第8章 再撮影〜聖夜
「うーん、どれにしようかな」
あみはコンビニのサラダチキン売り場で今夜のおかずを選んでいた。
「へぇ、スモークとか、色々あるんだな」
そして目を留めたのは炭火焼きだった。あとで気付くのだが、これはサラダチキンではなく、お惣菜のグリルチキンで、ダイエットのためにサラダチキンという本来の目的から逸脱しているのだった。
あみは他に買ったおにぎりとコールスロー、そしてグリルチキンの夕食を摂りながら今日のライブのフォトを見ていた。
お気に入りのフラワーパターンコーデなのだが、横向きのポーズだったので、再度挑んだのだが、視線は正面でも、また体は横向きだった。
「うーん、せっかくのコーデだし、正面のフォトが撮れるまで着続けるかな…」
どのみち、まだ色々着るほどコーデは集まっていない。
その次に漸く正面のフォトが来て、コーデもスタイリッシュパーカのアクセでコーデが揃った。
あみはさっそく揃ったコーデでプリマジをしてフォトを見ると、ポーズや向きは別に悪くはないが、せっかくのアクセが写っていなかった。
「じゃ、次もこれでやるかな」
そうこうしているうちに、街はクリスマスに彩られる。
「商店街の鶏肉屋さん、骨付きもも肉、高級地鶏だから逆に身が締まってちょっとかたいんだよね。高いけど、ローストチキンの方にしようかな。比較的やわらかくて、すごく美味しいんだよね」
あみはそんな事を考えながら歩いていた。そんな季節なので、めちゃマジ注目スペシャルコーデは赤いウインターファーだ。
「今の季節にぴったりだね」
あみはこれを着てプリマジしたらフォトが横向きかつ帽子は隠れ、表情も暗い。
あみは再び挑んだら、全く同じポーズのフォトだった。
「コーデがダブるよりショックかも、これ」
あみはムキになって、このコーデを着てのブリマジを続けた。やっと気に入ったフォトが出るまでに、ムーンライト、ファイティン、ゴシックケープ、チェックセットアップ、クラシックラビットと、どんどん揃ったコーデが増えていき、暫くはプリマジするネタに困らなかった。
「でも、クリスマスのコーデ、基本カラーが揃わないどころか、緑色はシューズしか出てないなぁ」
あみはクリスマスに備えて前撮りでフォトを撮っておこうとしたが、スペシャルカラーしかない。
「こうなったら」
あみは各部を四色バラバラの組み合わせにして、
「一人カラフルクリスマスだ!」
と言いながらプリマジをしたところ、ギリギリで赤が揃った。
そして、クリスマスイブ。
あみはクリスマスベルの赤コーデでプリマジに向かったところで声がかかった。
「こんばんは!」
「あ、みか♪さん!お久しぶりです」
みか♪さんはピンクのクリスマスベルコーデだった。
「やはり、今日はこのコーデが多いでしょうね」
話をしていると、にぱさんが通りかかった。彼女はブルーのコーデだった。
「おお、三色集まったね」
「あとはグリーンですね」
あみは
「残念ながら、グリーンだけトップスが足りないんですよね」
と言うと、
「拙者に任せるでござる」
れもんがグリーンのコーデで現れた。
「すごい!四色ライブやりたいね」
そんな話をしていると、れもんは、
「うう、人が多すぎて、拙者はここまででござるよ」
リタイアしてしまった。
「どっちにしても、みんなで順にソロライブやっていくしかないけどね」
あみは最後の望みをかけるため、
「緑、緑…」
と、心の中で唱えながらフロートでコーデメイツを待った。
「持ってない!」
未所持の緑色のコーデが出た!
しかし、それはゴシックケープグリーンだった。
これはこれで欲しかったので、まぁ、いいクリスマスプレゼントになったかな、と思うあみなのであった。
ともあれ、メリークリスマス!
今回のフォト
今回のゲストさん
みか♪さん
にぱさん
れもん
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