第28章 約束とサプライズ
「三人でやるの、結構久しぶりだね」
「確かに、ここ暫くはあみがログイン出来なかったり、反動で毎日のようにライブして、私たちの出る幕はない感じだったりでしたからね」
「で、予定していたラベンダー祭りライブ、ちょっと時期を外しちゃったね」
先日までのフレンドポイントコーデや雑誌付録でラベンダー色のコーデが三つあったので、これでライブしようとした矢先にあみがトラブルになったから、今まで延期になっていたのだった。
「まぁ、最近はコーデ入手時点で時期逸してるのも多いし、久しぶりのとらいあんぐる☆ARTのライブ、楽しんでやろうよ!」
「そうですね。楽しみましょう」
ライブが終わって楽屋に戻ると、ぱたのがあみに話かけてきた。
「あみ様、さっきそこで八重さんに会っただべ」
「そうなんだ」
「はたの、この前、しらゆきひめのコーデ着てたんだべ。八重さん、それ見てて、人魚姫やるから一緒にライブを誘われて」
「いいんじゃない?面白そうじゃない」
「あみ様、シンデレラのコーデ持ってるから、一緒にお姫様ライブしたらどうかと思ったんだべ」
「いいよ。とれとも、れみにコーデ貸そうか?」
「それだと、ぱたのさんがナビできませんから、あみが行ってください」
「それなら、しっかりナビしてあげるはに!」
はにたんも頷く。
「じゃ、行こうか」
「はいだべ」
あみとぱたのは八重さんと合流した。
「あ、あみさんも一緒なんですね」
「シンデレラをお願いしたんだべ」
「ディズニーで映画化された童話のお姫様、勢ぞろいだね」
「人魚姫だけは別に名前ついてたけど…」
「でも!夢いっぱいのプリマジにしようね!」
「おーっ!」
ステージに向かう途中、あみはふと思い出した。
「あ、そうそう。例の「スライム」揃ったんですよ」
「あ、アクティブダンスライムですね」
「この前、ソロでやったから、配信見てくださいね」
「楽しみにしてますよ」
「でも、ビビッドスターだと思い込んでいたから、イリュージョン発動の時、ちょっとびっくりしちゃいました」
「色違いなのにブランド違ってるんですよね」
「そうそう。あ、コーデチェンジ始まるね」
「よし、ステージに集中!ですね」
「お姫様ライブ、面白かったよ」
楽屋に戻ると、とみが早速感想を言ってくれる。そして、ぱたのと並んだあみを見て思い出したように、
「そういえば、あみ、この前、ぱたのの衣装でプリマジしてたよね」
「うん。はくりさんとやったやつだね」
「そういえば、あの人とは初顔合わせだったよね」
「うん。前に知り合ったこくてんさんのマナマナでね。なんでもドローンのナビが出来ないらしくて、一緒にライブするの難しいんだって言ってた」
「そうなんだ…」
その時、あみが急に何かを思いついた。
「とみ、ちょっと手伝ってくれる?」
「別にいいけど何するの?」
「その二人のアンダーをやってもらっていい?」
「アンダーって、グループアイドルのメンバーがソロ活動でいない時、そのポジションを研究生がやるってアレの事?」
「うん。その配信にとみは出ないけど」
どういう事?
「二人同時にライブできないから、とみが代わりに入って、同じ曲をそれぞれとやって編集すれば、同時にやってるジョイントにならないかな」
「なるほど」
その日の夜。あみはこくてんさんに提案の話をしてみた。
「いいんですか?」
「まぁ、実験みたいなものなので」
「そういうことなら」
あみは実験ライブの話のついでにタイムラインに流れるメッセージを見ていくと、
「似顔絵描きます!」
というメッセージがあった。以前プリチャンのフォロチケを交換してつながった人なので、あみ自身はプリチャン世界でその人のキャラと会ったことがあるのだが。
あみはご無沙汰してます、とそのメッセージにリプを返し、八重さん、初音さんとライブした時のミックスコーデの写真を添付した。
すると、その日のうちに似顔絵が返ってきた。
「うわ、早い!」
「今日はノッてるから早く描けました!」
「すごい!ありがとうございました!」
このようにメッセージをやりとりしていたら、れみからメッセージが入った。
「あみ、とみにミュージカルライブをプレゼントしようと練習したのに、色々あって忘れてました!いつやりましょうか?」
「覚えてはいたけど、いろいろやってるからね。そうだなぁ、今度、とみに実験ライブ付き合ってもらうから、その後にしようか」
「わかりました。では、サプライズなので、その企画が終わったら、裏で合流していきなりやりましょう」
「OK!」
そして、ライブの日。
「おはよう」
とみが集合場所に現れた時には、あみは既に到着していた。
「編集しやすいよう、コーデはあまり広がらないペンギンにしてみたけど」
「さすがとみ。わかってるね!」
「れみ、来れなかったんだね」
「れみも忙しいからね。じゃ、こくてんさん達と合流しよう」
二人はこくてんさん達と合流した。
「こんにちは。今日はよろしくお願いします」
あみは、そこでこくてんさんを手招いた。
「ちょっと打ち合わせ、いいですか」
あみは説明に加えて、こっそりとサプライズへの協力も頼んだ。
「なるほど。いいですよ」
そして、あみはセンターで、こくてんさん、はくりさんと立て続けに同じ曲でライブした。とみは空いているパートをやっている。
ライブが終わって、楽屋で。あみはパソコンでアプリを立ち上げ、試しの編集をしてみる。
「わぁ、合成って気づかないくらい自然に合成できるんですね!」
「こくてんにいいプレゼントになったね」
「プレゼント?」
「あ、今日誕生日なんです」
「ええー?そうなの?おめでとうございます!」
あみまでこくてんさんからサプライズをもらってしまった。
「じゃ、バースデープレゼントにじっくり仕上げて、改めてお渡しします!」
「楽しみにしてますね。ところで、とみさん」
こくてんさんがとみに話しかける。
「とみさん、協力してもらったのに出てこなくなるんですよね」
そこで、はくりさんが
「逆編集したらとみさんが二人…」
言いかけたが、とみがさすがにそれは…とさえぎる。
「今度、とみさんとリベンジデュオしませんか?打ち合わせしましょう!」
こくてんさんがとみを引き付けてくれている間にあみは楽屋を出てれみと合流する。
「お待たせ」
「あまね様達の衣装じゃないけど、ジューンブライドコーデのセットを用意してきたのでそれでいきましょう」
「うん!じゃ、行くよ!」
再び楽屋。こくてんさんが、
「とみさん!モニター見てください!」
「えっ?」
「わたしたちの仲間、とみにサプライズで」
「私たちのミュージカルをお届けします!」
あみとれみのミュージカルが始まった。
そして、終了後の楽屋にて。
「二人ともありがとう!もしかして、こくてんさんがデュオの話したのも?」
「えへへ。私もぐるでした!でもデュオしたいのは本当ですよ」
「でも、れみ」
とみがれみのほうをキッと見て言う。
「どうせなら、ミュージカル、出る方がよかったかな」
「確かに。とみも見るよりやるタイプでしたね」
「宝塚歌劇でも和ものあるし、和装でやるのもどうかな」
「少々踊りづらい衣装ですが、面白いかもしれませんね」
みんなのやりとりを聞きながら、他人の事は言えないけど、みんな、ステージに立つのが本当に好きなんだな、と思うあみなのだった。
今回のフォト
今回のソロ・デュオ・チームユニット
とみ&れみ&あみ
八重さん&あみ&ぱたの
あみ
はくりさん&あみ&こくてんさん
あみ&れみ
れみ&とみ
参考:いただいた似顔絵
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