第12章 大会〜王者降臨

 あみがテーブルに向かってため息をつくのを見て、みゃむが声をかけた。
「あみ、どうした?ため息つくなんてらしくないんだぞ?」
「実は、みゃむちゃんのコーデの色違いを二種類手に入れたんだけど、帽子を逆に選んじゃったんだ」
「確かに、コーデの名前と主な色が逆だな。差し色ってやつか?」
「あまり差し色って感じでもないかも」
「そんなことより、アクアエレメンツコーデフェスが始まるけど、エントリーしたのか?」
「あ、そうだった!早速エントリーしなくちゃ!」
 そして、フェスが始まった。会場へ向かう途中、あみはれもんに会った。
「アクアエレメンツコーデフェスが始まりましたな、あみどの!今回は水の力が宿ったエレメンツコーデとのこと!!いやはや!たまらんでござるな〜!」
「うん!アクアエレメンツコーデを集めてプリマジを盛り上げるよ!」
 あみは験を担いでれもんと色違いのコーデで一曲目をクリアした。
 そして、二曲目に挑もうとしたとき、あみはある人物を見かけた。宝塚歌劇団の男役のような佇まいで人気のプリマジスタ、あまね様だ。本物を生で見ると、やっぱりかっこいい。
 実は、れもんの「漆黒の明星」でのあみのプリマジの寸評にあまね様が「いいね」を着けてくれた事があり、実は鼻高々だったのだ。
 あみはここがチャンスとあまね様に声をかけた。
「こんにちは!あまねさん!はじめましてあみです!」
「ごきげんよう!あみさん。あなたたちのプリマジ、楽しませてもらってますよ」
 あまね様はあみのプリマジを覚えてくれていたようだ。
「これからアクアエレメンツコーデフェスにチャレンジするのですか?あなたたちの奇跡を見せてほしいですね」
「はい!ありがとうございます。がんばってきます!」
 これはがんばるしかない!
 あみはあまね様のコーデの色違いで二曲目をクリアした。
 いよいよ、三曲目。これをクリアすると、アクアエレメンツコーデが揃う!
 あみはみゃむとお揃いの色違いコーデを今度はアクセを間違えずに着て会場に向かう途中でみゃむと会った。
「あっ、みゃむちゃん!こんにちは!」
「おう!あみか!!アクアエレメンツコーデは集まってるか?」
「うん!アクアエレメンツコーデを集めてプリマジを盛り上げるよ!」
「いい感じだぞ!その調子でコンプリートだー!にゃははは」
 しかし、課題曲は当然みゃむのソロ曲ではない。そもそも、マナマナは舞台に立つのではなく、サポートが基本だから当然だ。
 ここは、まつりの衣装の色違いにチェンジしたほうがいいな。
 そして、三曲目をクリアすると、
「このコーデをあなたに!」
 アクアエレメンツコーデだ。
 あみは、コーデの色違いでゲット出来たこともあり、まつりに報告に行った。
「まつりちゃん!アクアエレメンツコーデが全部集まったよ!」
「おめでとう!!あみちゃん!でも、アクアエレメンツコーデフェスはまだまだ終わらないよ!アクアエレメンツコーデでプリマジしよう!」
「うん!わたしのアンコールステージ!最高のプリマジにするよ!」
 アクアエレメンツコーデはパンツスタイルのかっこいい系のデザインだ。
「曲はやっぱりあまね様のThe Secret Gardenだね」
 曲が始まると、コーデの背中から扇、いや、孔雀の羽のように噴水が飛び出し、コーデ全体から水しぶきが舞う。
 一瞬、床が濡れて滑って転んだり、コーデが濡れて下着が透けたりしないかと思ったが、前の炎同様、魔法の演出なのでそんな心配はなかった。実際。しぶきも冷たくなかった。
 クライマックスは大階段の前に噴水による孔雀の羽背負ってるので、まさに宝塚歌劇のレビューのようだ。これは楽しい!
 プリマジを終えると、まつりとあまね様が出迎えてくれた。
「せっかくだから、打ち上げに行かない?」
 まつりが提案する。
「そういえば、話題のくまくまパークに遊びに行ったことないから一緒に行きませんか?」
「あまね様も良ければご一緒に!」
「お誘い、ありがとうございます。ご一緒しましょう」
「やったー!」
 くまくまパークに着いた三人は、パークを見渡した。メインの白熊のぬいぐるみ等がいっぱいだ。
「あれ?あそこのテレビ…」
「プリマジ中継のようですね」
 プリマジをしているのは、去年のグランドフェス優勝者のジェニファーだった。さすがは王者。風格が違う。
「そういえば、期間限定で復帰って言ってたね。それにしてもさすがの歌唱力!」
 三人は画面を注視し続けた。
「あれ?マナマナがいない?」
 確か、以前ひな先輩がチムムと喧嘩した時、プリマジが途中で止まってしまったことがあったはず。
 しかし、無機質な機械音声で
「マナマナ・マジパ・チュッピ」
 呪文が再生されると、イリュージョンが成立した。
「機械か何かでも出来るの?」
「以前はリューメというマナマナがパートナーだったはずですが」
 あみの疑問にあまね様が答えてくれる。
「いずれにしても、これだけすごいプリマジを見せられてはうかうかできませんね」
「ですね。合宿、がんばらないとです」
「合宿?」
「今度、私とまつりさん、ひな、れもんさん、みるきさんの五人でエキシビションをすることになっていましてね」
「それに向けて合宿する事になったんだ。だから、心のワチャワチャが止まらない!」
「そうなんですね!がんばってください。楽しみにしてます!」
 その後、一同はショップでオフィシャルのグッズやアパレルを扱う売店を覗いた。
「この服かわいい!」
 あみとまつりが盛り上がっていると、
「せっかくです。みんなでこれを着て記念撮影でもしますか?」
 この手の服を着そうにないあまね様が、意外な提案をする。どう考えてもあみたちに合わせてくれているのだが、かわいいコラボ服をスタイリッシュに着こなしている。
「さすが、あまねさん!こういう服も着こなせるんですね」
「意外!ビックリです」
「ふふ、秘すれば花、ですよ」
 あまね様はそう言って、少し笑うのだった。


今回のフォト
            

今回のゲストさん

れもん



あまね



まつり



ジェニファー


前へ表紙へ次へ