第1章 デュオ始動!

「おおー、ウルトラマン!」
 あみは幹線道路沿いのマクドナルドの看板にかかっている垂れ幕を指差して歓声を上げた。
「期間限定のチキンタツタの広告のようですね」
 毎年のように復活するチキンタツタと新メニューのチキン南蛮にウルトラマンのタイトルにちなんだロゴがついている。
「帰ってきたチキンタツタとシン・チキンタツタだって」
「まるで私たちみたいですね」
「わたしが出戻りでれみがデビューだもんね」
「じゃ、今日のランチはマクドで決まりですね」
 あみ達はマクドナルドに入った。あみは帰ってきたチキンタツタセットのポテト大プラステリヤキ単品、れみはシン・チキンタツタセットのナゲットプラスフィレオフィッシュ単品を注文する。
 バラバラに頼んでシェアするのが二人の暗黙のルールだ。
「でも、帰ってきたウルトラマンって、最初のウルトラマンとは別人でしたよね」
「うん。ウルトラマンジャック。でも、わたしの叔父さんの頃は新ウルトラマンとか新マンとか言っててたみたい」
「漢字で書かないと、今度の映画のシン・ウルトラマンと区別つきませんね」
「まあ、このチキンタツタ、去年のは食べちゃったから、別人といえば別人か」
「変なところで整合性は取れてますね」
 ひとしきりウルトラマン談義に花を咲かせつつランチを終えると、二人は歩きだした。
「そういえば、あみ、ちょっと前にこんなプリマジ中継見ましたよ」
 れみがスマホで録画を見せる。
「あ、あまね様…じゃなくて男性プリマジスタ?珍しいね」
「それもそうだけど、二人でプリマジしてるじゃないですか」
「そういえば!プリマジって!デュオもあるのか、知らなかった」
「あれはトンマ達が勝手にやっただけで、システムの稼働は再来週なんだぞ」
 いきなり魔方陣からみゃむが現れて言った。
「あ、みゃむちゃん、こんにちは」
「あみ、そこにいるのが今度の新人か?」
「れみです。よろしくお願いします」
「まぁ、この大魔法使いのみゃむ様にかかればあと一人や二人サポートするのは問題ないんだぞ」
 みゃむはまつりと組むまでに、色々なプリマジスタ候補に声をかけまくったため、かなりの数のプリマジスタをフォローしているのだった。
「そういえば、みゃむちゃんさっきトンマとか言ってたけど、あの男性プリマジスタも知り合い?」
「トンマか?あいつはまつりの幼馴染でまつりのところで飴職人やってるんだぞ」
「あ、昔まつりちゃんに貰ったにゃんこ飴作った人なんだ、そのトンマさんて人」
 みゃむのせいで間違えた名前で覚えられた橙真はいささか気の毒だが、あみはにゃんこ飴のことは覚えていた。

 それから半月ほど経って。
「いよいよ今日がわたし達のデュオデビューだね。まずわたしがお手本でプリマジするから見てて」
 あみはミックスコーデを二種類、片方は色違いで二セット用意していた。そのうちのセットではないほうでプリマジをして見せた。
「じゃ、れみの番だよ。どんなメイクにする?」
「魔法で変わるし、髪も伸びたから、気分を変えてツインテにしました」
「しました…って?」
「昨日練習のためソロデビューしてきました」
「えー、言ってよ、見に行ったのに!」
 とにもかくにも、今からが記念すべき初デュオだ。
「お前らー!準備はいいかー!」
 みゃむが観客にゴールをかける。いよいよだ。
「デュオの魔法」
「無限大!」
 二人はステージに飛び出した。歌って踊って、ワッチャが溜まると二人はフロートの上に立った。
「マナマナ!」
 みゃむが送るワッチャでフロートが宙に浮き、大階段ステージに向かって動き始める。
 会場のワッチャがマックスになる。みゃむがカードを生成する。
「マナマナ」
「マジパ」
「チュッピ!」
 あみとれみが交互にカードを受け取ると、イリュージョンが発動する。
 ふたりがWの形に重ねた掌に魔方陣が現れて、そこから無限大の形の光の小路が現れ、二人はそれぞれの小路の上を滑走し、再び向き合い手と手を重ねると、まばゆい光が弾ける。
 二人並んでポーズを決めると、フロートはフィナーレの大階段ステージに到着した。階段ではコーデメイツたちが楽しそうに踊っている。
 そして、最後のパートを終えた。
 やはり二人のステージほ楽しい!

 二人はプリマジを終えてフレンドパークに来た。
「あれ?あみさん!」
 あみに声がかかった。
「まみ☆さん?お久しぶり!」
 あみはお互いを紹介する。れみもやはりプリチャン世界での仲間と同じ名前というリアクションだった。
「じゃ、今度機会があれば一緒にプリマジしたいですね」
 この日は影絵ゲームをしたが、次会う時にはステージで、と約束し、まみ☆さんと別れた。
 別の日。あみはれみとの待ち合わせより少し早くプリマジに着いた。そこで偶然きりさんに会った。
「もし良かったら、デュオ、やってみますか?」
「いいですね」
 あみはきりさんとデュオプリマジをした。そこへれみが到着した。
「あみは相変わらず、待ち合わせ前に出会った人を巻き込んでライブですね」
 毎度の事に対するれみのつぶやきに、隣で見ていたプリマジスタが声をかけた。
「でも、楽しそうですね」
「確かにそうですね」
「あ、私、やすなっていいます」
「れみです」
 そこへ、プリマジを終えてあみが戻ってきた。
「お待たせ…って、あれ?れみもそっちの人とデュオするの?」
「え、いや、そこまで話してなかったんですけど」
「私は別に構いません、というか、せっかくですから」
「えっと…」
「やすなです」
「わたし、あみです。やすなさんのコーデは何ですか?」
「これなんてどうでしょうか」
 やすなさんが持っているのはゴシックケープの限定カラーだった。
「すごい!鈴木杏奈のCDの特典のやつじゃないですか!」
「へぇ、ご存知でしたか」
「わたし、配信で聞いたから、CD持ってないんですよね」
 あみはそう言いながら自分たちのコーデを用意する。
「ちょうど、ゴシックケープは通常とアナザーの2色を持って来てます」
 コーデを用意するあみに、れみがつっこむ。
「なんでそんなにタイミング良く…」
「これね、れみが使うと多分帽子が小さくなるから、比較デュオしたら面白いと思って用意してたんだ」
 確かに、あみは一度れみと同じ髪型だと帽子が魔法で小さなヘアアクセになるから髪を下ろした経緯がある。
「あーあ、折角3色あるのに、3人ライブとかがないのが残念ですね」
「じゃ、2回に分けてやろうか」
 あみの提案に、
「じゃ、私がお二人と連続でデュオという事になりますね」
 やすなさんが乗る。
 こうして、連続ライブの流れとなり、一応、3色のコーデでのステージということにはなった。

 やすなさんと別れた後、
「うーん、結局私達のデュオ、しませんでしたね」
「あ、今からやろうか。元々用意していたミックスコーデもあるし」
「ですね。じゃ、今からは私達の時間ですね」
 二人は肩を並べてプリマジのエントリーに向かったのだった。


今回のフォト
             
今回のソロ・デュオユニット

あみ


れみ&あみ


きりさん&あみ


やすなさん&れみ


やすなさん&あみ


れみ&あみ


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