第13章 節分。鬼は外!

「豆はこれでよし。あ、このいわし、調理済みで柊の葉っぱ入ってる」
 あみはスーパーで買い物の真っ最中だ。
「焼き海苔にロングカニカマ、あ、鬼のイラストかまぼこ、かわいい!これも買っちゃえ。あとはキュウリかな。玉子も残り少なかったから買っておくか」

 節分の買い物だ。とりあえず、恵方巻は自分で手巻きを作って、いわしをおかずにする予定だ。手巻き一本丸ごとは長いから、三等分してれみ、とみと食べればいい。

 あみは買った食材を家に置くと、れみたちが来る夕方まで暇なのでプリマジに行くことにした。ただ、節分コーデはまだ投票中なのでショップに入荷していない。
「なんか、タイミング外してるよね」
 そう言いつつ、あみは投票で手に入れた節分のTシャツを着ている。

 あみは節分向けの私服で節分ライブをして、モニターをふと見て、そして二度見した。
 みるきが新曲のデュオをしているのだが、その相方はみゃむに似たマナマナ服を着ている。
「え?誰?」
 あみは頭の中を?だらけにしながら家に戻りれみたちを待つことにした。

 チャイムが鳴った。
「こんばんは!」
 とみだった。
「いらっしゃい。れみはまだだけど、準備、始めようか」
「うん」
あみは玉子をボウルに割り込んでとき、玉子焼きを作る。
「とみは鬼かまぼこを切ってくれる?」
金太郎飴のように切った断面には鬼の顔が出る。
「面白いかまぼこだね」

「そうそう。面白いといえば、今日、みるきちゃんがマナマナ服を着た子とデュオしてるの見たんだ」
「そうなんだ」
「みゃむちゃんとは違うんだよね…誰だろう」

 と、チャイムが鳴った。
「あ、れみかな」
 しかし、訪ねてきたのはれみではなかった。
「え?」
 あみは初めて会う…いや、そうじゃない!」
「あっ、さっきみるきちゃんとデュオしてた人!」
「あみ、こんばんははに〜」
「えっ?その喋り方!」
 よく見ると、その子ははにたんのイラストのTシャツを着ている。
「はにたんのファンの人ですか?」
「何言ってるはに?本人はに〜」
「えええええーーーーーっ?」

「なんの騒ぎですか?」
 いつの間にかれみも到着していた。

「ひめめの事は知ってるはに」
「ずっと眠ったままだよね」
「ひめめはスタジオの様子を見て、目覚めようとしているけど、ひめめの力だけではクリスタルから出られないみたいはに。そこで、もっとワッチャを集めるため、このはにたんもプリマジすることにしたはに。だから、あみに挨拶に来たはに〜」
「そうだったんだ。ちょうど、今から節分パーティーするから一緒にやろうよ。本当は節分ライブを今の投票コーデでやりたかったけど、間に合わないから、普通に節分パーティーすることにしたんだ」
「恵方巻は、どうせ酢飯はごはんに粉末の寿司酢混ぜるだけだし、ポールウインナーもあるから、巻き寿司2本作って半分にすればいいし!」
「豆まきも人数が多い方が盛り上がるし!」

 料理が揃ったところで。
「えっと、今年の恵方は…」
「南南東ですね」
「よし、方位磁石を置いて…って、あれ?」
 どう見ても針が北を差していない。
 れみがしげしげと見ながら、
「もしかして、この大きなキーホルダーの鉄に反応してるとかでしょうか」
 確かに、この方位磁石はキーホルダーになっている。あみが鎖と輪を外すと針は正確な向きになった。
「これ売ったメーカーは何を考えてるんだろうね?」
「全くです」
 みんなは思わず笑った。

「さて、食後は豆まきだね。鬼のお面は誰がかぶる?」
 そう問いかけるあみを他の3人がじーっと見つめている。
「…ははは、わたし?」
 3人は頷いた。

 さて、楽しかった節分パーティーが終わってその翌日。あみはもちこさんからメッセージを貰った。
「髪型変えたから、ライブしたいけど、一緒にどうですか?」
 あみはもちろん快諾し、プリマジに向かった。
「相変わらず、早く着きすぎちゃったね」
「じゃ、二人で先に一曲やるはに?」
「うん。はにたんとプリマジできるなんて思ってもなかったし、嬉しいな」
「そうはに?」
 はにたんも嬉しそうだ。二人は私服のままデュオした。

 ライブを終えて、ショップを覗いたりして暫く過ごすと、もちこさんが到着した。
「こんにちは」
「こんにちは。随分早いですね」
「ショップ見たりしてたから。今日は買い物しなかったけど、こないだは青いバタフライとか買ったんだけどね」
「青が好きとか?」
「紫は遠くのカフェ限定だったし、通常のは揃わなかったし」
「なるほど」
「と言いつつ、いつ着ようかなと思ってたりしてるけど、今日持って来てなかったりするんだよね。もちこさんは髪型変えたんだよね」
「はい。新しい髪型、どうかな?」
「似合ってると思うよ。今日はどんなコンセプトでいきましょうか?お姫様とか」
「いいですね」
 殆ど勢いでお姫様合わせのライブとなったのだった。

 あみは帰りに夜食の調達に向かったら先客がいた。小学生くらいの子がシュークリームを買おうとしていた。
「あっ、確かにシュークリームおいしそう!」
 あみも一つ買おうとしたら、女の子と目が合った。
「あ…」
「このシュークリーム、おいしいよ。しろも大好き!」
 しろちゃんっていうのか。
「じゃ、わたしも今日の湯食はこれにしよう。ライブの後は栄養補給!」
「プリマジスタさん?しろもプリマジやってるよ!」
「そうなんだ。今度週末にでも一緒にやる?仲間も呼ぶし」
「じゃ、しろもゆりさんを連れてくるね!」

 かくして、週末はとらいあんぐる☆ART、久々のジョイントライブとなった。
「紹介するね。うちのメンバーのとみとれみ」
「よろしく」
「しろがお世話になったようですわね。私はゆりですわ」
 しろちゃんの仲間のゆりさんはお嬢様っぽい。
「シュークリームがきっかけだから、今日はスイーツライブにしよう!」
 五人はスイーツモチーフのコーデでジョイントライブを行った。

「ふぅ、楽しかった!」
 解散後、あみはポーチからバタフライコーデを取り出した。
「折角持ってきたけど、今日のテーマじゃなかたなぁ」
 とはいえ、あみはこの後、特に予定はないから、この機会にソロで着ることにした。

 ライブが終わると、はにたんが声をかけてきた。
「あみ、鬼コーデ、売りだしたはに。鬼の面だけじゃなく、鬼ライブはしないはに?」
「時期のがしちゃったけど、やってみようかな。でも、福の神はいないよね」
「はにたんがフルーツいっぱいのコーデを着るはに〜」
「一応福の神ポジションってわけね。いいよ、やろう!」
 二人はコーデショップへと駆けていった。


今回のフォト
                   
今回のソロ・デュオ・チームユニット

あみ


はにたん&みるき


はにたん&あみ


もちこさん&あみ


あみ/しろさん&とみ/ゆりさん&れみ


あみ


はにたん&あみ


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