第23章 コトバブーケの約束ラビ

「やっと揃った!」
 あみはニコニコしながら鞄にプリチケをしまった。かわいいと思っていた森のリスコーデが揃ったのだ。今日はあい達とライブする予定だが、後でこれを着てソロライブもいいかなと持って行くのだった。
「じゃ、出発しますよ」>
 れみが促す。
「うん。ゆみとまみは今日都合つかないんだよね」
「でも、幸か不幸か、クーポン4枚ですからね」
 れみがガッチャモールで同じコーデのクーポンを3日で4枚引いたらしく、今日合わせライブしようと提案したのだった。そして、ゆみたちの都合がつかないので、ゆうき達を誘ったのだった。
「4-Miではなく、れあみゅーずとスイートベーカリーのジョイントセッションになったね」
「ゆうきと私は掛け持ちですからね」
 二人は配信スタジオに着いたが、れみはクーポンの引き換えに行ったので、あみは先に中に入った。

「お、来た来た!」
 すでにあいとゆうきは到着していた。
「あとはれみだね」
 そう言うゆうきに続いて、
「あみと一緒じゃないの?都合悪くなったとか?」
 あいが不思議そうに訊く。確かに、一緒の寮にいるのだから一緒に来るはずだ。
「れみはクーポンの引き換えに行ってるだけで、一緒に来てるよ」
「よかった」
 ほっとするあいに堪えるにれみが入ってきた。
「さぁ、クーポン持ってきましたよ」
 れみが配ったクーポンを受け取りながら、
「どんなコーデかな…モードクラシカルコスモスコーデ?」
「へぇ、綺麗なデザインだし、色もピンクでかわいい!」
「ふふふ…」
 嬉しそうにクーポンのコーデの絵を見るあい達を見て、れみも嬉しそうに微笑んだ。
 そして、あみだけがれみの笑顔を見て、
「まさか…」

 あみの予感は的中した。
「えっ?このスカートって…」
「スパッツに襞が付いてるってくらい短いね…」
「同系色のピンクのインナーだから、そういう衣装でしょうね」
 れみは嬉しそうに答える。
 確かに、この丈のショーパンとかでライブしてるんだけど、スカートがあるだけでそう感じる…まみなら拒否しそうなコーデなので、このメンバーで良かったかもしれない。
 あみはそう思いながられみの横顔を見ていた。

 実際、こういう衣装だと思ってライブすると悪くない。
 ライブを終えてブースから出ると、
「あれ?珍しいコーデですね。私も結構ルーレット回してるけどお目にかかった事がありません」
 声がかかる。あみは声の主を見た。
「あれ?エルザさん?」
 にじのエルザさんだった。
「あ、これはガッチャモールのクーポンで貰ったやつです」
「そういえば、そういうクーポンの話は聞いたことがあります」
「そうそう。この前ここでみるきぃさん達とライブしたんですよ」
「えっと…私も知ってる方?」
「ほら、大阪で待ち合わせ出来ないって言ってた」
「ああ、つい神戸での知り合いって考えてたのですぐに思い出せませんでした。大阪で会ったみるきぃさんね」
 ここであみは横を見る。あいが「誰?」って顔をしている。
「あ、この方はにじのエルザさん。全国を回ってライブしている人なんだよ」
「おかげで、色んなところに知り合いがいるんですけどね」
「えっと、このコはあい。最近うちのグループでライブしてるんです」
「はじめまして。あいさん」
「せっかくだから、エルザさんと一緒にライブはどうかな」
「そうですね。あ、あいさん、そのエッグレアだったらそれを中心に考えましょう」
 あいはキラッとチェックキラッツコーデを持っている。あみはクラシックキラッツコーデがある。
「じゃ、私はワンダーレアのキラッツコーデにしますか」
 こうして、三人はキラチケ色違いライブをした。

「そうそう。あみさんもコトバブーケはしましたか?ウエディングのエスコート側のコーデ持ってるんですけど」
「う…花嫁コーデ揃ってないから、今日は別のコーデでしませんか?そして、コーデが揃ったらその時にお願いします」
「あみが死亡フラグみたいな事言ってる…」
 ゆうきがつっこんだ。

 そして、別コーデであみとエルザさんがコトバブーケでライブをすると…
「すくすくすくすく〜」
 なんと、ラビリィがアイドルマスコットに成長して、あみの手を取った。
「おお!花嫁簒奪!」
「ラビリィの略奪愛!」
 みんなが口々につっこむ。
 あみのコーデはイルミナージュコーデに変わり、二人は船のアトラクションに乗り、そのままお城のステージへの階段をかけのぼる。
「キラキラのイルミナージュ!」
 あみのコーデが光りだす。スカートを魚群の形の光が走る。
「綺麗…!」
 夢のようなイルミナージュライブだった。

「なかなかラビリィも粋な演出しますね」
 エルザさんも笑う。
「思いついたら、大きくなったラビ」
「そうそう。明後日、戻り道にまた寄りますよ」
「そこまでにコーデ集められるか不安…」
「まぁ、無理せずに」
 エルザさんはそう言って旅立っていった。あみ達も解散した。

「さて、森のリスライブして帰ろうかな」
 あみが再び配信しようとしたら先客がいた。
「あれ?タイムラインで見かけたことのあるコだな…」
 と、向こうも、
「あれ?タイムラインで見かけてフォロチケ持ってる人かな…?」
「えっと…」
「あ、みっち☆っていいます」
「わたしはあみです」
「お会いするのは初めてですね…」
「そうですね。たまたま、このコーデ使いたくて来たら。お会いできてよかったです」
「あら、森のリス。私も持ってますよ。合わせでライブします?」
「いいですか?では、ぜひ!」
 思いがけずペアライブができた。

「今日は楽しかったです」
 あみはみっち☆さんにそう言うと、みっち☆さんが、
「また機会があれば誘ってくださいね。私、超がつくほど寂しがり屋ですから」
 笑いながら言うみっち☆さんに、
「じゃ、明後日、何かライブを企画するので、良ければどうぞ」
 あみはいきなり誘う。
「え?大人数で入れ替わるやつでしたっけ」
 あ、配信見てくれたの21人ライブだったのかな。募集かけてみようかな。
「出来たらそれもいいかも。まだ未定ですけどね」

 なんか、今日はやたらと約束してしまう日になったな…
 あみはそう思いつつ、21人ライブの募集をかけたのだった。


今回のライブシーン
                     
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