第2章 やりたい事、いっぱい

「ふぅ、今日のデュオステージも楽しかったですね」
「うん。お疲れ様!」
 あみとれみはプリマジを終えてプリマジ会場を出ようとして、ふと壁を見た。
「へぇ、デュオの大会!」
 ポスターを見ると、まつりとあうるの「テクノマジカル」、ひなとあまねの「エンカンタール」、みるきとれもんの「ミルキーレモン」、三つのチームの写真が載っている。
「チームコーデもいいね」
「どうも、私たちはプリチャンの路上配信のノリが抜けてないですからね」
 確かに、今回の二人はまちかどランウェイで受けた私服のミックスコーデでのステージだった。
「私の家に寄って作戦会議しますか」
「うん。行く行く。ちょうどスーパーのワゴンセールで買ったお菓子あるし」
「用意周到ですね。どうせうちでお茶にする気だったんでしょ?」
「へへへ。ばれたか」

 二人はれみの家に着いた。れみが出した飲み物は…
「いろはす?お茶じゃなくてお水なんだ」
「どうせ、あみが味の濃い物買ってるでしょうし、水にしたい理由もあるんですよ。ほら、これ」
 れみがアクリルタンブラーを出してきた。
「昨日、ニトリでポップの宣伝文句につられて買っちゃいました」
 タンブラーの底が浅い角錐状になっていて、色がついている。あみのものは7色、れみのものは淡い金色だ。
「これに水を入れて斜め上から見るとね…」
 水の中で底の色が反射するしくみだ。
「わぁ、綺麗!虹みたい」
「私のはオーロラみたいでしょ」
「すごーい!面白いね」
「で、お菓子は何ですか」
「色々あるけど、面白そうなのはこれかな」
「呪術廻戦チョコフレーク?」
「最近、鬼滅の刃と並んでよく見かけるよね。よく知らないけどワゴンで安くなってたから」
「ちょうど今、毎週再放送していますからね。今やってるところあたりの一挙放送が前にあった時の録画あるけど、見ながら食べますか」
「いいね。盛り上がりそう」
 実際に見てみると、グロテスクな怪物としての「呪い」が襲ってきて、物を食べながら見るという雰囲気ではない。
「うわ…」
 そこで、主人公は「特級呪物」と呼ばれる呪いの王、両面宿儺の指を食べて、ほっぺたから宿儺の目が出た状態の姿になり「呪い」を倒すも、目隠しをした呪術教師に連行されるといったストーリーなのだが…
「袋に書いてある女の子はまだ登場しないのかな…あれ?このパッケージの宣伝文句!」
「なになに、紛うことなきゴリゴリ新食感!薄焼き「特級呪物」と書いてありますね」
「まさか、これ食べたらほっぺたから目が出たり、あの先生に補導されたりしないよね?」
「まぁ、実際にそうなったら消費者庁が回収を指示するでしょうね」
 結局二人はお菓子を平らげ、パッケージにあった女生徒、釘崎野薔薇の初陣までダラダラとビデオを見て、ロクな作戦会議もしないのだった。
 そして、ようやくあみが、
「あ、そうそう。コーデグミも買って来てたんだった」
「それを先に言ってください」
 二人はグミを開封したが、揃ったコーデはなかった。
「この制服系、かわいい!」
「これはアクセだけで揃いますね。あと、ウエディングはいつものパターンでアクセとシューズが共通なので、色不ぞろいだけど、これも両方リーチです」
「あとはフライングスカイとワッペンデニムの色違いか…」
「ワッペンデニムは超ラッキーとありますから、ウエディングは二色揃うかもですね」
「そうそう。プリチャンの時は色違いのトップスがほとんど出なかったよね」

 次の休日。
「要はお揃いの色違いのステージコーデならOKだよね」
「まぁ、そういう事でしょうね。でも、今頃イースターのコーデですか?」
「クリスマスほど季節感丸出しじゃないし、かわいいウサギさんコーデだと思えば」
「確かに…」
 そんな話をしていると、みるきがやってきた。
「新人プリマジスタが何の話だお?」
 二人が話すと、
「みるきはモーリーファンタジー限定カラーを持ってるお。一緒にプリマジしてあげてもいいお〜」
「ぜひやりましょう!」
 そこで、あみはふと思い出す。
「そういえば、よつは☆★♪さんがこの前、フレンドパークでこのコーデを着てるの見かけたな」
 あみは外へ出てフレンドパークに行ってみた。
「あ、よつは☆★♪さん!良かった、いてくれて」
「あみさん?一体どうしたんです?」
 あみは事情を話しながらみるきとれみのところへ戻った。
「コーデの色違い4色を二人ずつでデュオして、揃い踏みをしませんか!」
「面白そう!想像がひろがります!」
「みるきも文句はないお」
「あみの思いつきそうなことですね」
 こうして、みるき&れみ、よつは☆★♪さん&あみでのイースターバニー全色プリマジのステージが実施されたのだった。

 解散後。
「あみ、あそこのお店、グミ売ってるみたいですよ」
「よし、行ってみよう」
 結果。ウエディング二色とフライングスカイが揃った。
「いちばんお揃いやりたいハッピーセーラーのアクセだけ出ないですね」
「まぁ、ワッペンパーカーも出てないですが。私も少し買い足してみましょう」
 れみが店に戻り、再び戻ってきた。
「あまり食べすぎるのも良くないので二つだけ買いました」
「よし、開けよう」
「あ、出ました!アクセです!」
「これでワッペンパーカーが出ればすごいね」
 結果はウエディングのアクセだった。
「でも、これでお揃いの制服デュオできますね!」
「よし、やろうやろう!」
 こうして、二人は再びプリマジに戻り、制服デュオをしたのだった。

「さて」
「先週はこれを試すの忘れてましたからね」
 あみ達はメルヘンカルーセルコーデが2色揃っていたので、イースターバニーと続けて色違いのペアコーデをやろうとしていたのだが、すっかり忘れていたので、今日はリベンジに来たのだった。

「あれ?あみさん!お久しぶり!」
「えいなさん!」
 以前、コンビニで会ったプリマジスタだ。
「そちらが前に聞いてたお姉さん?」
「はい。れいなといいます。妹のお知り合いですか?」
「前にコンビニで会って。あ、こっちは相方のれみ」
「はじめまして」
「せっかくだから、一緒にプリマジしませんか」
「いいですね」
「私たちはCD限定のヴァンパイアガールの緑があるので、妹の緑系のミックスと合わせようかと」
 と、れいなさん。
「それなら、わたし達は赤系で全く同じ色違いが出来そうだから、デュオ対決にします?」
 あみが提案すると、
「それなら、パートナーを入れ替えて、色違いのお揃いで共演って形はどうですか」
 えいなさんが修正する。
「いいかもしれませんね。相方とはいつでもデュオできるから、いい機会かもしれません」
 れみが賛成する。
 こうして、あみとえいなさんのミックスコーデ合わせ、れみとれいなさんのヴァンパイア合わせを補色色違いデュオの共演ということになったのだった。

「楽しかったね」
 共演を終えて、出口にさしかかったところであみが気付く。
「メルヘンカルーセル合わせ!」
「また忘れるところでしたね。では二人でもう一曲やって帰りましょう」
 れみが相変わらずだなって顔で笑いながら言った。


今回のフォト
              
今回のデュオユニット

れみ&あみ


みるき&れみ


よつは☆★♪さん&あみ


れみ&あみ


えいなさん&あみ


れいなさん&れみ


れみ&あみ


前へ表紙へ次へ