第2章 プリマジスタジオ、番組初出場!
「あら?」
れみが素っ頓狂な声を上げた。
「この目の部分のシール、部品を嵌める時に引っかかって曲がっちゃいました」
「あー、結構キツキツだね。単に黒いだけだから、マーカーで塗ってしまおうか」
「じゃ、マーカーが乾くまでに、頭を後回しにして胸とか腕を先に作りましょう」
あみとれみは四苦八苦しながらディランザのガンプラを作っていた。
「そういえば、オファーを受けたプリマジスタジオの収録はいつですか?」
「明日だよ」
「せんぱいプリマジスタさん達を友達紹介するなんてすごいですね」
「本当はれみとあと誰かを呼びたかった気もするけど、またとないチャンスでもあるし」
「だとしたら、私と誰にするつもりだったんですか?」
「うーん、最近だとメロディさんとか、いっきさん達ならその中で誰かも迷うし、クレアさんやてるひさん、みか♪さん、まみ☆さん、にぱさん、よつは☆★♪さん、きりさんやえいなさん姉妹も久しぶりに会いたいし、遠方だけどエルザさんやあえんちゃさん…他にもみるきちゃんやあまね様…呼びたい人が次々出てきて決まらないなぁ…」
「逆に前もって決まって良かったですね」
「うーん、そうかも」
「番組がどうなるか楽しみです」
「うん!あ、話しながらだから間違えた部品切り離しちゃった。これ左腕のだ」
「大丈夫。私が次に使うやつです」
あみが右腕、れみが左腕を作っていた。
「肩のここ、墨入れした?」
「あ、忘れてました。あみの作ったのを見せてください。合わせます」
こんな調子でやっていたので、プラモデルが完成したのは夕方だった。
「できたー」
「箱絵みたいに槍を持たせるには…あ、手を一旦ばらして挟んでから組み直すんですね。よしっと。わぁ、すごくカッコいいです!」
「確かにかっこいいし、手をバラすの面倒だし、当面槍を構えたままにしておこう」
「ですね。このままテレビの横にでも飾りましょう」
さて、収録当日。
「みゃむちゃん、チムムちゃん。今日はよろしくね」
「おう、あみ!よく来たな!じゃ、これに着替えるんだぞ」
みゃむに手渡されたのはTシャツとハーフパンツや靴だ。今日参加するプリマジスタたちも着替えている。Tシャツは種類があるようだが、他は共通だった。
「あみは出番以外はひな壇の二段目のここが定位置チム」
「台本はこれだから、出番までに見ておくんだぞ」
いろいろと準備をする間、タントちゃん達が音響マイクやカンペを持ってあたふたと飛び回っている。いよいよ本番前の緊張が場に充満する。
「じゃ、行くチム!」
チムムがそう言うと、みゃむと共にスタジオに飛び出して行った。
番組スタートだ。
呼び出しがかかると、次々とプリマジスタ達が入場していく。そして、いよいよあみの番がきた。あみは勢いよくスタジオへ飛び出した。
最初のコーナーはファッションランウェイだ。あみは注目コーデで買っておいたリトルプリンセスパープルコーデを着ることにした。折角のテレビ番組だし、お姫様みたいなコーデを着たかったのだ。
次のコーナーは「みんなでどっちでSHOW」だ。スタジオに二枚のボードが運び込まれる。それぞれにみゃむとチムムのMCユニフォームの色違いを着た写真が載っている。それぞれのプロデュースのカラーバリエーションだ。
あみは付き合いの長いみゃむへの忖度抜きに、ピンクでかわいいみゃむプロデュースのものに投票した。
「結果は次回に発表するチム!」
「参加してくれたみんなには限定Tシャツをプレゼントするぞ!」
みゃむとチムムのマスコット状態のイラストが描かれたTシャツだ。
「わぁー、かわいい!」
あみを含め、ひな壇のプリマジスタから歓声が上がる。
そして、いよいよフレンド紹介だ。あみの両横にせんぱいプリマジスタの二人が出てきて並んでくれる。
「紹介します。ていうか、皆さんご存知ですよね…せんぱいプリマジスタのえりささんとゆうりさんです。お二人はわたしのプリマジ配信にいいねをくれたり、一緒にデュオプリマジしてくれました」
ゆうりさんは髪型が先日と変わっていた。
「スタジオ出演のために髪型変えてきました!」
「おおー!」
スタジオに歓声が上がる。
次はいよいよプリマジ中継だ。あみはせんぱい二人とプリマジがしたかったので、三人でやる新曲を選んだ。
三人でのイリュージョンはコーデメイツ達が人文字を作ったりする楽しげなものだった。
一曲目が終わった。
「せっかくだから、さっきのTシャツでもプリマジしたいな…」
すると、ステージを見ていた観衆の中からまつりが現れた。確か、魔法界に留学中のはずだが?
「まつりちゃん?」
「みゃむの番組が気になって、ちょっと戻ってきちゃった」
「そうなんですね」
「私とのデュオ、中継2曲目でやろうか。あみちゃんがそのTシャツなら、私はそのままこの服でやろうかな。私服でデートみたいだね」
「うん!楽しいプリマジにしようね!」
曲が終わると、普段はコーデメイツたちが輪になって頭上を舞って、コーデカードを生成してくれるのだが、なぜかコーデメイツたちがどこかへ飛んで行った。
「あれ?」
すると、そこにビジョンが現れ、コーデメイツたちが神殿のような所へ飛んでいくのが見える。
そして、前の放送で一瞬出てきた眠る彫刻のような姿がホログラムのように現れた。かなり巨大だ。
「あれは…ひめめ?」
ひめめは眠ったままにも関わらず、手にした錫杖を掲げた。すると、錫杖からコーデカードがあみ目がけて飛んできた。
「何だったんだろう…?今のは」
兎にも角にも、こうして、番組は無事終わった。
あみは中継を終えて楽屋に戻った。すると、ひな壇で隣にいたプリマジスタがテーブルの向かいにいた。
「お疲れ様でした!」
「お疲れ様。隣でしたよね」
「わたし、あみっていいます」
「プロフィール紹介で聞いてましたよ。私はモモカ」
「わたしもプロフィール紹介で聞いてましたよ」
二人は顔を見合わせて、
「ですよね!」
と笑った。そこへ、モモカさんがフレンド紹介で呼んでいた子が楽屋の入り口から顔を出した。
「モモカ、まだ帰らないの?」
「あ、あみさん、あの子、相方のモカ★なんだけど、これから3人でプリマジやりに行きません?」
モモカさんが誘ってくれる。
「ぜひ!うちにも相方いるけど、今日は来てないんですよね」
そういえば、今回の2曲のフロート中にコーデメイツが持ってきたアイテムで最初にマーチングブリティッシュコーデ、次にプリンセスハートフェザーコーデが揃った。なぜか高レアなものが先に揃っている。
モモカさんはそのプリンセスハートフェザーをランウェイで着ていた。
「プリンセスハートフェザー合わせ、出来ますよ」
「じゃ、決定ですね!」
モモカさん達とのライブが終わって、帰ろうとすると、あみの背後から声がかかった。
「あの、さっきの番組見てたんですけど、あみさんですよね?」
「あ、はい。ゲーマー系プリマジスタのルーキーです」
「確か、Elements☆Heroinesのメンバーの人でしたっけ。こないだ、いっきさん達と一緒にプリマジさせてもらったんですよ」
「もちろん聞いてます。だから、私もと思って、中継みてここへ来てみたんです」
「わざわざありがとうございます。では、やりましょうか。エレクトロリミックスのUR合わせという事ですかね」
「はい。それでお願いします」
あみはふと思った。前回は自分がメロディさんに同じようにアプローチしたな、と。
あみの初めてのプリマジスタジオ出演は終わったが、まだまだ帰れそうにない状況になりつつある。でも、ワクワクのほうが大きかったのだった。
今回のフォト
今回のデュオ・チームユニット
ゆうりさん&あみ&えりささん
まつり&あみ
モカ★さん&あみ&モモカさん
ルーキーさん&あみ
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