第23章　とみのフェス挑戦

　第23章　とみのフェス挑戦

　その日、あみはれみととみを家に招待した。二人がくる前につまむお菓子を買おうと駅前のスーパーに入る。ふと見るとヤマザキエアリアルのガンダムコラボが新しい絵柄で入荷している。
「あ、今回は焼きトウモロコシもある！これおいしいんだよね」
　そう言いつつ、焼きトウモロコシだけでなく、しお、チーズ、コーンポタージュも買い物かごに入っている。
「あとはお茶かな」
　と思うや否や、買い物かごが重くなる。
「？」
　２リットルのお茶が入っている。
「やはりここにいたね」
　とみだった。
「うーん、行動パターン読まれてるな…」
「まぁ、あみは極端に判りやすいですからね」
「てか、れみも居たの？」
　買い出しの時点で全員集合していた。

「で、話って何？」
「うん。わたしも一線を退くかもだから、コーデコンプにこだわるのやめようかって話したじゃない？」
「確かに、この前のどっちショー敗者復活、いくつか買った時点で今更感があって着てないコーデあるからって、全部は買いませんでしたね」
「だけど、今回プレゼントコードで来たコーデ、グループで着ると面白そうって思ったから買っちゃったんだ」
　スターバンドガールブルー。確かにバンドで統一して着るコーデっぽい。
「なるほど。それでみんなでこれ着てプリマジしようってことね」

　そして、３人でライブしてから楽屋への廊下を歩いていくと、ひめめとみゃむ、チムムが困った顔で話をしているのが目に入った。
「どうしたの？」
「ひめめとお揃いのコーデをゲットできるフェスを始めるはずだったのに、看板がクリスタルの中にあって実施できないチム！」
「ワッチャを集めてクリスタルを砕くしかないわね」
「おう、あみ！さっきのプリマジのワッチャをありがとうなんだぞ！でも、それだけじゃ足りなかったんだぞ」
「かなりのワッチャが必要チムね」
「じゃ、わたし達ももっと協力するね」
「どうするつもり？」
「さっき言ってた今更感のコーデでなぜか今頃２月ライブフェスをやろうよ」
「ワッチャ集めるのにネタに走るんですか？」
「うん！逆に新鮮だと思うし！」
「そうかなぁ…」
　とりあえず、未使用コーデの利用も兼ねて、とみとあみの節分デュオ、れみとあみのバレンタインチョコでミルキーレモンはすぐに決まった。とみとれみは、
「どうしましょう？」
「バレンタインとホワイトデーの色違いはどうかな？」
「あ、それにしましょうか」
「だったら、バレンタインバレンタインより前にやったほうが時系列がもう一度戻るから面白いかも！」
「あみ…本来の目的忘れてそう」

　あみたちの企画の他にも各地でプリマジスタたちが色々とプリマジをしてクリスタルへのワッチャは順調にたまっていった。解放まであと少しだ。

　そして、数日後。
「とみが仕入れてきた情報だと、エアリアルの新規フレーバーはサワークリームオニオン味らいしけど、前にトマト味が入ってたコンビニにあるかな」
　あみはコンビニのお菓子棚を見た。
「あ、初めてみるパッケージ！これかな？」
　あみが手に取ると、チーズ味のコンビニ限定パッケージだった。
「ま、いっか。チーズ味おいしいし」
　ふと見ると鬼滅の刃とかウマ娘の食玩も少し置いている。行っときは全く無かったり、エヴァンゲリオンとワンピースが一シリーズずつしか無いとかって時期もあったが、今は棚一列に複数のアイテムが並んでいる。
「最近、コンビニの食玩、少しは戻ってきたかな。昔はすごく多くて、リカちゃんの食玩とかあったなぁ。リカヴィネってのだったっけ。アニメ調にアレンジされたリカちゃんのジオラマになったやつ。あれ、けっこう可愛かったなぁ」
　あみがそんな事を思い出したのは天の思し召しなのか、その時売りに出たコーデがまさかのリカちゃんコラボだった。同じ服を着たリカちゃん人形も出るらしい。
　そして、あみがそのコーデでソロプリマジをした時のワッチャ注入でちょうどクリスタルが砕けてフェスが解放されたのだった。

「うーん、せっかく解放されたけど、行く暇ないかも…」
　あみがそう言うと、とみが、
「じゃ、今回はあたしが出るよ！これ同様、あたしがコーデをゲットしてくる！」
　とみの手にはサワークリームオニオン味のエアリアルがあった。家の前のスーパーに売っていたらしい。

　そして、とみが挑むフェス当日。とみは会場入り口でチムムに会った。
「ついに！めざめのプリンセスひめめコーデフェスが解放されたチム！みんなのおかげチムね！協力してくれてありがとうチム！」
「うん！ひめめとお揃いのコーデが貰えるフェスだね！楽しみだな～！」
「みゃむとチムムととみでスタジオを盛り上げてひめめにスタジオをアピールするチム！」
「うん！　ひめめに届くように３人で盛り上がるプリマジをしようね！」
　３人はフレッシュフェアリーコーデでプリマジをした。とみが雑誌限定カラーのラベンダー。みゃむ達は通常カラーだ。そして、第１ステージをクリア。

　続いての第２ステージに向かうところでひなが出迎えてくれる。
「とみー！スタジオ盛り上がってるじゃーん！」
「ひな先輩！あたしのプリマジどうでしたか？」
「最高だったじゃん！みんなでプリマジしてもっと盛り上げたらひめめが会いに来てくれるかもじゃん？」
「わ～！ひめめに和えたら嬉しいな～！ひめめに届くように一緒にプリマジしましょう！」
　ひな先輩達エンカンターレはナイトドリームコーデ、ミルキーレモンの二人はミラクルユニコーンコーデ、あうるはパウダースノーコーデのそれぞれひめめバージョンを着ている。とみはこの手のコーデは揃っていない。とみは先日の大会で手に入れたはじまりのプリンセスコーデで参加すねことにした。それでも無事ステージはクリアできた。

　そして、最終ステージ。ひめめがとみの前に現れた。
「こんにちは！あなたがとみね！前の大会で会ったきりかな？」
「わ～！ひめめ！会いに来てくれたんだね！いつも素敵なコーデをありがとう！」
「こちらこそありがとう！とみが素敵なプリマジでワッチャを届けてくれたおかげよ！お礼に私の歌を聞いてもらえるかしら？とみも協力してくれる？」
「もちろん！プリマジしよう！」
ひめめの歌でステージに立つ。とみはゴールデンユニコーンコーデを選んだ。
「そういえば、あみはなぜかこれをフェネックって言ってたっけ」
れみがガンダムから来ているネタで、金色のユニコーンガンダムの名前だと教えてもらったものの、正確な元ネタを見たわけではなかったが、不死鳥の名を持つコーデならステージ突破はできそうだ。

そしてアンコールステージ。本来なら自分でゲットしたコーデを着てお披露目するのだが…
「ひめめがこのコーデでプリマジするのが見たい！」
　とみはひめめを指名した。本来の衣装で本来のステージだ。

　そこでとみが気づく。
　そういえば、大会ではひめめがコーデを手渡してくれるのだが、この場合どうなるんだろう？
　曲が終わった。すると、もう一人のひめめが現れ、ひめめにコーデを手渡した。

　そういえば、前にもクリスタルひめめを魔法で出して自分に渡すのやってたな…
　その光景を見ながら、とみは以前のひめめ分身の事を思い出したのだった。

今回のフォト