第14章 バレンタインフォーユー!

「ううー、今日も寒いね」
 ふるえながら言うあみにれみが応える。
「この前の大雪から半月も経ってませんからね」
 とみが話題を変える。
「で、あみ、これからスタジオだっけ」
「うん」
「そういえば、寒くなさそうなコーデで、みたいなハッシュタグ見たよ」
「こう寒いと、そうなるよね」
 あみがそう言いながら、コーデブックを出す。
「揃ったけどまだ着ていないのは…ペイントルックコーデか」
「長袖ではあるものの、おなか出てるし、結局寒そうですね」
 れみがすかさずつっこむ。
 あみが寒い中、結局寒そうと言われたペイントルックコーデでライブすることになる。
「うーん、ショーパンの下にスパッツあるし、脚はオーバーニーだけど、逆に太ももだけ吹き曝しだから余計にスースーするなぁ」
「絶対領域がチャームポイントなんですから我慢してください!」
 れみが言うといまいち信憑性が無い気もするが…
 あみは二人と別れてスタジオに向かった。

 スタジオ出演の後、あみが楽屋で温かいココアを飲んでいると、クレアさんから連絡が来た。隣のスタジオで次に出るらしい。と、背後のモニターに目がいった。
 そこにいるプリマジスタに見覚えがあった。プリチャンでボード経由でフォロチケを手に入れ、アカウントをフォローしている人だった。あみもプリチャン世界ではその人のマイキャラと会ったことはあるのだけど、実際にこちらの世界で会ったことはない。

あみは隣のスタジオの楽屋に行ってみた。さっき画面で見たプリマジスタの子が座っている。
「こんにちは」
「え、あ、こんにちは」
「わたし、あみっていいます。プリチャンでフォロチケ使わせてもらったことがあります」
「あ、そういえばフォロワーさんですね」
「ニアミスが多かったけど」
「え?どういうことですか?」
「知り合いがここで今スタジオ出てて、画面であなたを見かけたり、昔、プリチャンで機器トラブルがあった時、そのトラブルでライブ出来なかったって書き込み見て、あ、入れ違いだったんだなって」
「なるほど。確かにニアミスしていますね。改めて、私、こくてん。よろしく」
「せっかくだから、この後デュオしませんか」
「いいですよ」
 あみはここぞとばかりにフラワーブロッサムコーデを着た。こくてんさんは…
「へぇ、ステンドグラスをアレンジ!すごい」
「なかなかいい感じのデュオになりそうですね」
 あみは、こくてんさんとデュオしたことで、フレンドポイントがたまった。
「ありがとうございます!これでチョコミントマカロン着れます!」
「チョコミント好きなんですか?」
「はい。特にアイス!」

 そんなこんなで、パステルマカロンチョコミントコーデを手に入れたあみ。さっそく着たいと思っていたところで、あえんちゃさんに会った。
「あえんちゃさん、それって」
「去年のナムコ限定のチョコミントです」
「それ、コロナワクチンのついでに狙ったけど、揃わなかったんですよね」
「そうなんですね」
「せっかくだから、わたしのステルマカロンチョコミントとミントチョコデュオしませんか」
「バレンタインも近いし、いいかもしれませんね」
 こうして、あみは自分が着れなかったコーデを見つつ、自分の手に入れたコーデを着てデュオができたのだった。
「実は、この後、相方とチェック合わせでやる予定なんですけど、一緒にどうですか?」
「いいんですか?ていうか、相方さんとは会ったことないですが」
「そっか、コウとは初対面でしたっけ」
「じゃ、コーデ用意してきますね」
 あみはコーデブックを見た。チェックのコーデは…あった、チェッカーセットアップグリーンコーデ。これでOKだ。
 あみは急いで二人のもとへ戻ったのだが…
「えっ?」
 あえんちゃさん達はハードチェックコーデだった。
「ええーっ!ハードチェックだったの?」
「チェック違いでしたね」
「でも、センターが違うコーデでも、模様がチェックならいいのでは?」
 コウさんがフォローしてくれる。初対面なのに…

 そんなことがあり、逆にこのコーデが気に入ったあみは、次のスタジオ出演の日はそれをアレンジしたミックスコーデで出かけた。れみは先週出たバレンタインTシャツのアレンジであみに合流した。
 そこへとみが来る。
「とみ、一体どうしたの?」  とみの服はどうみてもパジャマだ。
「へへへ。はにたんがこの服で街に出てる配信見て真似してみたんだ」
「確かにかわいいですけど…」
 まだ何か言いかけているれみとあみにとみがチョコを差し出す。
「今日はバレンタインだから、ちょっとハメを外したんだよ!はい、友チョコ!」
「ありがとう!あとで私からの分も渡しますね」
「わたしも用意してたのに、先こされちゃったな」
「れみはそのままでバレンタインライブやるの?」
「はい、そのつもりです」
「あたしは去年のショコラティエコーデにしたよ。去年はデビュー前で着てないし」
「今年は、バレンタインっぽいコーデ、まだ揃ってないから、今週のめちゃマジ注目コーデ買うしかないね」
「そっか、新作のバレンタインは見送りか…」
 そんな話をしながら楽屋に入ると、
「拙者に任せるでござる!」
 バンキッシュハートコーデを着たれもんが応える。今日のフレンド紹介の出演をお願いしていたのだ。
「拙者のコーデと、まつり殿にバレンタインクラシックコーデで来るように頼んでおいたので、五人ライブにすれば解決でござる」
「ありがとう、れもんちゃん!」

 そこへ、もう一人のフレンド、クレアさんが楽屋に入ってきた。クレアさんはあみが買う予定のバレンタインシュガーコーデを着ている。
「そのコーデ、かわいいですね!あたしも着たいかも」
 とみが言うと、
「そういえば、あみさん、れみさんとは何度かご一緒したけど、あなたとデュオしたことは無かったですね。この機会にどうです?」
「えっ、いいんですか」
「じゃ、わたしのライブが終わったら、とみにコーデ貸すね!」
「あみ、ありがとう!」
「そういえばこの前、クレアさんの背後のモニターにいた人、フォロワーさんだったから一緒にライブしたんですよ」
「私は知らないうちに縁を取り持ってたんですね」
「色々な出会いがあるって面白いよね」
 そこであみが鞄を開ける。チョコがどっさり入っている。
「さ、出演前に友チョコどうぞ!」
 司会のみゃむやチムム、はにたん達マナマナ、それにひな壇の子の分まであった。
「あ、あとでまつりちゃん来てくれるから、一人分残しておかなきゃ」
「いや、残すまでもなく…てか、あみ、あんたどれだけチョコ用意してるのよ?」
 半ば呆れたようにとみがつっこむ。
「どうせ、余ったら自分が食べるからって買い込んだのでしょう」
 れみが冷静に解説する。
「ははは、れみにはお見通しだったか」
「何年あみの相方やってると思ってるんですか!」
 一同、爆笑。そこへまつりが入ってきた。
「どうしたの?盛り上がってるね。私まで心がワチャワチャしてくるよ」
「あ、まつりちゃん、間に合ったね。あみの友チョコあるよ!」
「ありがとう!陽比野まつり、遠慮なくいただきます!」

 そんな感じで…
 ハッピーバレンタイン!


今回のフォト
                        
今回のソロ・デュオ・チームユニット

あみ


こくてんさん&あみ


あえんちゃさん&あみ


コウさん&あみ&あえんちゃさん


あみ/れみ&まつり/れもん&とみ


クレアさん&とみ


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