第3章 限定・限定・限定!

 その日、あみは近所のセブンイレブンで朝食の買い出しをしていた。
「あ、これこれ!」
 あみが手に取ろうとしたのは「かにぱん」だ。カニの形のパンなのだが、バラバラにして並べ替えるとトンボになったり、色々面白い作例のレシピが載っていて、よく並べ替えて写真を撮ったりしているのだ。
 そこで、ふとポスターが目に入った。
「ガンダムフェア…?」
 サンドイッチを買うとガンダムのカードが貰えると書いてある。
「よし、サンドイッチに変更だね」

 あみは貰ったガンダムエアリアルのカードを眺めつつ朝食を摂っていると、れみがやってきた。
「あみ、おみやげがありますよ」
 れみはコンビニの袋から自分の朝食のサンドイッチを取り出した。
「まさか…」
「フェアやってたみたいでガンダムのカード貰いました。あと、シャア専用キットカットなんてのもあったから買ってきましたよ」
 れみが貰ったのはストライクガンダムのカードだった。
「これがこの前のプラモデルと戦ったやつですか?カードラックの真ん中にあったんですけど」
「それは結構昔のガンダムだよ。ディランザと戦ったのはこれ」
 あみが貰ったカードを見せる。
「ガンダムエアリアル」
「そういえば、明日からセブンイレブン限定のガンプラを売りだすそうですよ」
「そうなんだ。調べてみよう」
 二人はスマホで情報を検索した。
「あ、なんか黒いけど、このガンダムみたいなのありますね」
 れみがエアリアルのカードと見比べながら言う。
「これはルブリスってプロトタイプみたいなやつだね。廃材のランナーとかから再生して作ったエコプラってやつみたい」
「そういえば、セブンイレブンはペットボトルのリサイクルのCMもやってますね。そっか。廃材利用だから黒いガンダムにしたんですね」
「でも、このガンダムも本当は白いんだよ。他にも二種類あるね」
「この二つはセブンイレブンの看板みたいな色ですね」
「だね。特にストライクガンダムはセブンの看板そのものの色だし、買うとしたらこれだろうね」
「あ、これ、私のもらったカードのガンダムですか?形似てますけど」
「うん。そうだね。ますますこれが欲しいね」
「こっちのもかっこいいですけど、緑の部分が特に多いですね」
 れみがνガンダムのカラーリングを見て言う。
「確かに。緑はファミマの看板にも使われてるしね。じゃ、やはりストライクガンダムを買いに行こう」

 そんな訳で翌日。あみはセブンイレブンに向かった。
 不自然に大きなスペースの横にシャア専用キットカットの入った箱とマシュマロが並んでいる。マシュマロにはガンダムのアニメに出ているチュチュというキャラの絵が載っている。このキャラはピンクのふわふわのおだんご頭をしていて、確かに中のマシュマロは彼女のおだんごヘアに似ている。プリチャンのマイキャラ、というか、かつての自分がおだんごツインヘアだったこともあり、このマシュマロはあみの琴線に触れた。
 あみはマシュマロを買いつつレジの店員に訊いた。
「あの、プラモデルって入荷しないんですか?」
 店員はサンドイッチの粗品のカードを指さしながら、
「こういうガンダムのですか?搬入された時、店にいたお客様だけで完売しましたよ」
 げっ…そんなに人気なんだ!

 あみは急いで街の別のセブンイレブンに向かった。
「あの…すみません。プラモ…」
「ごめんなさい。取り置き頼まれてる分だけでいっぱいいっぱいで、店頭には出してないです」
「あ、取り置きできるんですか?次入荷したら取り置きお願いできますか?」
「とりあえず、ここに名前と電話番号書いてください」
 あみはお礼の意味もこめて、この店で朝食のサンドイッチを買い、初代ガンダムのカードを貰った。

「よし。安心したところで」
 あみは、セブンイレブンから足をのばしてプリズムストーンショップへ行った。
「プリマジスタジオでわたしが投票したカラバリが得票で勝って商品化したって言ってたから、買っていこう」
 ショップに行くとプリズムストーン店舗限定Tシャツも売られていた。
「神戸店限定はブラウンなんだね。よし。セブン限定ガンプラは今日買えなかったから、せめて店舗限定Tシャツは買っていこう!」

「んっふ、んっふ、んっふっふ♪」
 あみは「なめこ栽培キット」のなめこのように鼻唄を歌いながらプリマジに来た。
 プリマジに到着すると、あえんちゃさんがいた。なんだか困っている様子だ。
「どうかしましたか?」
「あっ、あみさん!私もUSBを試そうとしてみたんですけど、どうも機械とか苦手で」
「どれどれ?えっ、こんな表示見たことない!こりゃスタッフの人呼んだほうがいいかも」
 あみ達はヘルプを求めた。タントちゃんが飛んできてメンテナンスをしてくれる。
「あれ?」
 あみはそこでプロフカードの落とし物を見つけた。拾い上げて名前を見る。
「つぼみさん…ってまさか?」
 プリチャンでフォロトモだった人と同じ名前だ。あみはフォロトモだったつぼみさんに連絡を入れてみた。
「あ、あみさん!おひさしぶり…え、あ、本当だ!プロフカード無い!迎えに戻ります。ありがとうございました!」
 あみは状況が安定するまでモニターを眺めていた。たまたま自分が映っているめちゃマジダンスの映像が流れている。ちょうど先日ルーキーさんとデュオした時に踊った分のようだが、他に踊っている人を見ていると…
「あ、メロディさんがいる!このミックスコーデ、かわいいなぁ」
 あみは画面を見ながら、つくづく知り合い増えたな…と感慨にふけっていた。
 ふと振り向くと、あえんちゃさんとつぼみさんがいる。
 二人それぞれが、
「あみさん、今日はありがとうございました」
「え?大したことはしてないですよ。折角ですし、三人でプリマジしませんか」
 こうして、あみの各種お節介の結果としてのライブが始まった。

「おう、あみ!今日もやってるな」
 解散したあみの前にみゃむが現れた。収録帰りなのかスタジオのMC服を着ている。
「あ、みゃむちゃん!この前投票したそのMC服の色違い、買ってきたよ」
「ありがとな!じゃ、色違いデュオやるか!」
「えっ?みゃむちゃんステージに立てるの?」
「ひゅーいだってトンマとやってただろ?このみゃむ様に出来ないことはないんだぞ!」
 そういえば、あの男性デュオはチュッピとマナマナのデュオだったな。それに、今ははにたんがドローンに載って進行できるし。
 こうして、あみとみゃむは初のデュオをした。そして手に入れたコーデは期間限定のショートケーキストロベリーコーデだった。
「あ、期間限定もリーチかかった!今日は限定づいてるなぁ」
「そうなのか?」
 あみは今日の経緯をみゃむに話した。
「それなら、折角の限定Tシャツでもう一曲やると揃うかもしれないぞ!」
 みゃむは私服に着替えた。
「今度はみゃむ様がメインでいくぞ!」
 あれ?だとしたらドローンから進行するのは誰になるんだろう?
「え?まつりがやるぞ。魔法界で留学してるんだから、そのくらい出来て当然なんだぞ」
 見上げると、ドローンの中でまつりが手を振っている。

 結果、二曲目のデュオライブで、本当に期間限定が揃ったのだった。
「本当に限定、限定の一日だったなぁ…」


今回のフォト
           
今回のデュオ・チームユニット

つぼみさん&あみ&あえんちゃさん


みゃむ&あみ


あみ&みゃむ


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