが出ている。それにもめげず、スタジオ限定のオレンジの水着であみはアンコールまでソロライブを乗り切った。以前はGPSが入ってないというミスを犯したこともあったが、今回はばっちりだった。受付でコーデ購入のプレゼントコーデを配っていたみるきも同じ水着を着ていて、あまりのかわいさに迷わず買ったものだ。
そして、あみは水着だけでなく、浴衣の今年の新色でもライブをした。
「夏と言えば、次は浴衣!」
「最近、あみのペースもすごいね」
とみがセブンイレブンで買ってきたゼリーにスプーンを入れながら言う。今回3人が食べているのは「さわやか青空ソーダゼリー&ミルクプリン」で、ソーダ味の空色のゼリーの中にミルクプリンが雲のように入っていて、夏空のような見た目で、面白がって買ってきたものだ。
「だって、暑い時にライブでホットになると、このソーダ味のゼリーのおいしさもぐーんとアップするよ?」
「あみの場合、ライブしてもしなくてもおいしく食べそうですが…あ、でもこれおいしいですね」
「実際、スイーツ目当てだけってわけでもないけどね」
あみはエコバッグから自分が調達してきたお菓子を出しながら答える。
「何それ?キン消しのグミ?」
「うん。熊の形のはよく見るけど、キン消しの形って面白いなと思って。キン肉マンと悪魔将軍の絵の袋の買ってきたんだ」
「袋にも種類あるんだね」
「パッケージに種類があるみたい。ラーメンマンの袋もあったよ」
言いながらグミを皿の上にバラバラと入れる。
「黄色と緑と紫…ひとつだけピンクがありますね。何味でしょうか?」
「うーん、袋にはグレープとしか書いてないね。色は関係なくグレープなのかな」
「紫以外は脳がバグるグミですね…」
「あ、これはキン肉マンかな」
「そうみたいね。おお、スペシャルマンとカナディアンマンが入ってる!」
「人気キャラなのですか?」
「タッグトーナメントで、ここにある6本腕のアシュラマンたちが乱入した時に蹴散らされて、試合前に敗退したチームの二人だよ」
「随分マニアックなのも入ってるんですね。この帽子のキャラは見覚えあります。ブロッケンでしたっけ」
「なんか、ナチスみたいで今ならコンプライアンス的に消されそうなキャラだね。あ、この手みたいなのは2つ入ってるね」
「それはスニゲーターって恐竜の足の超人だよ」
「あみは詳しいんだね。この頭のないのは?」
「どれどれ…えっ?まさかプリプリマン?なんでこんなのが…?」
「そんなにマイナーなの?」
「ある意味、伝説の悪魔超人だけど…キン消し出てないはず」
「そうなの?」
「はじめて悪魔超人が7人出てくるシーンで、メンバー決まる前に描かれたモブキャラで、その1コマ以降最後まで出てこなかったやつだよ」
「ラインナップ考えた人、かなりのマニアかも…」
「あとはティーカップの超人と料理みたいなのが頭に載ってる超人ですね」
「それ、カレクック。カレーだよ」
「カレー味なら良かったのにね」
グミの形で盛り上がり、一向に減らない。とみがダブっていて議論に影響しないスニゲーターを食べてみた。
「あ、普通にぶどうグミだ。思ったよりおいしいわ」
「そういえば、さっき、あみがライブ連発はスイーツのためだけじゃないとか言ってましたけど、何かあるんですか?」
「ああ、グミに気を取られて忘れてた!今、期間限定でサマーメイドコーデが出てるんだ」
「プリチャンで人気の水着コーデでしたね」
「着てみたくて、チャレンジしてるんだけど、シューズ以外はゲット出来たよ」
「なるほどね」
「わたしも着たいけど、イメージ的に、れみにも着てもらおうかなと思ってね」
「ふふふ。では揃ったらお借りしますね」
そして、その日もあみはプリマジに向かった。雑誌で手に入れたポッピンスウィムコーデの新色もあるし、試しつつ、と思ったら、クレアさんに会った。
「あ、クレアさん、こんにちは!」
「ああ、あみさん。サマメのシューズは手に入りましたか?」
「まだなんですよね…」
すると、クレアさんは微笑んで、1枚のコーデカードを出した。
「あみさんにはお世話になってるし、どうぞ」
「…えっ?サマーメイドシューズ!」
「私、アクセが出なくて沼ってる間に靴が6回も出たから、ダブりカードがあったので」
「いいんですか?ありがとうございます!せっかくだから、サマーメイドでデュオしませんか?」
「もちろん、やりましょう!」
こうして、サマーメイドブラックベリーコーデを揃えたあみが翌日、れみにソロライブを強要したのは言うまでもない。
そして、数日後。
「あみ!あたしもカワイイ水着ゲットしたよ!ほら、浮き輪もついてるし!」
とみはスターマックス☆サマーコーデを着ている。
「くじらのワンポイントもかわいいね」
小柄なとみにはピンクのカワイイ水着が似合っている。
「れみはサマメだよね。異論は認めない!わたしはポッピンスウィムの新色にしたらバランスいいかな」
「そうですね。それぞれ形の違う水着もいいですね」
こうして、とらいあんぐる☆ARTのファンサービス水着ライブの衣装が決まったのだった。
ライブを終えると、楽屋に初音さんがいた。
「あ、初音さん!」
「あみさん達!水着ライブ、見ましたよ。ポッピンスウィム、私、ピンク持ってますけど、ご一緒します?」
「いいですね」
「では、私はあみからオレンジを借りて3色にしましょうか」
れみが提案する。
「うーん、限定カラーが他にもあるみたいだけど持ってないし、あと誰か一人いれば、水着5種類とか出来るんだけどな」
あみはきょろきょろと楽屋を見回し、知り合いに声をかけ始めた。
とみが、
「じゃ、今度はあたしが…」
言いかけたところに、あみがこくてんさんを連れて戻ってきた。
「みんな!こくてんさん、サマーメイド持って来てるって!」
「じゃ、水着揃い踏みできますね!」
初音さんも嬉しそうだ。
「…そうだね」
相槌を打つとみの様子をこくてんさんがちらっと見た。
水着ライブが終わり、初音さんと別れた後、こくてんさんがとみに声をかけた。
「私が来た時、とみさん、何か言いかけてましたよね。もしかして、サマーメイドでやりたかったとか?」
「え、あ、話題のコーデだし、試したいなとは思ったけど、まぁ、あたしもお気に入りの水着だったから、あれはあれで良かったんですけど」
「とみ!じゃ、次サマーメイド祭りやるからセンターやりなよ!」
いきなりあみが振る。
「えっ?」
「さっき、クレアさんが今日誕生日だってツイートしてたから、バースデーパーティーライブやろうって誘ったんだ」
「クレアさんということは…あっ!」
「サマーメイドコンプに協力してくれたし、サマメ祭りはどうかなって話!」
「こくてんさん、参加大丈夫ですか?」
「ええ、場合によってはとみさんとサマメデュオを誘おうかと思っていたのでちょうど良かったです」
暫くすると、クレアさんが到着した。
「誕生日、おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
「では、話題のサマーメイドブラックベリー祭り、盛り上がっていこう!」
とみの掛け声に、4人は
「おーっ!」
と合いの手を入れたのだった。
「やりきったね!」
「あたしも満足!」
全員でサマーメイドブラックベリーコーデという一体感で盛り上がっていると、クレアさんが、
「でも、もう少し贅沢を言うなら…」
「どうしたんです?」
「プリチャンのサマーメイドって、プロモ入れたら7色あったんですよ」
「そういえば、黒系と白系がありましたね」
「あみさん、白系も似合うんじゃないかなと思って」
「そうかな?じゃ、白系出たらまたサマメ合わせやりたいね」
そして、その機会はすぐに訪れた。
あみが先日の水着5種ライブをした時、ポッピンスウィムの限定カラーがないと話をしていたことで、みるきからあみに連絡が入った。
「みるきは限定カラー持ってるから、一緒にプリマジするお?」
「うん!お願い!じゃ、わたしは今度はピンクにしようかな」
あみは夏にぴったりのスプラッシュサマーTシャツを着てみるはとのデュオに向かった。すると。なんと来週のコーデ投票がどちらもサマーメイドの白系だったのだ!
「どっちが勝っても、白系でクレアさんとプリマジできそう!」
この日はあみはみるきとのポッピンスウィム合わせのみで翌週に備えることにした。
そして、次の週。あみはついに白系のサマーメイドホワイトスカイを手に入れた。
クレアさんと待ち合わせをしていると、ひめめが通りかかった。
「あら、こんな所にもおしゃれプリンセスが!一緒にプリマジしますか?」
「うん!でも、今からサマーメイドの白黒ライブをするんだけど…」
「それなら、ホワイトリーフで参加すれば色違いにすればいいかしら」
さすがはコーデメイツのプリンセス。選ばれなかったコーデも持っているんだ…
そうこうしているうちにクレアさんも到着した。
「やっぱり、白系もいいですね!あれ?ひめめ?」
「これで3色ライブができるね!」
こうして、3色ライブも実現し、あみは夏コーデを満喫したのだった。
今回のフォト
今回のソロ・デュオ・チームユニット
あみ
あみ
クレアさん&あみ
れみ
あみ&とみ&れみ
れみ/あみ&こくてんさん/初音さん&とみ
とみ/れみ&こくてんさん/あみ&クレアさん
あみ&みるき
ひめめ&あみ&クレアさん
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