第42章 アライブとのライブセッション

「おや?」
 スマホをのぞき込んであみの口から漏れた言葉だ。
「どうしたの?」
 のぞきこむゆうきに、
「ガッチャモールクーポンでウエルシアコラボって話聞いたんだけど、それっぽいコーデが当たったんだ」
「水色の赤ずきんっぽいトップスにキャラクターポーチ…」
「水色の時点で赤ずきんじゃないと思うけど」
 ゆみがつっこむ。
「ウエルシアのマスコットキャラの「うえたん」ですね」
 れみがポーチのモチーフを解説する。
「…」
 あいがそれを真剣に見ている。
「あい、うえたん好きなの?」
「いや、初めて知ったけど…かわいいね」
 そこまで言って、
「あみ、このコーデ借りていいかな?」
「え、別にいいけど。3回回して2枚出たからあげるよ?」
「ありがとう。嬉しい!」
「で、どんなライブがしたいの?」
「うん。この前のサンリオコラボで…」
「あ、あれ全部キャラのポーチ付きだったね」
「あみがシナモンに必死だった間に、れみはキティ、まみはキキララ、ゆみはマイメロディ、ゆうきはポムポムプリン手に入れてたよね」
「うん」
「アタシも手に入れたらキャラポーチおでかけライブ誘おうと思ってたら、5種類で終わっちゃったから…」
「なるほど。だからキャラポーチ付きのコーデを待ってたんだね」
「ちょうどアタシが着てみたいコーデだったし、やってみたいなと」
「じゃ、さっそくやってみよう!」
 あみもお気に入りのシナモロールコーデが着れるとあって決断が早い。この日のライブ内容は簡単に決まった。
 スタジオに着き、ライブのコースを選ぼうとして、
「あら?アライブ結成記念の限定コーデ?」
「期間限定でイブさんとアリスさんのお気に入りの服の色違いがラインナップされたのである」
「まみ、知ってたの?」
「ていうか、先週気づいて我はゲット済みである」
「そうなんだ。じゃ、普通のコースでいいか」
「そういえば、この前あみとペアライブしたテディペアのコーデのノーマルカラー、普通のコースのPRプリたまから出るよ」
 と、あいが言ったものの、メンバーは誰もあまり持っていなかった。
「じゃ、普通のコース一択だね」
 そして、話題にしたところで、テディベアのコーデが出るわけでもなかった。
「せめて代わりにあいが着てたほうのコーデでも着てみるかな」
「いいよ。貸そうか?」
 あいがあみに付録のコーデを渡す。

 ちょうど、その時、はるか♪さんが通りかかった。はるか♪さんはあみの手元を見て、
「あみさん!そのコーデ!」
「えっ、これ…?」
 あみが言い終わるより前にはるか♪さんはあみの手を握り、
「あの、あみさんお借りしてもいいですか?」
「一体どうしたんですか?」
 はるか♪さんは話し始めた。

 15分ほど前。
 はるか♪ははぁるる♪さんとのペアライブのフォロチケを用意するためにテディベアコーデでソロライブしようとした時、偶然、3人重なってしまった。
 それも、まったく同じ理由のメロディさん、今後ペアライブを誰かとする場合に備えようとしたくれあさん。全員が異なるテディベアコーデを持っていたのだった。
「偶然とはいえ、あと一人で色違いライブできちゃいますね」
 次の台詞が…
「知り合いにそういうの大好きな人がいるんですけどね」
 完全にハモった。
「まさか、それって…」
「あみさん?」
「あなた方もあみさんの知り合いですか?」

 で、その辺にあみがいないか探してみたところ、ネギを背負った鴨のようにあみがコーデを持って立っていたというわけだった。

 こうして、あみはセッションライブに参加するべく離脱したのであった。

 一方、残ったメンバーのうち。まみは買いたい漫画があるとゆみと一緒に先に帰っていった。
「スイートベーカリーが三人残ったね」
「そういえば、三人とも今入荷のプリチャンアイドルとお揃いのアイテムをミックスした私服だし、私服ライブしようか」
 あいが提案すると、ゆうきは、
「あたしだけ、イブさんと全く同じコーデだけど」
 そこでれみが、
「そういえば、ゆうき、そのワンピース、プリパラの頃から着てますね」
「お気に入りだからね。当時はプリパラのレッスンシューズそのままだったけど」
「じゃ、それでミックスコーデになりますね」
「まぁ、レッスンシューズあるから出来るけどね…」
 こうして、スイートベーカリーもライブ配信をすることにした。

 さて、あみはクマクマセッションライブを終えて一人帰路につこうとしていた。
「おなか空いたな…」
 あみの視界にアリスのキッチンカーが停まっていた。
「あそこにペペロンチーノパスタでも食べに行こうかな…」

「こんにちはー」
「あら、あみさん」
「えっ、イブ社長!」
 アリス、イブ姉妹が二人してそこにいた。
「そういえば、一度ライブでご一緒したいとお話ししてましたね」
「ええ、ぜひ」
「もうすぐ、店じまいするから、その後ならライブ、できますよ」
「本当ですか?」
 あみは、まみに電話した。
「まみ、今からアライブ色違いコーデ持って来れる?」
「いいけど、我は本屋でレジに並んでいるので30分はかかるぞ」
「大丈夫。待ってるね」
 あみはまみを待つ間にパスタに舌鼓を打つのだった。

「お待たせ」
 まみが到着した。
「コーデ持ってきたけど…って、本家アライブの二人!」
「こんにちは。色違いでお揃いだね」
「ライブ、楽しみですね」
「あみ…こんな大それたライブをするなんて」
「あれ?言わなかったっけ?」
「聞いてなーい!」

 こうして、社長たちをゲストにしたライブが実現したのだった。


今回のライブシーン
                 
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