外伝・それから Part3 女王召喚
「へぇ、三年もあっちの世界にいたんだね」
あみは目の前にいる小学生の言葉に頷いた。相手はこっちの世界にいた頃、よく一緒にライブしたらぁらだ。
かつて存在したテーマパーク「プリパラ」では神アイドルだが、パークの外では普通にかわいい小学生の女の子だ。
ただ、彼女も世界を超えて向こうの世界で会ったことがある。
ふと、あみは頭上に気配を感じた。何かがすごいスピードで落ちてくる。
ガツン!
何かはあみの額に当たった。
「いたた…あれ?らぁら?」
あみの目の前にはらぁらがいる。今までの小学生のらぁらとアイドルのらぁらが並んでいる。
「えっ?どういうこと?」
「え?プリパラのあたし…?いや、ちょっと違うかも…」
「あなた、プリチャンのゆうさんのマスコットのらぁらちゃんだよね」
「よくわかったね!そうだよ」
マスコットらぁらはあみにポーチを渡した。
「これは…プリたまGO?」
「実は、向こうの世界のプリズムの煌めきが弱ってるの!これでライブしたフォロチケを向こうで使えば、暫くはあみちゃんは向こうでライブできるようになるの」
「あ、あたしがみれぃ達と向こうへ行った感じだね」
小学生らぁらが言う。確かに、ある時期だけ、フォロチケでらぁら達とライブできたことがあった。
「ゆみ、まみ、あいに会えるんだね!」
「そういう事。ただし、それほど長い期間じゃないみたい。その間に、あっちの世界のプリズムの煌めきを育てるお手伝いをしてほしいの」
「じゃ、ここで大きならぁらちゃんとライブ配信すればいいのかな?」
「そういう事」
「それなら…」
あみは何かをメモに走り書きして、ポーチに入れた。
「フォロチケと一緒に、これをゆみかまみかあいに渡してくれるかな?」
「いいよ。かしクマ!」
二人はこの世界のらぁらへのリスペクトで、らぁらが昔愛用していたコーデの色違いのキューティーリボンドリームコーデでライブした。
異世界発のデュオライブが始まった。
その頃。ゆみたち五人は休憩室に集まり、動画配信サイトを開いていた。
「実は、未公開のが一つあるんだ」
ゆみが言う。
「未公開?」
不思議そうに訊くまいにあいが答える。
「あみたちが帰る直前に、配信曲に「プリマ☆ドンナ?メモリアル」が解禁されたんだけど」
「確かにその頃でしたね」
「以前、六人で歴代アニメ主役コスプレライブを別の曲でやったことがあって、どうしてもこの曲を六を人でやりたくて、そのときの手持ちの未使用コーデ着て収録したんだ」
「そうなんですね」
「ただ、やりたかった衣装じゃないから、ちょっと心残りでね。それに、見ると別れた時を思い出して泣きそうだから封印したのである」
まみが解説の続きをする。
「でも、まいとかなが来てくれたし、見てみようと思うんだ」
そして、動画を再生した。
「すごい…」
かなが食い入るように画面を見る。そして、動画が終わると…
「あれ?新着?」
「どういうこと…?」
あみとらぁらが二人でライブしている。
「もしかして、だいあちゃんの言ってた、あみと会うためのライブの影響?」
そこへ、らぁらが入ってきた。ランドの外なので、ピンクのクマの姿だ。
「あっ、もう見てるんだね」
らぁらはそう言いながら、ゆみにポーチを渡した。
「あみの期間限定フォロチケ?あ、なんかメモが入ってる」
ゆみはメモを見た。
「約束果たせるかも。休憩室のロッカーの上のほうにあるポーチを持ってきて!会えるの楽しみです」
まみがロッカーを開ける。
「確かにポーチがあるのである」
五人はあみのフォロチケを見た。キューティーリボンドリームコーデの他にレインボーグリーンパフェコーデのものもある。
「これならガッチャモールのクーポンがなぜかやたらとあるからこれを使ってみようか」
ゆみたちはあみのポーチを持って配信スタジオへ向かった。
「かな、まい。どっちがセンターやる?」
ゆみに突然聞かれ、二人は驚いたように顔を見合わせる。
「知らないコがセンターでビックリさせたら面白くないかな?」
「ついでに、最近入った新曲にしてみよう」
「ええっ!?」
「でも、憧れのあみさんとライブできるなら…」
二人はじゃんけんをして、かながセンターになった。
フォロチケを読んでライブをセットする。
あみが現れた。
「久しぶり…って、あれ?」
「新人のかなです。よろしくお願いします」
「まいです」
「へぇ、後輩できたんだ。よろしく。楽しいライブにしようね…って、新曲出たんだ?」
ライブを終えて。
「会いたかったよー!」
あみとゆみたちは思い切りハグし合った。
「そうそう。あみ。ポーチ持ってきたよ」
ポーチの中にはあみの会員証、フォロチケ数枚が入っていた。
「これ、静岡でゆえさんにあった時作ったご当地会員証なんだ。それと、プリマドンナ用のフォロチケ」
あみは会員証をまいに渡した。
「ロギねさんと同じ方法なら、まいがその会員証で入って自分のフォロチケ使えば、わたしがセンターでライブできるかも」
「あみさん、名前覚えてくれたんですね」
「あみでいいよ。チームメイトでしょ」
「じゃ、六人で「夢かなえてみた」したいから、ハッピーピクニックでいいですか?」
「うん。やってみようか」
実験はうまくいき、あみがセンターでライブできた。
「でも、急にだから私服ライブになっちゃったね。さっきの新曲が街中だったから、こっちを衣装でやるべきだったかな?」
「いやいや、それもいい思い出になったと思いますよ」
「じゃ、今度来る時はれみとゆうき連れて来て、今度こそコスプレプリマドンナしようね!」
それだけ言い残し、あみは消えていった。
今回のライブシーン
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