第4章 新たな始まり

「お疲れ様です」
 れみがあみにレジ袋を見せながら声をかける。
 あみはソロでのプリマジを終えて出てきたところだ。
「あ、差し入れ!ありがとう」
 あみは袋の中を見る。おなじみのグミだ。
「へぇ、一周年記念コーデもラインナップねぇ」
「箱も売ってたんですけど、とりあえずバラで出てた分を買ってきました」

 二人で開封しながらグミを食べる。さすがに飲み物もジュースだと甘すぎるので飲み物はほうじ茶にしている。
「えっと、揃ったコーデは一つだけか。一周年コーデはシークレットカラーのスカートと靴、ワンダーランドピンクは靴が足りないね」
「シューズはこれだけ買ってこのジュエリーサテンホワイト一枚ですね。これもダブりがないから、靴だけ極端に少ないですね」
 入ってたらラッキーのコーデはすでに意識から外れている。

「それはそうと、今回デュオできず残念です」
 れみが話題を戻した。あみは期間限定のショートケーキストロベリーでソロをしてたのだが、本来は通常カラーとの色違いライブをする予定だったのだ。
「ショートケーキコーデ、最初に見た時に気に入ったのに全然出ないんだよね」
「期間限定カラーもURコーデが2つ揃って残りもリーチになってやっと揃いましたしね」
「SRなのにHR並みに出ないものね。とにかくこれを真っ先に揃えてデュオしようって言ってたのに…」
「そういえば、なんでこんなにこのコーデで合わせをやりたくなったんでしょうね?」
「合わせをよくやってたプリパラやプリチャンには良くあったこの縞々のソックス、プリマジではあまり無かったから、なんとなく昔の事を思い出したのかな?」
「なるほど」

 そんな話をしていると、みるきがはにたんを抱いて通りかかった。はにたんはあみ達に、
「何の話をしてるはに?」
と問いかける。
 あみは事情を話した。
「それなら、ちょうどいいはに。みるきとデュオするはに。みるきは最近運営の手伝いにかこつけてプリマジをサボり気味はに」
「えー?」
 不満そうなみるきに、
「いやなら理由をレポートに書くはに!出来次第によってはこのぬいぐるみを脱ぐはによ」
「わかった、わかったお!ていうか、あみちゃんとのプリマジ、楽しいからやりたいお」
 その言葉を聞くと、はにたんは
「眠み〜」
と言ってそのまま昼寝モードに入ってしたまった。
「あれ?寝ちゃった?」
「大丈夫だお。始まればちゃんと起きるお。それより、あみちゃんがショートケーキストロベリーなら、色合いのバランスから、みるきはチェリークリームで完熟甘甘な組み合わせなんでどう思うお?」
「それ、すてきだね〜」
 あみはつい、はにたんの真似で答えてしまったが、確かにいいかもしれない。
「みるきのパートナー、れもんに負けないようにがんばるんだお!」
 みるきはそう言ってあみに喝を入れた。

 そして、そこから少し離れた広場。一人の女の子がモニターであみとみるきの完熟甘甘なプリマジに見入っていた。
「プリマジは好きでござるか?」
 背後から声がかかり、その子はびくっとして振り向いた。
「え?」
「拙者、プリマジの裾野を広げるべく、新人プリマジスタをスカウトしている者でござる」
「あの、もしかして、心愛れもんさんですか?」
「拙者のことをご存知で光栄にござるよ。ちなみにその画面でプリマジしているのは拙者の推しであり相棒であり親友でありライバルでもあるみるき殿と拙者の顔見知りのあみ殿でござる」
「れもんさん、あたしもプリマジスタになれますか?」
「そう思うから声をかけたのでござるよ。さっきのプリマジを見ている時の目の輝き。拙者の目に狂いはないでござる」
「あたし、とみっていいます。れもんさん、あたしをプリマジの世界に連れてってください!」
「拙者に任せるでござる!」

 二人はプリマジに向かった。
「まずはプロフカードを作って登録するでござる」
「はい。えっと、名前はとみ、誕生日は2月の…」
 れもんはそれを見て、
「とみ殿!その誕生日、さっきのあみ殿と同じでござるよ!」
「そうなんですか?」
「ちなみに、パートナーのれみ殿も同じ誕生日。運命でござるな。デビューしたら二人に会えるよう取り次ぐのも面白いでござる」
「でも、あみさん、あたしも見たことあるし、れもんさん達ユーフォリアレビューの6人に近いプリマジスタじゃないんですか?」
「確かに、アマチュアの草の根プリマジスタの中ではそこそこのプリマジスタでござるな」
「あたしとは格が違うのでは…」
「それなら、プレミアムプランを申し込むといいでござる。ワッチャも2倍溜まるし、ハード譜面のプリマジにチャレンジできるので特訓もできるでござるよ」
「まずは度胸試しに拙者がリードするから、この雑誌限定コーデで一度体験するといいでござる」
 とみはいきなりれもんと一緒にステージに立った。

「どうでござったか?」
「訳のわからないまま終わった感じがして…でも、楽しかった!」
「それでいいんでござるよ。最初はコーデも揃わないけど、とみ殿はプレミアムプランに入っているから、拙者の推し、みるき殿のTシャツをショップで買えるでござる。まずはそれでも買ってソロデビューすればいいでござるよ」
「でも、あたし、マナマナと契約してないですよ」
「拙者はスカウトに忙しいので、きゃろんが進行できるよう手配しておくでござる」
「うん!ありがとうございます、れもんさん!」

 こうして、ここに今、新たなプリマジスタが誕生した。


今回のフォト
           
今回のソロ・デュオユニット

あみ


みるき&あみ


れもん&とみ


とみ


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