序章 水星のプリマジスタ?

「あみ、見てください!一つだけ買えました!」
 れみが嬉しそうにエコバッグを掲げる。何か大きめな箱が入っている。
「え?ガンプラ?」
 れみが買ってきたのはガンダムの新作「水星の魔女」に登場するモビルスーツのプラモデルだった。
「なんか、今はすぐ売り切れちゃうみたいですが、たまたまかっこいいのが一つ残ってたので買ってきました」
「赤くて角があるから、シャアザクみたいなライバルメカでしょうか」
「まぁ、それはそうだけど、このグエル専用ディランザは第一話で大破しちゃったけどね」
「だから残ってたんでしょうか…でも、かっこいいですよ」
 れみはこの手のがっしりしたメカっぽいデザインが好きな筈だ。以前、キン肉マンでも戦車型の超人、レオパルドンを気に入っていた。確かに、あの超人も初戦は一撃でノックアウトされてたっけ…
「うーん、れみがかっこいいと思うキャラ、なぜかすぐやられちゃうよね」
「人を死神みたいに言わないでください。一応、ガンダムの主役機も探したけど、昨日発売だったらしいパイロットのプラモデルも含めて売り切れてました。ガンダムのパイロット買うって、代わりにこの私が買ったのと生身で闘わせようとしてるんですかね」
「今回の主人公は可愛い女子学生だからね。萌え系として需要があるのかも」
「へぇ、アムロ対シャアの頃から時代は変わったんですね」

 さて、なぜプリマジスタ二人がガンプラ談義をしているかというと…

 数日前。
「あみ、れみ。今度みゃむ様は新番組のMCをすることになったんだぞ!」
 みゃむが二人に言った。
「そうなんだ。絶対見るね。何曜日の何時?ビデオの毎週予約入れなきゃ!」
「でも、今までみたいに一緒にプリマジする時間があんまりないんだぞ」
 そうか。マナマナがいないとプリマジは出来ない。
「これからは活動が減りますね…」
「でも、みゃむちゃんの出世だもん!わたし達は他に楽しめる趣味見つけてそっちに時間回せばなんとかなるし!」
「そうですね。他にも夢中になれるもの、見つけましょう」

 それで、れみが見つけたものがグエル専用ディランザのガンプラだったのだ。

 二人はあみが録りためた新作ガンダムを見てからプラモデル作りを始めることにしてテレビの電源を付けた。
「あれ?予約録画2分前って出なかった?」
「そういえば、今日はみゃむちゃんがMCやる番組の初回でしたよ」
「そうだった。今からだね」

 番組が始まった。

「ワッチャ!プリマジスタジオ!」


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