第24章 コラボライブ週間

 ガタン。
 三人の座る座席が揺れた。そして、水しぶきが飛ぶ。
「冷たっ!」
「3D眼鏡に水滴ついた!」
 あみ達は4DX設備のついた映画館で「スーパーマリオブラザーズ」の映画を楽しんでいた。
 話題の映画だが、4DX設備によってアトラクションのようになっており、ストーリーをじっくり楽しむというよりは臨場感に圧倒される感じだった。

「あー、楽しかった!」
「お、今度来る映画のチラシが置いてるね。ルーブル美術館だ!フランス映画かな?」
 そう言うとみにれみが返す。
「これは「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフのようですね。あみは「ジョジョの奇妙な冒険」を読んでませんでしたか?」
「うん。でもあれ、まどかに借りた第5部までしか読んでない」
「そうでしたか。まどかは元気にしてますかね」
 そういうあみとれみにとみが訊く。
「まどかさんって?」
「後輩の後輩なんだけど、スペインに留学してるコ」
 もっとも、実際はあみがプリチャン世界にいた時の話で、この世界のまどかがスペインにいるかどうかは不明なのだが。
「その人の話とか聞きたいな」
「じゃあ、うちへ来る?みんなでお茶しよ!」
 3人は目の前のファミリーマートへ買い出しに入った。
「見てみて!ピザポテトパンってあるから、元のピザポテトと食べ比べできるよ」
 とみがパンとスナックを両手に嬉しそうに言うと、れみが、
「とみもあみに感化されてきてますね」
 実際、れみの横ではあみが両手にミニクロワッサンと書かれた一口サイズのクロワッサン風のお菓子と実際のパンのクロワッサンを持っていた。

 あみが茶の間のテレビをつけると、放映中のプリマジ中継が映った。
「はにたんときゃろんがミルキーレモンの物真似してる!」
「何かのコンセプトを決めたライブもいいですね」
「そういえば、話の続きだけど、その、まどかさんともライブしたりしたことあるの?」
「もちろん!うちのメンバーだったし」
「そういえば、最大で12人ユニットでしたね」
「そうなんだ、なんか楽しそう。チーム内でもいろんな人とライブできたんだね」
「それでも、ゲストさんにも大勢参加してもらいましたよ」
 そこまで話がいくと、急にあみが、
「よし。来週のコンセプトはいろんな人とライブにしよう!来週はチーム以外のゲストさんとプリマジするってルールで」
「相変わらず、思いつきだけで行動しますね…」

「とは言ったものの、どうしますかねぇ…」
 れみは戸惑いつつ、手に入れたエンジェルメロンソーダコーデのカードを眺めていた。
「あ、すみません」
 声がかかる。
「れみさん、ですよね」
「はい」
「この前、あみさんに参加してもらったメモルミデンといいます」
「ああ、確か、あみが運営スタッフの手伝いに行った日のライブでしたっけ」
「はい。ところで、さっきから誰かを探しているみたいでしたけど?」
「今週は、チーム以外でライブするって企画なので、メンバーを探していたんです」
「あ、じゃ、協力します」
「いいですか?ありがとうございます!」
 プリマジスタジオに向かうと、八重さんとすれ違った。
「あれ?珍しい組み合わせですね?」
「そういう企画なんです。八重さんもどうですか」
 れみは事情を説明しながら八重さんを誘う。
「ええ。いいですよ。でも合わせるコーデ持って来てるかな?」
「いっそ、三人バラバラでもいいんじゃないですか」
 メモルミデンさんが提案する。
「確かに、うちはコンセプト無しのライブ、結構やってますしね」
 れみはあみの賑やかライブを思い出していた。

 ライブが終わると、八重さんが、
「あ、そうそう。リーメルがグミのシークレットのマジシャンコーデで誰かとライブしたいって言ってたから、呼んでみますね。今、隣の店にいると思うので」
「そうなんですね」
 リーメルさんはすぐに来てくれた。一緒にいたらしく白くんもいる。
「ウチのメンバー、今回はグミ買ってなかったから、初めて見るコーデなので嬉しいです」
「そうですか…色違いもアリかと思ったけど、別のコンセプトにしますか」
「そうですね。手品師なら鳩とかでしょうけど…あ、孔雀ならありますけど」
「鳥だしいいんじゃないですか」
「実際帽子から孔雀が出る手品があったら笑いますけどね」
 五人は声をあげて笑った。

 れみが手品師と孔雀デュオを終えて戻ってくると、ちょうどとみがまつりとれもんを連れて入ってきた。
「邪道かと思ったけど、あたしはきゃろんに取り次いでもらったよ」
「そうですか。それも一つの作戦ですね」
「れみ、そのピーコックプリマ、貸してくれる?」
「いいですよ」
「れみどの、かたじけない」
 なぜかれもんがれみに礼を言う。
「拙者、レディアントプリンセスコーデを使うつもりが、きゃろんに貸したままで、たまたままつりどのとお揃いのピーコックプリマを使うしかなかったでござる」
「で、あたしもピーコックプリマ着たら色違いライブできるかなと」
「なるほど」
 そんな話をしていると、八重さんにメッセージが来た。
「あれ?あみさんからお誘いだ」
 あみはあみで何か計画しているようだ。

 とみが孔雀ライブをしていると、あみがモモカさんと一緒に現れた。
「八重さん、さっきのスターバンドガールコーデ、わたしとモモカさんと色違い三原色ライブできますよ!」

 とみに続いてあみも三人の色違いライブをする事になった。
「結局、三人は集まってるけど別々にライブするだけの企画になってきましたね」
 れみがツッコミを入れていると、
「みんな、随分と楽しそうね!」
 ひめめが様子を見にやってきた。

「あ、ひめめ!せっかくだからあたしと次ライブしようよ!」
「え、いいの?」
「じゃ、まだ出番なかった僕も出ようかな」
 白くんも乗ってきた。
「ならば拙者も参加するでござるよ。プリマジの裾野を広げるのが拙者の使命!これを見て楽しそうと思ってくれる将来のプリマジスタが現れるかもしれないでござるからな」
「四人曲ってないし、私が参加して五人曲で」
 メモルミデンさんも加わった。

 そして、交代しようとした時、とみが、
「あ、誰かもう一人参加できるよ!」
 というと、モモカさんが、
「じゃ、せっかくなので」

 こうして、ごった煮のような連続ライブの締めは大人数の賑やかライブになった。
 と皆がそう思った。
「おつかれー」
「楽しかったです!」
「またやりましょう」
 口々に挨拶を交わしていると、そこへみゃむがひぃらぎさんを連れてやってきた。
「おう!あみ!いいところで会った!」
「どうしたの?みゃむちゃん」
「今からひぃらぎと公募コーデのなのはなひだまりルルルコーデのお披露目ライブやるから、あみも出るんだぞ!三人曲だからあと一人必要なんだぞ!」

 問答無用であみを連れて行ったのだった。

 コラボライブ週間はまだまだ終わりそうにない。


今回のフォト
                           
今回のデュオ・チームユニット

きゃろん&はにたん


八重さん&れみ&メモルミデンさん


リーメルさん&れみ


まつり&とみ&れもん


八重さん&あみ&モモカさん


とみ&モモカさん/れもん&ひめめ/メモルミデンさん&白くん


ひぃらぎさん&あみ&みゃむ


参考:プリチャンの12人メンバー紹介
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