第10章 グランドフェス2・コーデがないなら作ってやるわ!

「何が起こったの?」
「何でしょうね」
「コーデが消えたってことだよね」
 あみがコーデブックをパラパラとめくる。
「生き残ったカードから何か判るかもしれませんね」
 れみの指摘により、二人は気づいた。
「エレメンツコーデだけが残ってる…」
 あみは中継モニターを見た。どうやら、エレメンツコーデ以外のコーデはジェニファーがサンシャインエレメンツと融合した際に発生したブラックホールのようなものの中に吸い込まれているようだ。

「今日は帰ろうか」
「そうですね」
 二人はそう言いながら、時間もあるのでマクドナルドに入った。
「あ、もう月見バーガーの季節か」
「月見すきやきバーガーなんていうのもありますね」
「あ、わたし、それにする!」

「で、どうですか?月見すきやき」
「てりたまのソースがすきやき味…みたいな感じかな。和風てりやき、みたいな」
「てりやき自体和風な気もしますが」
 あみはバーカーのかじっていない側を少し割ってれみに渡す。
「ま、食べたらわかるよ」

 次の日になっても、コーデは復活していなかった。
「れみ、とりあえず、このままでデュオしようか」
「確かに、普段はコーデを使うから、新鮮かもしれませんね」
 二人はデフォルトの服のままプリマジをしてみたが、さすがに普段ほどのワッチャは集まらなかった。
「やっぱりダメか」
「あみ、体を翻した時、スカートがふわっとなって黒スパッツが出てました」
「やだ、そうなの?」
「なまじ、あれが見えちゃうのはマイナスですね。もうちょっと見えそうで見えない振り付けにするか、いっそ見えても可愛かったり色っぽかったりのものにするとか…」
「するかーっ!てか、そんな事できるならコーデ復活させるわ!」
 あみとれみの毎度のようなかけあい漫才をしていると、ひなが通りかかった。
「ひな先輩!コーデが消えたんです!」
「アタシ達も消えたよ。でも、何とかしようとしてるんだけどね」
「どうするんですか?」
「とりあえず、ワッチャを集める事。それから、エレメンツコーデをヘブンズ化する事」
「ジェニファーさんみたいに色が変わるってことですか?」
「今、チムムがみゃむの所へ行っている。みゃむは手作りでまつりのコーデを作ろうとしているので、みんなで手伝う事になったんだ」
「わたし達も手伝います!」
 あみとれみはひなに付いて作業場所へ行った。
 そして、端切れを集めたドレスを完成させた。

「まつりちゃん!みんなの気持ち、このドレスに託したよ!」

 まつりのプリマジで、コーデを封印した結界が少し緩んだが、まだまだ結界は強固なままだ。
「あの」
 れみが端切れを手に言った。
「この、みゃむちゃんが失敗した端切れ使えば、もう一つ作れそうです」
 少し色が違うが、もう一着ドレスが完成した。
「五人はヘブンズ化の課題もあるし、これはあみが着てまつりちゃんとデュオしたらどうでしょう」
 れみの提案に誰も異論はなかった。

 あみとまつりは手作りのドレスでデュオをして、結界に小さなヒビを入れた。

「後はこの大魔法使い、みゃむ様に任せるんだぞ!」
 みゃむは猫の姿になり、巨大化して結界に体当たりをした。その勢いでヒビが大きくなり、その隙間から幾つかのコーデが解放された。
「あ、わたしが着てた服、元に戻った」
 そこでみゃむが言った。
「おう!あみ!ラブエレメンツコーデフェスは順調に進んでるか?」
 突然何を言い出すか驚いたあみだったが、
「みゃむちゃん!うん!アクセサリーもゲットして順調だったよ!」
「それなら良かったぞ!その勢いのまま、今から二曲目をがんばるんだぞ!」
「え?この状況で?」
「エレメンツコーデで6人ライブするんだ」
「私は合宿でみんな貰ったアクアエレメンツはあるけど、ウンディーネ先生に認められたあまね様がヘブンズ化させるべきだと思うし」
 と、まつり。
「私はダークネスエレメンツあるけど、れもんちゃんとかぶるし」
「そうなれば、あみさんのスマイルエレメンツが6つ目ということになりますね」
 あまねが結論付けた。
「わかった。この後の6人ライブ!楽しんでくるね!」
「そうだね、楽しんでこそワッチャも集まるってものじゃん!」
 ひなの一言で6人はステージに上がった。

 曲が終わって、エレメンツの紋章からカードをパスしようとしたみゃむが、ふと手を挙げると、また手の中にカードがあった。
「あれ?まただぞ?ま、いいか」

 こうしてあみはフェス2曲目をクリアし、大量のワッチャを集めることができたのだった。だが、事態はまだ解決していない。

「ワッチャは集まったけど、どうすればいいんだろ?」
「まずは上空に上ったジェニファーに追いつき、グランドフェスとして伝説のユーフォリアレビューをする」
 あうるが解説する。ユーフォリアレビューとは大古の昔マナマナとチュッピの架け橋となり、やがて2つに分裂した女神ユーフォリアのためのプリマジということだ。
 まずはエレメンツに認められたプリマジスタがエレメンツコーデをヘブンズ化し、フロートに載って上昇する。
「どうやってそんなに高く?」
「マナマナの魔法界とチュッピの人間界それぞれに伝わる赤と青のサファイアを通してワッチャを送る」
「赤と青のサファイア?」
 誰ともなく聞き返したところに、あみが野暮なつっこみを入れる。
「赤いサファイアって…コランダムの色付きのものがサファイアで、そのうち赤いものをルビーって言うのでは?」
「鉱物分類とは関係なく、そういうアイテムなのではないでしょうか。それより、それはどこにあるのでしょう?」
 れみがフォローする。
「オメガ社とフェスリダ学長が管理し、今は社内にセットされている」
 あうるが答える。
「もうすぐハロウィン!当日楽しいプリマジができるようにがんばろう!」
 あみのいささか場違いな掛け声に、ついつい
「おーっ!」
 全員の掛け声が重なった。決戦の時は近い。
(続く)


今回のフォト
             
今回のデュオ・チームユニット

れみ&あみ


まつり&あみ


あみ&あうる/みるき&ひな/れもん&あまね


前へ表紙へ次へ