第13章 混合品評会〜約束

 その日、あみはふと中古ショップを覗いてみた。
「あっ…」
 あみの目に留まったのはおとめマーガレットブルーアクセだ。第一弾の頃手に入らなかったものだった。
「とりあえず、買おうかな」
 あみはアクセを買って帰宅し、プリマジカードをしまっている引き出しを開けた。
「おとめマーガレットコーデは…あれ?黄色のトップスがない?」
 ミックスコーデを考えた時にどこかに混ざったようだ。よりによって雑誌限定のやつが!
 あみはあわててカードを整理し直した。
「良かった。黄色、無くしてなかった」
 あみはほっとしつつ、ふとテレビを見た。ロシアがウクライナに侵攻しているニュースが流れている。
「ウクライナって、小麦とれるし、日本のロシアっぽいものの元祖だったりするんだっけ」
 ウクライナの国旗は下半分が小麦畑の黄色、上半分が青空の青だとこの前テレビで言っていた。
「早くウクライナに平和が戻ってほしいな…」
 あみは願いを込めてプリマジしたくなった。手元には黄色と青のおとめマーガレットコーデがある。アクセを入手し、上半分の青コーデが揃ったのは、何かのお告げだったのかもしれない。
 ブルーのリベンジライブに続けて、ウクライナ平和祈念プリマジということで、ボトムスとシューズを黄色にしたミックスコーデでプリマジすることにした。
「こういうミックスコーデもアリかもね」

 あみがこうしてミックスコーデの事を考えていたら、ミックスコーデコンテストがあるとの告知が来た。
「参加してみようかな。えっと、募集要綱は…」
 毎回、決まったお題が出るようだ。今回は紫とスタイリッシュがお題のようだ。
 あみは何時間もかけて、ああでもない、こうでもないと言いながらコーデの組み合わせを考えていた。
「寝不足になる前に、これで決めるか…」
 あみはそう言って寝ることにした。

 コンテスト当日。会場近くでみゃむに会った。
「おっ!いよいよミックスコーデコンテストだな!あみ!」
「うん!でも…どうすれば上手くいくか判らなくて…」
「よしっ!みゃむ様が教えてやるぞ!ミックスコーデコンテストはテーマに沿ったコーデを着て勝敗を決めるコンテストなんだぞ!テーマはカラー、ジャンル、テイストから出るぞ!ぴったりのコーデを組み合わせるんだ!ぴったりのコーデを組み合わせるとボーナスがアップ!いっぱいワッチャが集まるんだぞ。そういえば別々のコーデを着るともっとワッチャが集まるみたいだ!やってみるんだな!」
「うん!やってみるね!」
「コンテストは全部で3回戦あるぞ!手強いライバルに勝っていくぞ!目指すはてっぺんだ!」
「ありがとう!みゃむちゃん!よーっし!わたしがんばる!」
 などと言いつつ会場へ行くと、
「おや、あみさんも参加ですか?」
「あまね様?」
「合宿前の度胸試し、と言ったところです」
「うむむ…勝てる気がしない」
 ところが、結果はあみは1位を取れた。必死でコーデを考えた甲斐があったと実感した。
「むらさきイリッシュの称号貰った」
 あみはポップとスポーティーのポッポーティー、赤とリボンのあかボン等、幾つかの称号をゲットできた。時には先輩プリマジスタとしてチュートリアルに出ているえりささんや、著名な漫画家のひぃらぎさんとの対決もあった。それでもなんとか勝ち抜いたのだった。

 ある時、あみはスーパーでグミの新作を見つけて、あるだけ買ってみた。前回同様、SRが揃って、Rが揃っていない。
験を担いで、前回コンプ出来たコンビニに行ってみたらグミは入荷していなかった。あみは仕方なく、そのままプリマジに行こうとすると、プリズムストーンの店にグミがあったので買い足すと、まだシューズが片方のコーデだけ揃わなかった。
       次の日、グミのリベンジに行こうとすると、近くを通りかかったプリマジスタに声をかけられた。
「もしかして、私の作ったコーデのハッシュタグをたまに使ってくれてませんか?」
「そういえば、スクールコーデのタグとかに乗っからせてもらったかも。タグ、あなたが作ったものだったんですね。あ、わたし、あみっていいます」
「私のことはさっちゃんでいいですよ。そういえば、買い物ですか?」
「グミ、あとエナメルジャンパーの靴だけ出てないから、リベンジしようかなって」
「それなら、私余ってますよ。逆に私が足りないのは…」
 あみはさっちゃんの未所持アイテムがダブっていた。
「交換しましょうか」
「ですね」
 二人は連絡先を告げて別れた。
 あみはウキウキしながらバイト先に向かったのだが、そこで店長から衝撃の発表があった」
「おう。ちょうど良かった。実は、事業所が移転することになった」
「え?」
「このビル、耐震工事のため一旦全テナントが外に出る事になってな。ついでに寮も一緒に引っ越すから、通勤は変わらないぞ。むしろ、スーパーが近いから生活は便利になるぞ」
「どこへ行くんですか?」
 行き先の町からはプリマジは遠く、事実上プリマジスタ引退ということになりそうだ。
 あみはさっちゃんにカードを手紙を付けて郵送することにした。わたしは訳あって引退するから、コーデは差し上げます、と書いて同封した。約束だけは果たさないと。
 あみはそう呟きながら、手紙を投函した。


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今回のゲストさん

さっちゃんさん


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