第2章 呪縛〜遠出

 あみは、せっかくプリマジスタデビューしたのに、まだ、ろくに揃ったコーデが無かった。
「とりあえず、ステージに挑んで、フロートの時とかでちょっと集めておかないとね」
 そのため、今日は手持ちのアイテムの中で比較的マシな組み合わせでステージに向かった。

 あみがプロフカードを入れた…が、読み込まない。
「あれ?」
 よく見るとカードが裏向きだった。カードが透明なので、一瞬気づかなかった。
「いけない、いけない…」
 それを見たみゃむが呆れたように言う。
「プロフカードを更新すれば、自分の写真が入るから裏表を間違えないんじゃないか?」
「そうなんだ、やってみる!」
 プロフカードで着るコーデの選択が出る。
「あ、もう着ることがない最初の服選べるんだね。これにしよっと」

 ステージが終わって。
「今回でもなかなかコーデ揃わないね…」
「この前の雑誌。もう一冊あっただろ?」
「あ、そうだった!」
 あみは雑誌を取り出した。前回使ったのは漫画雑誌だったが、これはプリマジの専門誌だ。
「へぇ、ここに出てるひなって人見かけたことあるかも…こっちのみるきってコ、かわいいな…」
 などど記事だけ読んで、付録の事を失念していた。
「今から、まつりがステージやるから、もう行くぞ」
 みゃむは去って行った。彼女のパートナーはまつりで、あみは片手間に手伝ってもらっている感じなのだ。

 あみはまつりのステージを見た。
「あのコーデ、いいなぁ…」
 言いながら、ふと、先刻の雑誌の付録を見た。
「あっ!これ、あのコーデの色違いだ!」

 あみは早速そのコーデでステージをしたのだった。
 そのステージで制服コーデが二種類揃った。
「おお、コスプレっぽくて面白い!」

 次の休み、あみは制服でプリマジをしようと意気込んでいたのだが…
「あれ?」
 コーデチェンジで最初に入れたアクセのカードが光らず、コーデが変更できない!
 他のコーデは制服に変わったのに、アクセだけステージ衣装でアンバランスこの上ない。
 あみは慌てて他のコーデもおとめマーガレットイエローコーデに戻した。

 コーデは一緒だけど、幸い別の曲を設定していたので、それなりには楽しめたのだが…

「うーむ、呪いのアイテムみたいにこのアクセ取れなかったらどうしよう…」
 みゃむは戻ってくるなりあみのこのセリフを聞くことになったのだった」
「他でも、アクセやトップスがうまく反応しない事故が起きてるらしいぞ。他の場所へ行くとか、買ったコーデに着替えるとかで対処するしかないな」

 試しに、遠出してみようかな…

 あみは遠出をするにあたり、コーデを増やしたかったが、ステージに立つにはコーデを変えられない。
「どうしたものかな…」
 あみはサイトのマイルームにガッチャモールへのリンクがあることを思い出した。
「これでクーポンゲットできたはず」
 かつて、あみはこれで入手したクーポンでコーデを貰ったことがある。
 さっそく回してみると…
「あれ?トップスだけ?」
 次ははずれ。次はアクセ、ボトムス、トップス二枚目だった。
「なんか、以前より厳しいなぁ…」

 翌日。更にガッチャモールのクーポンにリベンジしたら、無事シューズのクーポンもゲットできたので、あみは遠出してみることにした。
 電車の旅に備えてスーパーに立ち寄ると、コーデ付きのグミが入荷しているのを見つけた。
「うーん、お菓子控えろと言われてるけど…」
 とりあえず、何袋かだけつまみ買いしてみることにした。
「一つでもコーデ揃えばいいけど…」
 言いながら一つ目を開封。
「ネオンチェッカーの色違いのトップス…あれ?もしかしてシークレット?」
 ラインナップに載っていないものだった。プリチャンのグミではシークレットのトップスだけは超レアだったはず…
 しかし、そこで運を使い果たしたらしく、揃ったコーデは一つもなかったのだった。

 あみはとりあえず、プリマジ会場の多い大阪難波に来た。
「さっそく、ガッチャモールのコーデで…」
 これまでは、クーポンでフルコーデが無料だったはずなのに、今回のクーポンは限定カラーを確定で購入できるクーポンだった。
「えっ?システム変わったんだ…でも、このコーデ可愛いから買ってさっそくステージを始めよう」

 ステージが始まり、暫くしてフロートに載ると、いつものようにコーデメイツがコーデを持ってきてくれる。
「えっと…このげんきチェックトップスは持ってるし、色違いはフルコーデあるし」
 あみはそのトップスを選ばなかった。すると、コーデメイツはがっかりしながらコーデを下げた。その子は泣いていた。
「ごめんね…せっかくわたしのために選んでくれたのに…」
 フロートの上昇の後半になると、コーデメイツ達とタッチで触れ合える。その中に、さっき泣いていた子を見つけ、あみはやさしくタッチした。
 その子は少しにこりと微笑んで、フィナーレの大階段の方へ飛んでいき、気丈にバックダンスを踊ってくれていた。

 続けて先日のリベンジで制服でのステージもやろうとして、ふとコーデショップを見ると、今週の注目コーデがさっきのガッチャモールとは別の限定カラーのコーデだった。
「一応買っておこうかな。この色もまた着てみたいし」

 そして、制服ステージをしていると、またさっきの子が同じげんきチェックトップスを持ってきた。
「だから、それじゃないんだけど…よっぽどわたしにお勧めだって言いたいのかな?」
 あみは、さっきの罪悪感からそのトップスを選んだ。
 すると、その子は嬉しそうに微笑むと、コーデカードにパワーを注いだ。
 コーデカードの四つあるハート型の模様の一つに光が灯り、コーデのワッチャの値が上昇した。
「そうか、力を貸してくれるんだね!ありがとう」

 そのため、あみの本日のラストステージはパワーアップしたトップスとグミ等で手に入れたコーデのミックスコーデでのステージとなった。
 そのあみの姿を見て、さっきパワーをくれたコーデメイツは誇らしげにフロート中にあみとタッチを交わすのだった。


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