第27章 逆襲のあみ(プリマジ三昧)
あみはスタジオのステージで大きくジャンプした。
「あみ、すごく嬉しそうチムね」
「だって、この前の事で、ここに立てる有難みがよく判ったから」
通路を抜けてステージに向かうところで初顔合わせのプリマジスタと落ち合う。こくてんさんの相方のはくりさんだ。
「あれ?こくてんからはマナマナぱたの合わせやるって聞いたんですけど」
今のあみのコーデはツートンジャケットネオンピンクだった。
「うん。さっきランウェイで着てたから。今から着替えます!はくりさんは限定カラーなんですね」
「ええ、色違いのほうがいいかと思いまして」
「そういえば、こくてんさんは?」
「こくてんとはシフトが逆で、そうそう会うことがないんです」
「そうなんですね。ま、とにかく今は楽しいプリマジにしましょう!」
あみはステージを終えてはくりさんと別れると、ポーチからコーデカードを取り出した。
「ふふふ。さっき買った復活どっちでSHOWのもぐもぐおだんごコーデ、これ着たかったんだよね!」
あみは着てみたかったコーデでもう一曲ソロライブをして、その日の予定を終えた。
そして、次の日。あみは楽屋で初音さん、八重さんと話していた。今日のフレンド紹介で呼ぶための打ち合わせだ。
「あみさんはミックスの私服っぽいコーデをランウェイで着るなら、私たちも外モードのままがいいですかね」
八重さんはアクティブダンスライムコーデを着ている。確かにひな先輩も昔色違いを着てたはず。
「そういえば、このコーデ、以前変なところで改行かかって、「アクティブダン−スライムコーデってなってて」
「下の行はスライムコーデに見えますね」
「おもちゃのスライムが黄緑色のバケツに入ってたから、そうとしか見えなくなって」
「確かにシャツは黄緑色ですね…スライムってドラクエの影響で青い玉ねぎ型のイメージがあるから、その発送はなかったなぁ」
「そりゃそうですね」
あみと八重さんがそんな話をしている間、初音さんは黙っていた。
「初音、どうかした?」
「ううん、何でもない…ただ、七夕過ぎちゃったけど、七夕コーデ買ったから使おうかなって思ったけど、私服合わせならこのまま行こうかなとか考えてて…」
あみはそれを聞くと、
「あ、わたし七夕過ぎたから買わなかったけど、あのコーデ可愛いし、初音さんに似合いそう!どうせなら、わたしの2曲目、七夕デュオしませんか?わたし、七夕Tシャツでミックス作るし!」
「え、いいんですか?」
「もちろん!それに、よく考えたら仙台の七夕祭りはもう少し先だから、東北とかはまだ七夕シーズンかも!」
「仙台の七夕祭りですか」
「そうそう。仙台の七夕祭りといえば、『青葉城恋唄』の「瀬音ゆかしき杜の都 あの人はもういない」って部分、森野美弥子さんって人がどっか行っちゃった歌だと思ってて、れみに散々バカにされたんですよ!」
「は、はぁ…」
ネタが古すぎて、初音さんは少々リアクションに困った様子だった。あみは気にも留めずに曲を提案する。
「とりあえず、七夕のイメージだと二人で手を取り合って天に舞う演出が合いそうだから、曲は決まりですね」
「確かにそれ一択な気もします。そう言えば、今回の収録は何の曲やるんですか?」
「みゃむ達が自分たち用に3150バイブスコーデ作ったので、バックについてくれるんです。わたしも別のミックスコーデでセンターやるんですよ」
「なるほど。あ、これは提案なんですけど、明後日、久しぶりに3人で私服合わせやりませんか?私はさっきのスライムネタもあるのでこのコーデにします」
「もちろん。楽しくプリマジしようね!」
「おう、あみ!なかなか面白いミックスだな!」
みゃむがあみのコーデを見て言う。
「みゃむちゃんたちがお気に入りの布を持ち寄って作ったコーデなら、わたしも可愛いと思ったアイテムを集めようと思って!」
「なかなかいい心がけチム!さっそく行くチム!」
みゃむ達とのライブを終えるとあみは慌てて楽屋に戻った。
「お疲れ様!でも、もう入場ですよ?」待っていた初音さんが声をかけてくれる。
「あ、ランウェイどうしようかな…」
あみは手持ちのコーデを見て、
「七夕なら、星型のニンジンがかわいいし、うまうまカレーライスコーデでランウェイしよう!」
「ははは、なるほど!」
そうして、この日の第2弾はカレーのネタコーデから、ロマンチックな七夕飛行ライブの落差が極端な収録の番組になったのだった。
その頃、とみとれみがマクドナルドでご当地照り焼きバーガーを食べながらその番組を見ていた。
「あみ、一週間封印されただけでここまで連続でやるってすごいね」
「きっと私たちの次のライブまでにあと2回くらいはやりそうな勢いですね」
「だろうね、ところで、れみの北海道バターポテト照り焼きはどう?」
「おいしいですよ。半分ずつシェアしましょうか」
れみはひと口かじったバーガーの半分に割り、かじっていない方をとみに差し出す。
「博多明太チキンもおいしいけど、これ、手で割れるかな?」
「かじった残りでもいいですよ。あみのおかげで慣れてますから」
「…コロナの頃はそんな事言うと逃げられたんじゃない?」
「そうですね…でも、相手はあみだし」
それで納得されるあみもどうかとは思うが…
「そういえば、地元の大阪お好み照り焼きだけ試してませんね」
「前にてりたま食べたから、つい他を選んじゃったね」
結局、後に期間が終わり、どんな味だったんだろうと悶々とする事になるのだが。
れみたちの予想の1回目のライブは約束通りの八重さん、初音さんとの私服合わせだ。
「よし!先月は不ぞろいだったアイテムも結構あるし、ミックスにしようかな」
あみはそう言いながら色々とツイッターのタイムラインを見ていた。
「あ、このフィーアさんって人、前にミックスコーデアンケートしてて、答えた事あったな…やはり、普段からやってる人は洗練されてるから、わたしも負けないようにしないとね」
あみは自分なりに考えたコーデで待ち合わせ場所に向かった。初音さんは前回は黒だったが、今回はピンクで色違いの服だった。
「こっちの色、どうかな…」
「かわいい!こっちも似合ってる!」
「ありがとうございます」
「…って、二人とも服変えたら、私だけ前のままじゃない?」
「まぁ、八重は自分からそれにするって宣言してたし」
「そうだった…」
「さ、行きますよ!」
あみは二人を促してステージに向かった。
その後、あみはコンビニに買い出しに行った。
「夜食、夜食っと…」
あみは何となく以前てるひさんに教わったウインナー焼きそばを食べようと思った。
「確か、セブンイレブンの焼きそばは粉末ソースがから、底にソース溜まりが出来てさいごの一口が辛いってのがないんだよね」
そう言いながらセブンイレブンを選んだのだが…
「あれ?」
棚の配置が微妙に変わっていて、たまたまカレーヌードルが目に入った。
「ココイチのトッピングにウインナーある位だし、これにウインナー入れたら具沢山でおいしくなりそう!」
あみは予定を変更し、ウインナーカレーヌードルを作ることにした。
「うん!絶対これおいしそう!」
あみは写真をアップしたら、「おいしそうですね」とリプが返ってきた。
「てるひ師匠かな…じゃなくて、ええっ?」
メシマジスタとしての心の師ではなく、ミックスコーデの心の師であるフィーアさんだった。
「あわわ、すぐリプ返そう!」
あみは反応へのお礼とミックスコーデの話を返した。
「あなたのミックスコーデ、見ましたよ。カワイイ系ストリートって感じでいいですね。先日、相方のとみさんのミックスも見ましたが、セクシー系だけどお姉さんって感じでいいですね!」
わっ、とみも含めて褒めてもらえた!妹キャラのとみがお姉さんコーデってところが面白いかな。いずれにしてもこの勢いなら!
「あの、せっかくのご縁なので、今度一緒にプリマジしませんか?」
「いいですよ」
「それじゃ、ウインナーカップ麺を教えてくれたメシマジスタの師匠にも声かけてみます!」
「楽しみですね。その方もご一緒できると更に楽しそうです」
あみはさっそくてるひさんに連絡を入れる。
「今度、メシマジスタライブしませんか?」
「あら、久しぶりのオファー、ありがとうございます!気合入れていきますよ!」
こうして、れみ達の予想通り、2回目のライブが決定した。
「今日はよろしくお願いします!」
メシマジスタにしてプリマジスタ、ウインナーカップ麺でつながった3人が揃った。
「あみさんもミックスコーデなんですね!」
フィーアさんは当然、ミックスコーデだ。朱色をベースに和洋取り交ぜたコーデだが、正規の組み合わせだと言えば信じてしまいそうだ。
「あ、アタシはミックスじゃないけど…」
てるひさんはヘブンズコーデだ。
「大丈夫ですよ!ステージではわたしは気合でエレクトロリミックスプリンセスでいきます!」
あみの今の手持ちの最高レアのコーデだった。
「じゃ、楽しいプリマジにしようね!」
「打ち上げはウインナーカップ麺で決まりですね」
「もちろん!」
こうして、ライブを連続して休業の間の鬱憤が晴れたあみは、漸く通常運転に戻るのだった。
今回のフォト
今回のソロ・デュオ・チームユニット
はくりさん&あみ
あみ
初音さん&あみ
みゃむ&あみ&チムム
八重さん&あみ&初音さん
フィーアさん&あみ&てるひさん
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