第1章 出会い、そして、オファー
あみとれみはついテレビの前に並んで正座した。
「いよいよ始まりますね、みゃむちゃんの番組」
画面にみゃむともう一人のMCが登場する。
「よく来たなー!みゃむ様とチムムがプリマジスタジオを紹介するぞ!」
「えっ、チムムって言った?」
「言いましたよね。ひな先輩のマナマナですよね」
「ネズミみたいな小動物だったと…あ、でもみゃむちゃんも猫の姿になったりしてたよね」
あみたちが話している間も、みゃむとチムムのMCは続いている。
「ここが新しく出来たプリマジスタジオだぞ!ここはたくさんのプリマジスタ達が集まってワチャワチャするすっげースタジオなんだぞ!」
「スタジオでは沢山のコーナーがあるチム!お友達を紹介してもらうわたしのフレンドコーナーや、」
「欲しいコーデを投票するみんなでどっちでSHOWのコーナー!みんなはどっちを選ぶんだろうな?」
「選ばれたコーデはショップで買えるチム!毎週あるからみんなもちゃんと参加するチム!」
と、画面に一瞬女性をかたどった水晶の彫刻のようなものが映る。
「!?今のは何チム?」
「気が付いたか!あれはコーデメイツのプリンセス、ひめめだぞ!伝説のプリンセスブランド、プリンセスマジックが遂に登場したんだぞ!」
「でもまだ眠っていたチム?」
「そう!でも今年は1000年の眠りからひめめが目覚めるお祭りの年なんだ!だからこのプリマジスタジオでみんなでワッチャワッチャな楽しいステージをして盛り上げていくぞ!よし!それじゃあさっそくコーナーにいくぞ!」
「プリマジスタの登場チム!」
スタジオに次々とプリマジスタが入ってくる。
「今日はこのメンバーでお送りするチム!みんなー、よろしくチムー!」
「あれ?あの子!」
あみが出演している子を見て言った。
「知り合いでしたっけ?」
「前にみるきちゃんと浴衣合わせしたいなって話してた子だ!」
「ああ、そういえば。よく覚えてますね」
プロフィール紹介で、その子はメロディと名乗った。
「あれ?何となくだけど、あの子プリチャンのフォロチケ交換した事ある気がする」
「そう言えば、メロディさんと向こうの世界でライブした記憶はありますね」
二人は忘れかけていたが、二人には以前、ゲームのプリチャンのキャラとして三年ほどその世界の住人として暮らしていた記憶がある。
番組ではファッションランウェイの後、プリマジの中継になった。
「あれ?さっきの子のステージ、近所じゃないですか?」
「本当だ。ちょうどプラモデルの道具買いがてら見に行ってみる?」
「そうですね」
二人はさっそく出かけることにした。すると、番組に出ていたプリマジスタがちょうどプリマジを終えて出てきたところに出くわした。
「こんにちは!放送見てましたよ!」
「えっ?あ、ありがとうございます」
「メロディさん、わたし、あみっていうんですけど、以前プリチャンでフォロチケ交換した事ありませんか?おだんごツインの髪型のキャラなんですけど…」
「あっ…あの時の!」
メロディさんは覚えてくれていたようだ。
「せっかくだから一緒にプリマジしたいと思ったんですけど」
「私たちのマナマナは司会のみゃむちゃんなので、今、ステージに上がれないんです」
あみとれみが申し訳なさそうに言う。その時だった。
「大丈夫だお〜」
はにたんを抱いたみるきがやってきた。はにたんは一見ぬいぐるみだが、みるきをサポートするマナマナだ。そして、なぜかぱたのも一緒にいる。ぱたのはあまねのマナマナだ。
「みるきは運営の仕事もあるから、はにたんにサポートしてもらうといいお」
「それ、素敵だね〜」
はにたんもみるきの提案を肯定する。
「いいの?ありがとう!」
すると、今度はぱたのがれみの方へ飛んできて、
「あまね様は演劇の練習が忙しいので、れみ様のサポートはこのぱたのに任せるんだべ」
「ありがとうございます!ぱたのさん」
こうして、あみ達はそれぞれのパートナーのマナマナとプリマジできるようになった。
「じゃあ、この前のリベンジするお?」
みるきが訊く。以前の浴衣4色ライブをしたいという話の事だ。あみはメロディさんに事情を説明する。
「え、そんな事があったんですね。その時に声かけてくれても良かったですよ?でも、今からでもやりましょう!」
話は決まった。先攻は水色のあみと限定ピンクのメロディさん、後攻は藤色のれみと柚子色のみるきに決まった。
浴衣ライブを終えて解散後、あみとれみは模型屋に行った。
「まず、部品を切り出すのにニッパが要りますね」
「最近のガンプラは成型色とシールだけでもそこそこいけるから、塗料はいいかな」
「接着剤も不要と書いてましたし、買う物はあまりないですね」
「あ、でもコレは買っておこう」
「ペンですか?」
「ガンダムマーカー。ガンプラのちょつとした部分ならこれで塗れるし、特にコレ」
「墨入れペン…ですか?」
「これで溝の所なぞってティッシュとかですばやく拭くとそれだけでリアルになるスグレモノなんだ」
「そうなんですね」
二人は模型屋で買い物を終えると、そこで解散した。
「じゃ、明日一緒にかっこよく作ろうね!」
「仕上がりが楽しみです」
あみは帰りに再びプリマジ界隈を通過することになる。ふと見ると、そこで談笑している3人組がいる。あれはたしか…
「こんにちは。ラヴィットさんのチームの方…ですよね」
「いかにも。私たちはElements☆Heroinesのメンバーです」
あみに髪型の似た子が答える。
「私はいっき。で、バイスとムテキ」
いっきさんはメンバーを紹介してくれる。この二人の名前って…
「あの、いっきさんとバイスさんってもしかして…」
「あ、別に仮面ライダーリバイスじゃないんだよ〜♪」
あみのつっこみを予測してバイスさんがリアクションする。そう。去年やっていた『仮面ライダーリバイス』の主人公がいっき、彼と契約した悪魔がバイスで二人が仮面ライダーになるのだ。特撮好きのれみの影響であみも番組は見ていた。
「ほら、水城も輝もそのニックネームで登録するから、この人みたいに誤解する人がでるんだよ」
「ムテキ〜、この場面で本名で呼んじゃだめだよ〜♪」
二人を本名で呼んだムテキさんに輝ことバイスさんがつっ込むが口調の感じからして別に怒ってはいないようだ。
「えっと、あみさんでしたっけ。ラヴィットとやった色違いシリーズ、私たちともやってみますか?」
いっきさんが誘ってくれる。
「もちろん!みなさん、楽しいプリマジにしましょう!」
「え?全員と3連続ですか?体力もちます?」
おもわず聞き返してしまう3人。当然あみは平気だ。そして、いっきさんとエレガントジュエル、バイスさんとミラクルベア、ムテキさんとスパークスターのURコーデ色違い3連続ライブをした。すると、あみに通知が来た。
「フレンドポイントが溜まったからコーデクーポンプレゼント!」
あみは、
「皆さんのおかげで貰えたみたい。ありがとうございました!」
「いやいや、私たちも楽しかったよ〜♪」
「それじゃ、ラヴィットさん達によろしく」
「OK。他のメンバーとも色違いライブしてあげてくださいね」
「ぜひぜひ!」
そんな訳で結局、あみの帰宅はかなり遅くなったのだった。
翌日、あみはれみとプラモデルを作る前に、朝のうちにおやつを買おうと家を出た。そして、プリマジ界隈を通りかかると、せんぱいプリマジスタのゆうりさんを見かけた。
「あ、あの、おはようございます!ゆうりさん!」
「あ、前にえりさとプリマジしてましたね。見てましたよ」
「ありがとうございます!」
「折角だし、私ともプリマジしますか?」
「いいんですか!ぜひお願いします!」
あみはそう言ってからはっとした。買い物に出ただけなので、コーデブックを持っておらず、今の手持ちは雑誌付録とガッチャモールをショップで買ったもの数枚だった。手持ちを見るとボトムスさえあれば、白ベースのミックスコーデができそうだ。ちょうどフレンドポイントの分に白いスカートがある。これをすぐ買うか。
「あの、白のミックスで大丈夫ですか?」
「ええ。それじゃ、私は緑のミックスにしますね」
せんぱいプリマジスタとのライブの経験にうっとりしていると、ゆうりさんはもっとすごい事をあみに言ってくれた。
「次のプリマジスタジオに出演しませんか?友達紹介では私とえりさを呼んでくれたらいいですよ」
「ええええええええええーーーーっ?!」
突然のオファーだった。
今回のフォト
今回のデュオユニット
メロディさん&あみ
みるき&れみ
いっきさん&あみ
バイスさん&あみ
ムテキさん&あみ
ゆうりさん&あみ
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