第26章 10月のイベントといえば?ラビ
「10月になったか…」
「コロナで色々あっても季節は変わるもんね」
あみ、まみ、ゆみは三人で散歩していた。
「秋だし、焼き芋屋さんとか来ないかなぁ…」
あみはやはり食欲の秋だ。
「そういえば、あみ、用事があるんじゃないの?」
「うん。郵便局にね」
「そっか。10月だもんね」
ゆみが納得したように言う。あみの姉、くみは10月生まれで今は海外にいる。バースデープレゼントを贈るのだ。
「えっ?」
あみが郵便を出そうとすると、郵便局員が、
「今はそれだけじゃダメで、書類とか必要なんですよ」
確かに、コロナもそうだが、テロとかもあるし、海外小包はセキュリティが厳しくなっているようだ。
「スマホアプリでもできますよ」
あみは局員に貰った紙を見ながら住所等をアプリに登録し、それを読み取ってもらい、ようやく郵便を出せた。
「ごめんね。予想以上に時間食っちゃった」
「ま、どうせ急がないし。今日の配信ライブ、特にプランもないし…」
と言いながら、配信スタジオに行くと、みっち☆さんがいた。そして、髪の色は違うが彼女によく似た子もいる。
「あ、あみさん。この子、私の相方のゆめみっち☆です」
「そういえば、以前、相方さんがいるような事、話してた気がします」
「今からドーリーワルツ合わせやるんですけど、せっかくですし、一緒にどうですか?」
「わたし達が他の色持ってるから、色違いライブできますよ」
こうして、今日のライブ内容が決まった。
数日後。今日は全員があみ達の寮の部屋に集まっている。
「さて。今日の議題は…」
ゆうきが切り出した。
「ハロウィンライブかな」
「だね」
「最近のウチらのライブ、どのくらい見てもらってるのかな…」
「そうだね…やはり21人ライブは特に多いけど、先日のドーリーワルツ合わせみたいなゲストさんとテーマを合わせたやつもそこそこ」
「あれ?新着あり?誰?」
あみが繰っていくと、新着ライブ配信が来ている。あみ達に覚えはない。
あみはとりあえず配信を開いた。
「おひさしぶり!」
そう言って画面に現れたのは…くみだった。
「げーっ!お姉ちゃん!」
「えっ、この人、あみのお姉さん?」
あいが横からのぞき込む。確かにあいはくみに会ったことがない。
「今、ヨーロッパはコロナでロックダウン中なので一人でウチにいます」
くみは続ける。
「そんな時、妹からワタシの星座のホロスコープコーデがバースデープレゼントに届きました」
先日、あみが苦労して送ったプレゼントだ。
「では、自宅からバーチャルシステムでライブ配信やってみた!」
くみがさそり座コーデでソロライブをする様子が映し出された。
「あみ、無事届いて良かったね」
ゆみが声をかける。
「くみさん、いきなり配信だなんて、よっぽど嬉しかったんですね」
れみもそう言いながら配信を見ている。
「さて、お姉ちゃんのライブで中断したけど、ハロウィンライブの作戦会議、始めようか」
あみが話題を戻す。
「あれ?黒糖もうないの?」
テーブルの上の「雪の宿」せんべいに手をのばしかけたゆみが話をさえぎる。
「黒糖、入ってる数がちょっと少なかったっけ」
「普通の白いのもおいしいですよ?」
「そういえば、春限定か何かで梅味がでた事あったっけ?」
「あったあった!ピンクで可愛いって説明読まずに食べて、すっぱい!ってなった」
いつも間にか、こんどは雪の宿談義になっている。
「さて、今年のハロウィンだけど、肝試しって夏向けのキョンシーコーデが出たよね」
「でも、あれで統一したら動きにくそうですね」
「今年も歴代のを色々着て百鬼夜行でいいんじゃない?」
「あたしはモーリーの雑誌で貰ったもこもこモンスターにしようかな」
「ゆうきがモーリーの雑誌なら、私は先日モーリーのハロウィンイベントで貰った去年のハロウィンコーデにしますね」
「あたしはパクトのバグで出た赤いヴァンパイアにしようかな。あれ、お気に入りだし」
ゆみはそのコーデでなでこさんとライブした時、すごく良かったらしく、時々このコーデを使っている。
「アタシはこの一昨年のモデルの色違いにしようかな。この頃はデビュー前だから新鮮」
「我は昨日プレゼントボックスで手に入れたコーデにするのである」
全員が口々にコーデを決める。
「ということは…その動きにくそうなキョンシーがわたしって事?」
「そうなるね」
「まぁ、あみは新コーデ好きですしね」
「…うん。がんばる」
あみは拳を握りしめて言った。
実際、袖が大きく、あみは時々顔が映らない配信となったのだけれど。
今回のライブシーン
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