第29章　ツイッターとガンプラとわたし(前編)

　第29章　ツイッターとガンプラとわたし(前編)

　あみはフロートでコーデメイツ達と戯れたり、フィナーレの大階段で踊りながら、バックで踊るコーデメイツたちを見てふと思った。
「この子たちとお揃いのドレスでライブするのも面白いかな」
　そして、実際にそのなりきりドレスがあることを知ったあみは、さっそく実行にうつすことにした。
「ラブリーメロディーのコーデメイツの服なのに、このステージでいいのか？」
　ＭＣのみゃむが訊いてくる。あみが選んだ曲はジェニファーの持ち歌だ。
「うん。コーデメイツの髪が宝石みたいだから、キラキラなステージでやろうかなと」
「なるほど。一理あるチムね」
　チムムも妙に納得する。

　コーデメイツなりきりライブを終えて、あみはスマホでツイッターを開く。
「そういえば、ツイッターってＸになったって言ってたけど、普通に青い鳥のマークのままだな」
　などと言いつつ、青い鳥をタップする。
「あ、フィーアさんからメッセージ来てる。貴女をエスコートしますって！」
　男装ミックスコーデでの画像も添えられている。あみは即答でエスコートを依頼した。

　あみは精一杯頑張ったミックスコーデでフィーアさんに会った。
　フィーアさんはカッコいい画像のコーデで、
「こんにちは。綺麗なミックスコーデですね。ダンスパーティーで、輝いていそうです」
「ありがとうございます！ミックスコーデの達人のフィーアさんにエスコートしてもらうとあっては、ミックス、考えてみたんですよ」
「達人なんて、照れますよ。もっと凄い方もいますのに」
　そう言って向き合うと、フィーアさんが
「あっ…身長差が」
　フィーアさんは小柄で、とみくらいの身長なので、エスコートされるあみのほうが背が高かった。長身のあまね様がエスコートする舞台とは勝手が異なる。
「あ、うちにもフィーアさんくらいの背丈のメンバーがいるから大丈夫ですよ」
　実際、問題なくミュージカルデュオは成功した。
「身長差はあるけど、なんとかエスコートできました」
「でしょ？また今度、うちの他のメンバーも交えてライブしましょう」
「それは楽しみですね」

　数日後。
「よーし、ギブバース！」
　あみは買ってきたガンプラを完成させて、夜やっていたドラマの物真似をしていた。女性起業家がプラモデル作りでヒントを得るビジネスものだった。
「そういえば、結構増えたな」
　棚を見ると、新作のガンダムエアリアルの他に前作のガンダムバルバトスや、昔のゼータガンダム、ダブルゼータガンダム等もある。
「写真撮ってツイッターに載せようかな」
　あみはゼータガンダムを武器を変えたり変形させたりして写真を撮った。気が付くと小一時間経っている。
「うーん、結構楽しいけど、変形、分離、合体のあるダブルゼータだと、撮影に一日かかるかも」
　あみはゼータガンダムに箱絵と同じポーズをとらせて箱と並べて撮った写真をアップした。そして、ふと気付く。
「あれ？青い鳥がどこかへ飛んで行って黒いＸマークになってる？」
　アップデートしなくても、アイコンはいつの間にか変更されていたようだ。
「まぁ、使い勝手が一緒ならどっちでも影響はないけどね」
　あみはそう言いながらタイムラインを繰っていった。
「あ、にじのエルザさん神戸のプリズムストーンに来るんだ」
　ただ、残念ながら時間的に無理そうだ。
「夕方にプリマジスタジオなら会えるのに」
　あみはそのままリプを返したところ、エルザさんから宿泊の都合で逆に夕方ならプリマジスタジオで会えると返事が来た。

　あみはプリマジスタジオに急いだ。スタジオでは、以前のプリマジスタ総選挙の上位３人のれもん、みるき、あうるのイベントユニットの書き下ろし新曲のお披露目をしていた。
「へぇ、あれが新曲か」
　すると、すでに到着していたエルザさんが、
「ああ、あみさん。こんばんは」
「こんばんは！なんとか会えましたね」
「さっきの新曲、試してみますか」
「いいですけど、あれ、３人曲ですよね」
「大丈夫。今日は相方がいます」
　確かに、エルザさんの奥に誰かいる。彼女はあみの方をみて会釈をした。
「はじめまして！あみです」
「…エルザの後ろにいる、ただのヘタレです」
　そういえば、プリチャン世界にいた頃もエルザさんの仲間にこんなセリフを言った人いたなぁ…
　そんな事を思い出しながらあみは新曲を楽しんだ。

　そして、その帰り道。ふと立ち寄ったリサイクルショップで面白いものを見つけた。144分の１のギャンのガンプラだ。一つは昭和のもの、もう一つは後の時代に改良されたものだ。箱の大きさが倍ほども違う。
「この騎士の鎧みたいなデザイン、乗ってる人が骨董の壺をいいものだとか言ってる人だったし、昔のほうのプラモデルに挑戦してみようかな。箱のサイズも値段も半分だし」
　あみはドラマの影響で、プラモ熱が過熱しているのだった。

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