インターミッション 結成!スイートベーカリー

 これは、緊急事態宣言解除後、ゆうきがあみたちに会いに行った少し前の話。

 ゆうきはディアクラウンの休憩室で週刊誌をパラパラとめくっていた。
 そこへあいが入ってきた。
「あ、ゆうき休憩入ってたんだ」
「うん。あいもお疲れ様」
「ゆうき、プリ☆チャン詳しい?」
「以前やってたことあるけどね。コロナの緊急事態宣言で仲間と会えなくなってお休み中」
「そうなんだ。アタシはなんか興味あるものの、よくわからなくて」
「じゃ、一緒にやってみる?」
「やってみようかな…」
「楽しいよ。ほら、ここディアクラウンでもブロードウェイに進出したリングマリィってユニットもいるし、設備はいいよ」

 二人はさっそく配信スタジオへ来てみた。
「でも、コーデとかないよ?」
「あたしのいたところは、お試しライブは着替えずにやったりしてたよ」
「そうなんだ。スカート短いけど大丈夫かな?」
「スパッツ履いてればいいんじゃない?」
「ダンスとかできるかな」
「ガイドに沿ってやれば大丈夫」

 ライブが始まった。
「え?体が軽い?ちゃんと踊れる!」
 あいはダンスをこなしている。
「プリたまキャッチ!」

 あいは飛んでくる卵型のカプセル、プリたまをなんとか受け止める。
「ギリギリキャッチ!」
 ゆうきは余裕で受ける。
「ナイスキャッチ!」
「すごいね」
「いや、うちのリーダーならパーフェクトキャッチとか普通にやるんだよ」

 ライブを終えると、キャッチしたプリたまが自分のまわりを回るルーレットになる。
「ぱっかーん」
 3つのプリたまが開くとコーデが現れる。どれも欲しいな…
「課金すればルーレットの続きができるよ」
 あいは試しにコインをベットした。4つ目のコーデが表示される。
 あいは気に入ったものを2つ選んだ。

 ライブを終えると、次はパシャリングステーションだ。
「あれ?店長?」
 店長のユヅルさんがカメラマンだ。前任のなるが渡米したため店長をしているが、もともとがカメラマンなので、そのままこの仕事を続けている。

 写真を選ぶと、課金のミニゲームに挑戦できる。まずは間違い探しが出た。
「見つけられるかな…」
「あたしは絵探しのほうが得意なんだけど…」
 言いながらゆうきも一緒に探してくれる。
 6つのうち、2つ目を見つけたところで、画面にみらいが現れた。
「マスコットを探してね」
 みらいの前にたまご型のカプセルがある。3つ選ぶと、一つは空。一つにキラッCHU、もう一つに金色のキラッCHUが入っていた。
「大当たり!」
 あいはスタンプカードのスタンプを余分に貰えた。

「どうだった?」
「楽しかった。今度はこのコーデでやりたいな」
「フルコーデ揃ったわけじゃないから、こんなのと合わせると夏らしくていいかも」
 ゆうきがコーデを足してミックスコーデを作る。
「へぇ、かわいいかも」
「あたしも似たようなミックス作ろうかな」

 二人はミックスコーデ合わせでライブをすることにした。
「そういえば、アタシたちのユニット名とか決めてないよね」
「だね。あいとゆうきで…」
「なんか、それアンパンマンの歌であったような」
「あったね」
「じゃ、「なかよしアンパンず」とかにする?」
 あいのネーミングセンスのダサさはあみと張り合えそうだとゆうきは溜息をついた。
「例えばツインベーカリーとか、なんか横文字っぽいのは?」
「二人のパン屋さんだとアンパンマンじゃないから「あんこベーカリー」かな」
「あんこは日本語なの?」
「英語でなんて言うのかな?」
「調べてみる?えーと、sweet bean paste、red bean paste、Anko…そのまんまか意味しか載ってないね」
「最初の甘い豆ペーストからスイートベーカリーとかって可愛いかも」
「じゃ、それでいこうか」
「よし。今日はスイートベーカリー結成記念ライブだね」

「でも、なかなかフルコーデ揃わないね」
 あいはこの日ゲットしたコーデを含めて、手持ちを並べながら言う。
「ニコチケならセットだし、あたし2色あるコーデ持ってるからそれにする?」
「それが手っ取り早いかもね。大手のチームは結構ライブしてるんだろうね」
「リングマリィの他にもミラクル☆キラッツやアイランジュ、メルティックスターもPR以上のレアリティのコーデでやってるね」
「そのへんはアタシでも知ってるよ」
「ナルシスターズやおしゃまトリックスあたりも頑張ってるし、他にもいいところが多いよ。ダイヤモンドスターとかミラクルMaxとか」
「ゆうきは他に注目しているユニットってある?」
「草の根ユニットだけど、やっぱり4-Miかな」

 その日の夜。あいは色々なチャンネルをチェックしていた。
「ふむふむ。これがゆうき一押しの4-Mi…なんか、このれみさん。一緒にライブしたいな。アタシたちにない色気を感じる…」

 これが一つの物語の序章だった。


今回のライブシーン
            
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