第６章　夏の太陽のフェス

　第６章　夏の太陽のフェス

「えっと、二泊三日だっけ」
「はい。だから明日のフェスには行けませんね。私の分も頑張ってくださいね」
　れみは泊まり掛けの出張に出ていった。
　あみはフェスに向けてコーデを整理していた。
「そうだ、この雑誌でゲットしたコーデ、また着ようと思っててそのままだ」
　とはいえ、今回のフェスでは使い所が無さそうだ。
「それなら、今から普通にプリマジ行けばいいか」
　あみはプリマジに着いた。そこにいたのは…
「せんぱいプリマジスタのえりささんだ！」
　以前、あみ達の投稿に「いいね」を付けてくれて大喜びしたことがある。
「えりささん！以前「いいね」をいただいた、あみっていいます！ありがとうございました！」
「プリマジ、がんばってるみたいですね。一緒にプリマジしますか？」
「ぜひぜひ！お願いします！」

　あみはせんぱいプリマジスタとのデュオを終えて、夕食の買い出しにコンビニに向かった。
「今日は経験値は積めた気がするから、あとは腹ごしらえかな…何食べようかな」
　あみが迷っていると、
「アタシはこういう時、カップ焼きそばにウインナー入れたりするけどね」
　隣にいた買い物客がさう言いながらカップ焼きそばをカゴに入れた。
「確かにゴージャスな焼きそばになりそうですね！わたしもやってみます！」
「ふふ、次会ったら感想を聞かせてね」
　あれ？どこかで会った人なのかな？
「あなた、プリマジスタでしょ？配信見たよ」
「そうなんですね！ありがとうございます。あなたもプリマジスタなんですか？」
「まぁ、今はメシマジスタでもあるけどね。アタシはてるひ。ビビッドスターのコーデでよくプリマジしてる」
「わたしはあみ。今度一緒にプリマジしましょう！」
「また会えれば、ね」
「その時は焼きそばの感想、言いますね！」
「楽しみにしているわ」

　あみはてるひさんと別れて帰宅し、お湯を沸かして焼きそばが出来るまでに電子レンジでウインナーを温め、ウインナー焼きそばを作ってフェスに臨む勝負メシにした。

　そして、翌日。いよいよフェス当日だ。
「夏の太陽のイベントだし、夏らしく浴衣で行こうかな」
　あみは街角ファッションランウェイを浴衣で通り抜けた。そして、そのままフェス会場に向かうと、みゃむが出迎えてくれた。
「よぉ！あみ！サンシャインエレメンツコーデフェスが始まったな！」
「みゃむちゃん！もう６回目のフェスだね！今回も楽しむよ！」
「おうっ！まつりと一緒にワッチャを集めて最高のプリマジにするんだぞ！」
「うん！まつりちゃんと一緒に最高のステージにしてみせるよ！」
　そう。今回ま課題曲はデュオだ。れみがいないので、みゃむの紹介でまつりとデュオをすることになっていた。
「まつりちゃん、今回はどのコーデにしようか？」
「今回のＵＲコーデのメモリージュエル、すごく綺麗だし、あれはどうかな」
「袖やスカートの一部の透け感も宝石みたいだしいいかも！わたし、雑誌で手に入れたルージュ持ってます」
「じゃ、私はアイシクルにすれば赤と青で綺麗かな」
「決定ですね！」

　課題曲を終えて、あみは次の会場に向かった。
「浴衣はさすがにちょっと動きにくいから、普通の服に着替えようかな。この前みるきちゃんが着てた服、かわいいからゲットしたんだよね」
　などと言いつつ着替えると、会場前でみるきと会った。なんと完全にペアルックだ。
「あれ？同じ服だお？」
「この服、かわいいよね！」
「あみちゃん。今日のステージも一緒にがんばるお～」
「みるきちゃん！ありがとう！みんなと一緒のステージに立つのが楽しみ！」
「みるきも楽しみだお～。最高のプリマジにするお！」
「うん！サンシャインエレメンツコーデを集めて最高のステージにしよう！」
　次の課題曲はエキシビション曲だ。みんなマーチングコーデで参加になる。
「誰かとかぶってもバランス悪いし、ここはやっぱりオリジナルのグリーンフリルかな」
　メンバーはみるきがイエロー、れもんがレッド、ひな先輩がパープル、あまね様がグリーン。青系のテクノマジカルの二人は出なかった。
「上半身はあまね様とかぶっちゃったな…青系でもよかったかも」

　そして、最終ステージに向かう。ここはこの前のめちゃマジ注目コーデで買ったお気に入りのツートンジャケットでファッションランウェイを通ると、出会った人物は…
「ハイ、あみ！楽しんでる？」
　なんと、前回グランドフェス優勝者のジェニファーだった。
「ええええっ？！ジェニファーさん！？はじめまして！」
「ジェニファー、でＯＫ！あみのステージを見てるとあの頃の気持ちを思い出すわ！」
「ジェニファーありがとう！この後のステージも楽しみにしててね！」
　タメ呼びＯＫと言われて、前回の優勝者だけにちょっと緊張するかと思いきや、結構気さくに話せたりする。これが女王の威厳というものだろうか。
　あみは最終ステージに臨むにあたって、
「特別なコーデ…よし、これなんかどうかな」
　あみが選んだのは先日ディッパーダンでクレープを食べて入手したコーデだった。
　後日、れみに
「どうすれば、そのチョイスになるんですか？」
と、思い切りつっ込まれることになるのだが…

　とはいえ、サンシャインエレメンツコーデは無事ゲットできたので、アンコールでお披露目ライブなのだが、なんと、ジェニファーが応援に来てくれた。
「ジェニファー！サンシャインエレメンツコーデが揃ったよ！」
「グレート！あみにとっても似合いそうね！フルコーデでアンコールステージに立ってね！」
「うん！アンコールステージ！太陽みたいに輝くプリマジにするね！」

　あみのステージの時は普通に盛り上がったプリマジになった。だが、後にジェニファーがこのコーデを着た時に大事件が起こることを、まだ誰も知らないのだった。

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