第4章 初めての5人ステージ

「あみのマイフォトアルバム、ちょっと見せてください」
 唐突にれみが言い出した。あみは今年の正月に作ったプリマジのマイフォトアルバムを、ページを継ぎ足しつつ作り続けている。
「れみも作り始めたんだっけ」
「はい。で、ちょっと気になりまして」
 そう言いながられみはページを繰る。
「はぁ、あみもですね…」
「どうしたの?」
 何があったのかさっぱり判らないあみにれみは二つのフォトを指さして言う。
「これです」
「あ、グレースドットコーデ。これ、お嬢様っぽくてかわいいよね。これでデュオでもするの?」
「それもいいですが、このコーデをゲットした時の事、覚えてます?」
「何だっけ…あっ、シューズのカード見て、靴下の上の飾りがかわいいって盛り上がったっけ」
「でも、このコーデ、スカートが意外と長く、フォトだと飾りが隠れて普通にストッキングかタイツみたいに見えるんですよね」
「確かに」
「で、お互いにこのシューズを使ったミックスコーデを考えてみませんか」
「自分たちのミックスコーデコンテスト?面白いかも」

 まずはあみがソロでミックスコーデを披露する。キルティングハートカーデにフラワーパターンスカートを合わせてみたコーデだ。

「これならバッチリですね」
「ね、飾りもバッチリ判ると思うよ」
「さっそくフォトを開いてみましょう」
 れみがフォトを表示させる。
「どう?」
「思ったとおりです。絶対領域が強調されてて、これでみんなメロメロですよ」
 悪戯っぽく笑うれみに、あみは顔を真っ赤にして、
「れみー!さてはそれでハメたなー!」
「ふふふ、いつものパターンですよ」
 れみはいたって冷静だ。
「れみにもやってもらうからね!」

 そんなことを話しながら二人はフレンドパークに向かった。
「あ、あそこにいるの、まみ☆さんじゃないですか?」
「あ、本当だ!まみ☆さーん!こんにちは!」
「あら、こんにちは、お二人さん。あ、あみさんの今日の私服、この前のソロの時のミックスコーデですね」
「覚えててくれたんですね。嬉しい!」
「そういえば、聞きました?例のビッグニュース」
「あ、安部元総理の銃撃事件ですか?物騒ですよね」
 れみが答えると、あみも、
「え、アベノマスク配ったり、外交で活躍したりしてたのにね。あ、森友学園や桜を見る会とかのマイナスイメージのニュースもあったっけ」
「でも、田中角栄もロッキード事件とかあったし、そういうのは付き物じゃないですか」
「確かに、その後もリクルートコスモス事件なんかもあったしね」
「あみがそのあたりまで知ってるのは意外です」
「いや、ニュースがらみでたまたまいろいろ見かけたところだったから。実際は付け焼刃だから、リクルートコスモス事件っていつの時代だったか覚えてなかったりする。宇野総理の時だっけ?」
「宇野内閣は別のスキャンダルですぐ終わった内閣ですよ。その前の竹下内閣の時ですね。前任の中曽根さんとかも関わってたはずです」
「あ、消費税が出来て支持率ガタ落ちってDAIGOが言ってた時だ」
 二人が珍しく政治の話に脱線するのを見て、まみ☆さんは申し訳なさそうに、
「あ、それほど大きなニュースの方じゃなくて、プリマジ公式の方の話です。ていうか、そもそも安倍さんが亡くなったのって先月のニュースですよね…」
「え、そっか、安倍さんの国葬どうするか、とかってニュース昨日見たからつい。確かにフレンドパークでの最新の話題ですもんね。失礼失礼」
「プリマジ、エキシビションの五人曲、私たちでもできるようになったみたいですよ」
「え、そうなんだ?ニュース見ても安倍さんの国葬以外だと、ウクライナ情勢とかしか無かったから気付かなかった」
「エンタメとスポーツのコーナーも大谷選手のメジャーでの活躍とか、ヤクルトの村上選手のホームラン本数が王さんの記録を超えるかとか、野球一色でしたしね」 「確かに、テレビの六時のニュースとかではプリマジはあまり出ないでしょうね」
「じゃ、まみ☆さん、私たちとあと二人集めませんか?で、エキシビションやりましょう!」
 まみ☆さんとは前に会った時、次は一緒にプリマジしたいねって話をしていたので、これはチャンスだ。
「ちょうど、ひぃらぎ先生がこの後、一緒にプリマジしてくれるって言ってくださってるんですが」
 まみ☆さんの話を聞き、あみが、
「じゃ、あと一人だ!」
 とあたりを見回した。そして走って行った。

 あみは以前フレンドパークで見かけたプリマジスタを見かけたのだが見失ってしまった。
「うーん、あのちょっとマニッシュな人、前も名前聞きそびれちゃったんだよな…」
 あみがそう言っていると、
「あみさん?誰かを探してるんですか?」
 声がかかった。ただ、あみはピンときていない。誰だっけ?
「うーん、髪型変えたから気づかなかった?」
 あみはそのプリマジスタをじっと見た。
「きり…さん?」
「正解!で、一緒にプリマジする相手を探しているとか?良ければ付き合いますよ」
「いいですか!やった!これで五人エキシビションができる!」

 あみがきりさんを連れて戻ると、ひぃらぎさんも到着していた。
「ひぃらぎさん、先日はありがとうございました」
 あみは、れみを突き出しながら、
「うちの相方が羨ましがってたので、今日はよろしくお願いしますね!」
「では、あなたにセンターをお任せしましょうか」
 ひぃらぎさんがにっこり笑いながられみを推薦する。
「えっと、あみさん?」
 いきなり連れてこられたきりさんがあみの方を見る。
「あ、こちら、以前デュオに付き合ってもらったきりさん。さっきそこで見かけたので参加してもらうことになりました」
 あみが紹介する。
「でも、急に五人だと、コーデ合わせるの無理かな」
「このまま全員私服もいいんじゃないですか」
「ですね」
 そこであみが一言。
「センターのれみには、この後着る予定の私服ミックスに着替えてもらいます!」

 こうして、れみはマニッシュシャツにファンシードリームスカートの絶対領域強調ミックスコーデその2でセンターを務めることになったのだった。


今回のフォト
       
今回のソロ・チームユニット

あみ


れみ/あみ&きりさん/まみ☆さん&ひぃらぎさん


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