第4章 バズリウムチェンジ
あみがバースインして散歩していると、ポスターが目に入った。
「マイキャラフェス?」
ポスターを見ていると、横から高笑いが聞こえてきた。
「このチィが教えてあげましょう!」
紫のショートの髪のアイプリが自信に溢れた表情で話しかけてきた。
彼女によると、アイプリバースデーでは参加すると貰えるアイプリカードでアイプリ、コーデ、曲をリクエストするか自分がステージに上がるかだが、このマイキャラフェスというのはリクエスト無しで、自分がステージに上がって課題曲に挑むというイベントらしい。
「しかし、さっきのチィさん、このポスターに書いてある事しか言ってなかったな…」
あみはとりあえず、フェス会場に向かってみた。そこで他に順番待ちをしていたアイプリたちの雑談が聞こえてきた。
「ねぇ、知ってる?あの噂」
「マイキャラフェスではスタイルを選ばなけれはガイドが出ないってやつ?」
「うん。せっかくのフェスだし、気楽に踊りたいから、あたし、試そうかな…」
普通のオーディションでは選んだスタイルに合わせてガイドが出る。それに基づいて審査するわけだが。
「確かに、オーディションじゃなくてフェスだもんね。わたしも試してみよう」
課題曲が発表される。「シークレット・ドリーム」だった。
「この曲好き!特にみつきちゃんがトレードマークの月の形に指を回す振り付けがカッコいいんだよね!」
あみは軽い気持ちでステージに向かう。そして、目の前を見ると…
「えっ?審査員?」
なんとフェスもオーディションなのだった。あみはそのカッコいいと思った振り付けをガイドなしでやる羽目になった。
当然、バズリウムチェンジも起こらず…
「運命のジャッジターイム!」
結果はラインぎりぎりの合格だった。フリースタイルに挑むチャレンジだけは認めよう、といったところだった。
あみは参加賞のピンズを貰って帰路についた。
「次は心を入れ替えよう…」
数日後。あみは近くのファミリーマートで。
「よーし。今日は腹ごしらえしてバズリウムチェンジに挑もう!」
パンのコーナーで生コッペパンのところへ。焼きそばパンとかコロッケパンとかがはさんであり、軽食にいいのだ。
「何?トリプルチョコ?」
チョコクリームとか粒のチョコとか、3種類のチョコが入っている。
「おいしそう!」
どのみち、昼食は近くのフードコートでつけ麺を食べてきているので、おやつなのだった。菓子パンでも問題はない。
「まぁ、お昼のつけ麺、特盛まで無料で増やせるから、つい食べ過ぎたし、コロッケとかよりチョコでいいかもね」
腹ごしらえもした。そして、コーデも用意した。何といっても、今日のコーデはネットの上絵師が描いたひまりのイラストのコーデで、それがバズって商品化されたという曰くつきのコーデだ。なんでも、その絵師はひまりのクラスメイトだという噂も聞いた。
あみはライドに乗ってメイクルームを通り、コーデチェンジした。オーディションスタートだ。
今日はスタイル指定はしているのでちゃんとガイドが出る。あみは丁寧に、それでいて楽し気にステージを続けた。
ステージの照明が変わった。来る!
あみの着ていたコーデが一瞬にしてひまりがバズリウムチェンジで光らせたコーデに変わる。そして、ブレスが開いた。
あみはブレスの中のスイッチに触れた。
「バズリウムチェンジ!」
コーデが光った!綺麗な電飾が全身を彩る。
「どんな感じに光ってるのかな?」
あみは気になったが今は判らない。後で配信されたステージのアーカイブをチェックしないと。
それにしても、これだけ光るのに重かったり熱かったりしない。どういう仕組みなんだろう?
いずれにしても、これはアイプリバースというメタバースのアバターになっているので、実際はCGで光っているのだろうけど。
ジャッジタイムではなんと、「バズ合格」となった!
こうして、あみはバズリウムチェンジを初めて成功させたのだった。
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