第30章 再・テーマライブ週間

 あみ、まみが休憩室でお茶していると、
「入荷コーデ、新弾になったね」
 と言いながらゆうきが入ってきた。
「うん。また新しい卵がきてるようであるな」
「じゃ、ある程度コーデが揃うのでは何か企画でもする?」
「そうだね…」
 そう言いながら、ゆうきが配信を検索する。
「あれ?」
 一同、画面に注目する。
「これって、屋台のアリスさん?」
「そうみたい。探している家族が見てくれたらとライブするって書いてあるよ」
「そういえば、赤ん坊の頃に両親とはぐれてサーカス団に育ててもらったような話を聞いたような」
「だから、動物やピエロみたいなサーカスモチーフで統一されたライブなんだね」
「あ、それで思いついた!」
 あみが突然言う。
「何が?」
「企画!前にやったテーマを決めたライブ限定、アレ、またやろうよ」
「いいけど…今日のライブはどうするのであるか?」
「ゆうき、ゆめみる乙女コーデの新色手に入れたって言ってなかったっけ」
「うん。雑誌の付録だったよ」
「じゃ、もともと持ってる二色を使った色違いライブでいいんじゃない?」

 そんなわけで、次の日、あみはコーデをいつもより多く持って出かけた。
「今日はみんな忙しいから、ゲストさんに合わせなきゃだもんね」
 一人ならソロライブでいい、という考えはないのがあみらしい。
「おお!シナモロールのコーデ入荷してる!」
 あみがサンリオコラボ発表から待っていたコーデだ。
「あみさん、シナモン好きなんですか?」
 横から声がかかる。知っている顔のようで何だか…
「えっと、もしかして…このはさん?」
 このはさんは眼鏡を外していた。
「あれ?眼鏡…?」
「あ、眼鏡外すとブラッククローバーのノエル・シルヴァに似てるかもって言われたから試しに外してらいぶしようかと思ってね」
「その作品…番宣見たことあるけど、詳しくないけど…似てるんだろうね」
 このはさんのコーデの色違いは今持っている!
「とにかく、素顔のこのはさん、かわいい!色違いコーデあるから、ペアライブしませんか」
「ふふ、ありがとうございます。でも、慣れもあるから今後は眼鏡かけますよ」
「じゃ、レアなライブになりますね」
 そして、シナモンのコーデアイテムも手に入り、あみは大満足で家路についたのだった。

 別の日。
「今日はれあみゅーずが揃ったね」
 ゆうきが言うとおり、あみ、れみ、ゆうきの三人で配信スタジオに来ていた。
「今日のテーマは制服コーデ。アイドルグループっぽくて楽しみですね」
 れみは乗り気だ。
「じゃ、れみがセンターやる?」
 ゆうきが提案する。
「そうだね。でもグループにするなら人数欲しいよね」
 あみはその辺にいる人を見回した。
「知り合いは見かけるけど、制服ライブしてる人はいないか…」
 そう言いながら画面を見ると、ユイティアさん達が制服ペアライブしていた。
「いた!」
 あみは配信を終えたユイティアさんたちに声をかける。
「制服ペアライブですか?」
「はい」
 びびっとさんが答える。
「お疲れのところすみませんが、わたし達と制服ジョイントセッションしませんか?」
「面白そうですね。いいですよ」
 そして、この日もテーマライブをクリアし、ついに、シナモロールコーデも揃ったのだった。
「うー、はやく着たい!」
 あみはシナモンのコーデを手にウズウズしていた。
「あ、あみさん!」
 みるきぃさんがあみに気づいた。
「みるきぃさん!こんにちは。あの…今サンリオコーデ持ってます?」
「マイメロディならありますけど」
「ペアライブしません?今テーマライブ縛りやってて、このシナモンのコーデ着るチャンスがなくて…」
「そういえば、前もそんな感じでサニーズーライブやりましたね」
 そういえば、前回もテーマ縛りに付き合ってもらったんだっけ。
 ユイティアさんたちにダブルヘッダーを頼んだあみは、自分もダブルヘッダーになったのだった。

 そして、テーマ週間最終日。メンバー六人全員が揃った。
「今日のテーマどうしよう」
「せっかく全員いるし、何かすごいのやりたいよね」
「色違いもお揃いもやったし、どうしようか」
 悩む一同にゆみが思いついた案を出す。
「去年の毎月のコーデのテーマって覚えてる?」
「みらいコレクションとか、大手のプリチャンアイドルのセレクトだったよね」
「みらいコレクションライブとかどう?」
「どういうこと?」
「前にれみが、みらいちゃん、私服かわいいですね、とか言ってたから、みらいちゃんの私服とお揃いのを集めてみたんだ」
「そうなんだ」
「学校の制服入れて12コーデあるから、ときめきハートジュエルを交代で着替えながらやるのはどうかなって」
「おお、確かに新企画!」

 いざ、好きなコーデを二つづつ選んで、登場順にすると、連続パートで着替えが間に合わない。
「どうしよう…」
「決めたコーデでやりたいし、各パートをやって編集を配信するかな」
「だね」

 結局、交代しながらも各パートを四曲分。あみは徹夜で編集する羽目になったのだった。


今回のライブシーン
                                         
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