第25章 マナマナ大集合

 あみが楽屋に戻ってきたので、れみはスマホから顔を上げた。
「あみ、おつかれさまです」
「どうしたの?スマホにメッセージ届いたりしてたとか?」
「いえ、昨日、あみの家で会ってた時間の直後くらいにあみから着信があったみたいで。私が帰ってすぐとかに用事でしたか?」
「えー?用事あったかな…あっ!」
「思い出しましたか」
「れみ、帰る前に携帯どこに置いたか忘れて、わたしが鳴らして探した時のじゃない?」
「ああ!そうでしたね。スッキリしました」
「ところで、さっきのウケ狙いのおにぎりコーデ、どうだった?」
「意外と普通に似合ってて、ウケ狙いとは気づかれないかもしれませんね」
 そんな話をしていると、楽屋に少女漫画のヒロインのような美女が入ってきた。
「あみ様、お疲れさまだべ〜」
 その見た目からは想像できない訛りのある喋り方であみを労ってくれる。
「えっと…どちら様ですか?」
「え?ぱたのだべ?判らなかっただべか?」
 美女、ぱたのは着ていたシャツのプリントを指さしながら言った。シャツにはマナマナのぱたののイラストが描かれている。
「ぱたのさんも人の姿になるんですね」
「ひめめ様を楽しませるために、あまね様とミュージカルをすることにしたんだべ」
「へぇ、そうなんだ」
 そんな話をしているところへはにたんが入ってきた。
「ぱたの、急ぐはに〜。遅れるとみゃむに怒られるはに」
 これから、マナマナ5人でプリマジをやる予定とのことだった。
「せっかくぱたのが人の姿になったから、楽しくやるはに」
 そこへれみが声をかける。
「ぱたのさん、良かったらその次に私とデュオしませんか?」
「れみ様?」
 ぱたのはきょとんとれみを見返した。
「あみがはにたんとデュオしたり、とみがきゃろんさんとデュオしてたの、ちょっと羨ましかったんです」
「え?れみ様、パートナーなのに気が付かなくてすまなかったですだ。ぜひお願いしますだ」

 マナマナ達5人は、それぞれのマスコット姿の絵の入ったシャツでステージに上がっていた。
「なかなか面白いね」
「ですね」
 そこへあうるが入ってくる。
「マナマナたちによるプリマジ、面白いデータが取れそう」

 ステージが終わって、みゃむ達が戻ってくると、ぱたのが
「れみ様、お待たせしましただ。行きましょう」
 れみを連れて再びステージに向かった。元がペガサスだけあってなかなかタフだ。
「ぱたのさん、私、コーデ用意してないんですが」
「私もこの服だべ。あまね様のTシャツ貸して差し上げますだ」
「じゃ、よろしくお願いしますね」
 こうして、れみも漸くパートナーとのデュオが出来たのだった。

 れみとぱたのが戻ってくると、マナマナたちが話し合いの真っ最中だった。
「どうしたんだべ?」
「チムム達の正装はマナマナ服チム」
「だから、もう一度、マナマナ服でライブをしようという話をしてたはに」
「で、問題がね…」
 きゃろんが送った視線の先にはあうるが連れてきたタテジマがいた。
「人ノ姿ニナレナイカラ、一緒にライブデキナイ…」
「問題ない」
 あうるが遮るように言う。
「もちろん、タテジマを人型にすることも出来るけど、それより、ボクがタテジマの着ぐるみを着て、ヘアアクセに組み込んだアンテナでタテジマと同期を取ってシンクロすればいい」
 あうるの提案に、あみが
「おお、オメガの科学は世界一チイイィィーッ!出来んことは無いいいーッ!って感じだね!」
 一同、頷きはしたものの、あみのコメントが「ジョジョの奇妙な冒険」のパロディーであることに残念ながら誰も気づいていなかった。あみがたまたま先日、スピンオフ映画のチラシを見ただけで、そのスピンオフよりかなり前のエピソードの台詞なので無理もないのだが。
 実際、あうるならタテジマを二足歩行人型ロボットに改造するのも可能だろうが、あうるが着ぐるみを着るほうが面白いし、もとのタテジマも残る。
 数日後。あみ達はあうるによる人型タテジマを加えたマナマナライブをテレビで見ることになるのだった。

 別の日、あみはぱたのとあまねのミュージカルを見ようとして出かけると、ちょうどその前のプログラムがモニターに出ていた。
 あうるが新曲でタテジマの着ぐるみを着て、タテジマと一緒にステージを盛り上げるプリマジをしていた。
「確かに、あうるちゃんがタテジマの人型やるほうがロボットに改造するよりかわいいな」

 そして、ミュージカルが始まった。
「さすがはあまね様。かっこいいなぁ」
 そこであみがふと思いつく。
「わたしとれみがチーム抜けるなら、餞別代りにとみにれみとこのミュージカル見せてあげたいな…」
 あみの運営入りも、れみの劇団入りもまだ未定ではあるものの、おそらくそうなる日は近づいている。あみは二人に相談してみることにした。
「それは素晴らしいです。私達のミュージカルを参考にしてくれて、嬉しいですよ」
 あまねは賛成してくれたものの、
「協力したいのは山々なのですが、私は次の演目の稽古があって、そろそろ失礼せねば」
「いえ、気になさらないでください、あまね様!」
「ぱたのが稽古に付き合うから大丈夫だべ。今からぱたのがあまね様のパートやるから、あみ様、ぱたののパート、やってみるだべ」
「ありがとう!よろしくお願いします!」

 あみとぱたのが稽古しているのを見ながら、あまねが呟いた。
「れみさんとあみさん。本当にいいパートナーですね。自然と同じ考えになるのですから…」
 実はあまねは、れみに同じことを頼まれ、稽古をつけに行くために中座したのだった。

 そして、翌週。あみはミュージカルの衣装になるコーデを手に入れるべくプリマジに来た。そしてエントリーしようとプロフカードを入れると…なぜかエントリーできない!
「あれ?おかしいな…」
 あみはマイルームサイトを見て愕然となった。80まで上がっていたプリマジスタランクが5に下がり、フレンドリストも所持アイテムもリストが消えている!

「どうなってるの…これ?」
(続く)


今回のフォト
                                 
今回のソロ・デュオ・チームユニット

あみ


みゃむ/はにたん&チムム/きゃろん&ぱたの


ぱたの&れみ


みゃむ&あうる/はにたん&チムム/きゃろん&ぱたの


あうる


あまね&ぱたの


あみ&ぱたの


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