第7章 新章〜改造

 その日はプリマジのコーデ入替えの日だった。
 あみは最後の最後に揃ったワッペンデニムコーデを試そうとプリマジへ向かっていた。
 と、目の前の電柱の陰に一人の女の子が立っていることに気付く。黄色い髪を両側でまとめ、前髪で目は隠れている。
「あの、どうかしましたか?」
 あみはその子に声をかけた。すると、
「あ、あの」
 女の子は何か言いかけたが、口から出たのは言葉ではなく、青白い透明な何かだった。よく見ると顔がある。
「れもん!」
 横から飛び出した黒いウサギのようなキャラがその何かをれもんと呼ばれた女の子の口の中に戻した。
 ウサギはきゃろんと名乗った。ひな先輩といたチムムと同じ、魔法界から来たマナマナだと言う。
「れもんは人見知りが激しく、エクトプラズムが出てしまうんです」
「あ、そうなんですね。お大事に」
 あみがそう言って立ち去ろうとすると、れもんがあみに声をかけた。
「拙者、あみ殿のプリマジ、見せてもらったでござるよ」
「あ、ありがとうございます。って、その話し方どこかで…」
 あみは一瞬考えて思い出した。
「漆黒の明星さんですか?」
 れもんは頷いたあと、少しふらついた。
「れもん、がんばった、もう限界だろう」
 きゃろんがれもんを支える。
「そこまでして伝えてくれてありがとうございます。漆黒の明星さんが楽しめるプリマジになるよう頑張ってきますね!」
 あみはそう言ってれもんと別れ、ステージに立った。今日のコーデはワンピースカードを変えるツーウェイコーデなので、2曲続けてプレイしようとした。
 まちかどランウェイで着替えようとした時だった。
「あれ?」
 あみの服が元の服に戻った。
「そういえば、この服でプリマジはしてなかったな」
 あみは予定を変更して、そのままステージに立ってみた。
 そのため、結果として3曲やることになったのだった。

 さて、新作コーデに入れ替わると、最初はコーデがない。
「コーデ、どうするんだぞ?」
 たまたま遊びに来たみゃむが訊く。
「一応、策はあるけどね」
あみは本屋に向かった。
「前は雑誌付録のコーデがあったんだよね」
 あみは雑誌を買い、コーデを手に入れた。
「前のコーデ、あとアクセ二つだけだったのにな…」
 あみは言いながら、あることを思い付いて、本屋から出ると隣の商業ビルに向かった。
「なんでクラフト屋?」
 あみはクラフトショップで部材を集めた。
「足りないアクセに似たの作って、最初からそれ着けてたらいいかと思って」
「反則っぽいな」
「いつか本物でやりたいけどね」

 とはいえ、仮アクセ作るのに時間もかかる。
「今週のめちゃマジ注目コーデは何かな?」
 あみは雑誌で情報を調べた。
「クリスマス衣装だ!かわいい!」
 注目コーデはピンク、限定コーデはブルー、オーソドックスな赤や緑は通常枠のようだ。クリスマスまでに1つは欲しいコーデなので、あみはとりあえずピンクを買って、限定コーデに挑むことにした。
 とりあえず、コーデ集めのため、フロート中にコーデメイツが持ってきてくれたコーデも買っておく。すると、ライブ後にコーデメイツ達と触れ合って遊べるのだ。時にはコーデメイツが一列に隊列を組んで大量に飛んでくることもある。あみは昔レトロゲームのイベントで似たようなゲームをしたことがあるのを思い出したりした。確か、ギャラガってゲームだったっけ。
 と、ライブが終わるとコーデメイツが…?来ない?
 あみは気が付くとフロートの上に立っている。
 みゃむが
「もっともっと!」
 えっ!アンコールステージ?

 勢いでアンコールを終えると、コーデメイツ達との触れ合いタイムもちゃんとあった。びっくりしたなぁ。

 あみは雑誌の付録、ガッチャモールで手に入れたストリートラインの色違い、手作りアクセの仮コーデ、クリスマスベルピンク、手持ちでのミックスコーデを総動員して限定ブルーをあと一枚まで集めた。意外と緑色のコーデを集めるといい感じのミックスも出来た。その間に赤のクリスマスベルコーデは幾つか出たが、緑は全く出なかった。
 あみは今度はまつりやひなのステージ衣装のお揃いを試そうとプリマジに向かった。
 待ち合いでふと見ると、ムーン地区の大会の様子が中継されていた。
「あれ?」
 ステージに立っているのはれもんだった。前髪が短くなっているが間違いない。
「あっ、わたしもこの前ショップで買ったステンドグラスコーデだ!綺麗!」
 あみは他のプリマジスタの衣装シリーズにステンドグラスコーデを追加し、三回ライブすることにした。すると、三曲目のフロートでコーデメイツが持ってきたのは…
「あっ、持ってないのが出た!」
 こうして、あみはひとまず、クリスマスまでにコーデを確保出来たのだった。



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今回のゲストさん

れもん


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