第32章 サンシャインプリンセスカップ

「えっ、キリン?」
 あみ達は路地から出たところで車列ら出くわし、その車両に載っていたキリンと目が合った。

「何だろう?」
「サーカス団のようですね」
 れみが言うと、突然あいがどこかへ走り、すぐ戻ってきた。
「明日からしばらくこの近所でサーカスの興行があるみたいよ」
 あいは車列の横でチラシを配っているのを見かけて取りに行ったのだった。
「明日ってみんな暇だよね」
「後で前売り券買って帰ろうね」

 次の日、あみ達はサーカスを観に行くため集まり、会場へ向かった。
 入り口にタブレット端末のようなものが立っている。
 あみがのぞき込むと、カメラに映ったあみの顔が画面に出て、「36.1」と表示される。
「表面温度、正常」
 機械音声が流れる。そのまま前に進み、ゲートの入り口で手をアルコール消毒前売り券を箱に入れてゲートに入る。
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「椅子が離れて置いてあるね」
「確かにマスクして静かにご鑑賞くださいと貼り紙もあるし」
「コロナ禍だからそのへんは仕方ないね」

 サーカスが始まり、団長さんが挨拶をする。
「本日はコロナ禍の中ご来場いただきありがとうございます。感染防止対策に務めてまいりますので、ごゆっくりご鑑賞ください」
 観客はみんな無言で頷く。サーカスを楽しんでも、声は出さず、盛大な拍手で応えることになる。
「今回の興行は、実は元団員、アリス・ペペロンチーノが先のサンシャインプリンセスカップに出場するとのことで、その応援も兼ねてやって参りました」

「そうなんだ」
「そういえば、アリスさんはサーカス団で育ったんだったね」
 ゆみとゆうきの会話を聞きながら、あみが、
「あ、大会エントリー始まってるんだった!」
「では、帰りにエントリーしないとね」
 そこでれみが、
「まさか、今日サーカスに来てなかったら忘れてたんじゃないですか?」
「ぎくっ!」

 そんな経緯で申し込んだ大会当日。
 最初の対戦相手はミラクル☆キラッツだ。みらいは私服、えも、りんかもそれぞれのコーデに統一感がない。
「まだコーデがそんなに揃ってないからね。でも、ライブは全力でいくよ」
 コーデが揃っていないのはこちらも同じだ。
「そんな時には…」
 あみが取り出したのはガッチャモールで当てたクーポンだった。それをババ抜きのようにしてれみとゆうきが引く。
「私はナースですね」
「あたしは…げげっ!メイド?」
「わたしはネオンドロップサイリウムだわ」
 意外とこういう組み合わせでいいねがかなり集まった。

 二回戦。メルティックスターもコーデは各自思い思いのコーデのようだ。
「どうする?」
 次はあみ、まみ、あいで挑む。
 ヒントを求めてネタを探しているれみが、
「今回の大会、プリティーリズム10周年の節目みたいですね」
「確か、アイドル、ミニスカートの三人がやってたゲーム」
「それなら、ミニスカートのステージ衣装、持ってるから、ミニスカートコスプレで挑もうか」
 始まりのコーデのはずが、逆に新鮮で、思いのほか好評だった。

 そして三回戦。対戦相手は…
「キラッCHU達…」
 マスコット三人がお揃いのコーデで集結している。
「よし、わたし達も頑張るよ」
 あみとゆみがスタンバイする。
「あと一人は…」
 あみがあいを指名する。
「マスコットにはマスコット。マスコットパーティーコーデでいこう」
「うん、あれ可愛いからあたしも好き」
「このメンバーなら褐色の絶対領域でいけますね」
 れみが嬉しそうに言う。確かに色黒メンバーではあるけれど。
 褐色の絶対領域の効果かどうかは別として、あみ達は決勝にコマを進めた。
「キラッCHU達、あみちゃんを応援してるっチュ」
「がんばってラビ!」
「負けたら承知しないパン」

 そして、決勝。
「アリスさん、いい勝負にしようね」
「そうだね」
「盛り上げて、ご家族に見てもらえるといいですね」
「ありがとう」
「でも、本気で勝負だよ」

 あみはコーデチェンジの時ふとマスコット達の顔が浮かんだ。
 マスコットたちはあみにコーデをプレゼントしてくれていた。
 あみはプリチケではなく、プリたまGoをスキャンした。
「コーデチェンジ!」

 あみはプリたまルーレットでは見たことのないコーデに身を包んでいた。

 そして、大会を制したのだった。


今回のライブシーン
                        
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