第8章 カロリーにご用心
あみのスマホから通知の着信音が鳴った。
「あれ?」
通知を見るとあみのプリマジ配信の新規フォロワーが追加されたようだ。
「嬉しい!どんな人かな?」
さっそく見てみる。
「もちこさん…なになに、一緒にプリマジやる人募集中?」
あみは早速返信した。
もちこさんから返事があったが、その日はプリマジスタジオ出演の日だった。
「その日、わたしはプリマジスタジオです」
「そうですか…日を変えますか?」
「逆にフレンド紹介で呼びますから、そのままプリマジ中継で一緒にやるのはどうですか」
「いいんですか?うーん、コーデ、どうします?ハードチェックとかラブエレメンツとか色々用意できますけど」
「ラブエレメンツとかいいかも!ハードチェック合わせは前にした事あるんですが、ラブエレメンツ合わせって初めてかも」
「わかりました。ラブエレメンツでやりましょう。もう一枠のフレンドさんも参加できればいいですけど、無理ならデュオですかね」
方針が決まった。あみは、もう一人のフレンドはどうしたものかと思案していた。すると、今度はモモカさんから連絡が入った。
「今度、プリマジスタジオでひな段やるんですけど、あみさんの回みたいです」
「それなら、フレンド紹介で呼びますので、よければ三人でラブエレメンツ合わせしませんか?」
「私は構いませんが、もう一人の方は…」
「大丈夫ですよ。話をつけておきます…ていうか、もともとそんな話してたんですけどね。楽屋で顔合わせしましょう。もちこさんって人で、実はわたしも当日初対面なんです」
今回のスタジオ出演はこのように悩むことなく内容が決まったのだった。
「おお、エレメンツコーデを三人で着るとなかなかいいね!」
三人はジャンプしてハイタッチし、ステージに上がった。
しかし、ここで誤算が起こった。エレメンツコーデなので、曲が始まると翼のエフェクトが発生する。
ソロなら問題ないが、フォーメーションでは無茶苦茶邪魔だった。決めポーズ取ったら翼で後衛が隠れたり…
「ごめん!コーデの選択誤った!」
「でも、まぁ華やかだしコレはコレで印象に残りそう!」
「ならいいんですけど…」
等と言いながら曲を進めると、フロートでコーデメイツが次々と持ってないコーデを持ってきたので、あみは全て選んだ。
すると、先日解放されたコーデメイツが高レアのコーデを持って現れた。
「おお、解放されたから、いいコーデを持って来てくれるんだね!」
色々あったが、とりあえず、収録は終わった。終わってみれば、確かに思い出にはなった。
さて、収録が終わるとあみはれみ、とみと合流した。次回のチームライブの打ち合わせだ。
三人はふと、モニターを見た。
「チムムちゃん?」
チムムが可愛いコーデで歌って踊っている。
「まぁ、みゃむちゃんもステージに立ってましたし、驚くことはないでしょうけど」
れみが冷静に指摘しながら、
「じゃ、だれが進行とカードパスをするんでしょうね?」
ワッチャが集まった。
そこで登場したのは、
「あ、ひな先輩」
「まぁ、そうだろうね」
三人は曲が終わるまで見た。そしてその後CMを見た。
「あ、さっきのコーデのチムムちゃんと色違いコーデのみゃむちゃんが出てる」
「ディッパーダンのクレープのCMだね」
「今、クレープを買うと、このみゃむ様とチムムの写真の栞が貰えるんだぞ!」
「チムム達とお揃いのコーデもゲットできるチム!」
CMを見た三人は、
「今日どこでお茶するかは決まったね」
「そうですね」
こうして三人はディッパーダンへ向かった。
「うーん、店に近づいただけで、甘い匂いがするね」
「食欲そそられる!」
あみはイチゴチョコ、れみととみはバナナチョコクレープと紅茶のセットを注文し、ティータイムに突入したのだった。
「わぁ、そっちのバナナもおいしそう!」
「イチゴもおいしそうですね」
「まさか…二枚目行く気では?」
「え?とみは一枚でいいの?」
あみに訊かれ、とみはつい、
「…あたしも二枚目食べる」
このような経緯なので、お茶しながら打ち合わせどころか、ひたすらクレープを食べただけでありながら、次のチームライブの衣装は話すまでもなく確定していたのだった。
「じゃ、最初に食べたクレープに合わせて、わたしが白、れみととみが黄色かな」
「うん。じゃ、あみがセンターだね」
「新曲も出たみたいですし、新曲やりましょう」
いざ新曲をやると、斜めのフォーメーションとなっている。ステージを正面から見ると、センターのあみよりサイドのとみが真ん中に見える。
「色のバランス考えたら、新曲は向いてないかもですね」
「だね」
「次回の反省点だね」
「次回か。次回はクリスマスかな」
「日程的にそうなりますね」
「次回の打ち上げはクリスマスパーティーだね」
しかし、あみだけはクリスマス直前にもスタジオのひな段があった。
「こんにちは」
楽屋で声をかけてきたのはあえんちゃさんだった。
「もうすぐクリスマスですね」
「わたし、去年のクリスマス、四色コーデ出たうち、緑だけ間に合わなかったんだ。まぁ、当時はソロばかりだから合わせとかはなかったけど。だから、今年着ようかと持ち歩いてるんだけどね」
「じゃ、私、今青持ってますよ。いやー、持って来て良かった!」
そんな話をしていると、横から声がかかった。
「あみさんも今日はひな段ですか」
もちこさんだった。
「ええ」
「話、聞こえたんですけど、私はピンク持ってきてますよ」
「じゃ、収録語、三人で合わせ、やっちゃいましょう!」
「羽のリベンジですね」
「今度は大丈夫ですね」
もちこさんとあみの会話に、あえんちゃさんは
「?」
二人は経緯を話した。前回のライブ、羽が邪魔だったというあの話だ。そして、次は曲だ。
「新曲はどう?」
「あれ、最後のなめこダンスみたいな振り、かわいいですよね」
「なめこダンス…言われれば似てるかも」
「ネタは結構古いけど」
こうして、今年はあみのクリスマスベルグリーンコーデは一年越しにクリスマスに使われることとなったのだった。
「♪雨は夜更け過ぎに 雪へと変わるだろう♪」
「♪さいでんなぁ ほうでんなぁ♪」
「呑気に歌ってる場合でもないですね」
途中から替え歌にしながら時折ちらつく雪を見ていたとみとあみにれみがつっ込む。
「うん、むちゃくちゃ寒い!」
「ニュースでは北部は積雪すごいってね」
今年のクリスマスはクリスマス寒波により、本当に寒かった。
今日のパーティーにはミルキーレモンの二人を招待している。更に、たまたま買い出し中に会ったあうるも、あみが半ば強引に誘って参加することになった。
「余興にこのTシャツ着てデュオしよう」
あみが突然言いだす。あみは投票参加賞のクリスマスツリーTシャツを着ている。そして、手には先週の参加賞のサンタvsトナカイのTシャツを持っている。
「あみ、その目線は私ですね?まぁ、そのTシャツ、面白いから構いませんが」
れみが立ち上がる。
二人のクリスマスデュオで盛り上がった後もパーティーの準備は続く。
「そういえば、あみはトナカイコーデに投票したんだよね」
「クリスマスライブ、トナカイいたら楽しそうだし」
「結局サンタになったけど」
「あみ、それはそれで嬉しそうに買ってましたが」
その会話を聞いて、あうるが突然、
「トナカイコーデ、あるよ」
「そうなの?」
「オメガコーポレーションはプリマジスタジオの運営に関わってる」
商品化されなくても、試作品を持っているのだった。
「では、拙者は今日の雪に合わせて白いクリスマスツリーのコーデを使うでござる」
と、れもんが言うと、とみも、
「あたしは去年のクリスマスベルの赤着ていいかな?この前のあみのライブで使われなかったし、これが出た頃はまだデビューしてなかったし」
「私はこのTシャツのままでもいいです。あみは買ったばかりのあったかニットサンタでしょうけど」
「よくわかったね」
「いや、誰でも想像つくし」
「みるきは、あまーいクリスマスケーキってことでショートケーキコーデにするお」
会場の飾りつけをしていたはずが、いつの間にかプリマジライブのコーデの話になっていた。
「よし、じゃあそのコーデで六人のクリスマスライブ、やっちゃおう!」
「おー!」
ライブの後にはケーキにローストチキン、クリスマスオードブルにシャンメリーその他諸々の御馳走が待っている。この前のクレープから続いてカロリーがいささか心配ではあるが…
ともあれ、メリークリスマス!
今回のフォト
今回のソロ・デュオ・チームユニット
モモカさん&あみ&もちこさん
チムム
れみ&あみ&とみ
もちこさん&あみ&あえんちゃさん
れみ&あみ
あみ&あうる/みるき&れみ/れもん&とみ
前へ・表紙へ・次へ