第22章 ライブセッションするラビ

 ディアクラウンの休憩室。ゆうきとあいがお茶している。あみ達と違い、テーブルにお菓子が大量にあるわけではない。
「こんにちはー」
 そこにあみが元気よく入ってきた。
「差し入れあるよ!今日はブルボン詰め合わせ!」
「あ、ルマンド入ってる。アタシこれ好き!」
 あいが食いつく。
「確かにこのルマンドとかこっちのホワイトロリータは定番って感じだね。でも、わたしはコッチがおススメ」
 あみはチョコリエールを取り出した。
「あ、これもおいしいよね」
「でしょ」
 あみが来ただけで、休憩室の机の上はお菓子だらけになった。
「もうすぐバイト終わるよね」
「うん。あみは非番?」
「そう。暇だから遊びに来たんだよ。仕事済んだらライブ配信しようよ」

 三人が配信スタジオに来ると、あみは居合わせた二人組に気づいた。
 会うのは初めてだが、先日ニザーム君から聞いていたいずみさんとゆめみさんに違いない。
「あの、こんにちは」
 あみが声をかけると、あみと同じおだんごツインの髪型のコが、
「あ、もしかしてあみさん?」
「はい」
「ゆめみです。シャムロックから話を聞いてお会いしたいと思っていました」
「わたしもいずみさんからいいねを貰ってから、一緒にライブしたいなって思ってました」
「お互い、念願のジョイントライブですね」
「そうですね」
「とはいえ…コーデがバラバラだね…」
 あいが全員の手持ちのコーデを見て言う。
「あみさんって、コーデはお任せの賑やかライブが売りなんですよね!じゃちょうどいいですね」
「いずみさんがそう言ってくれるなら、それでいきましょう」
 そして、ジョイントライブの後、ゆめみさんの提案で一同、ハンバーガーで打ち上げをしたのだった。

 その帰路、あみはゆうきと歩いていた。あいは寄りたい所があるとさっき別方向へ向かっていった。
「ちょっとハンバーガー食べすぎちゃったね」
「あみはチーズバーガーを大小二つ頼んだんだから自業自得だよ」
「いや、トリチってのを鶏肉のチーズバーガーだと勘違いしてトリプルチーズバーガーを注文しちゃったんだ」
「でも、あみならその位、軽く食べそうだけど」
「いや、このあとれみと合流して夕食なんだ」
「なるほど。腹ごなしに一曲やる?」
「うん。わたしもそれ考えてた」
 二人は最寄りの配信スタジオに入っていった。

 スタジオではみるきぃさんたちがペアライブしていた。
「あのコーデ、以前時の精霊とライブした時のやつの色違いだ!」
 みるきぃさんが配信を終えてあみに気づいた。
「こんにちは」
「こんにちは。ここで会うのは初めてかな?」
「確かに、ここでは初かも。前の色違いライブはここじゃなかったですね」
「前の色違いライブは楽しかったですね」
 そう言うちゃんでぃさんに、
「そのコーデなら、わたし、色違い持ってるから、出来ますよ」
 あみが答える。そして、4色の色違いライブをすることになった。
「テーマを決めたライブセッションはワクワクしますね!」
 そして、そのライブのいいねでラビリィがまた成長した。
「わぁ、かわいい!」
「ありがとうラビ!」

 2つのライブを楽しんだあみはゆうきと別れ、れみと合流した。
「れみ、おつかれ」
「お待たせしましたね。今日はラーメン食べに行くんでしたっけ」
「だね。昔エルザさんに教えた店のトマトらーめん、久しぶりに食べたいから」
「今日はチャーシュー麺とチャーシュー丼じゃないんですね」
「あの時はつい間違えたんだよね。チャーシュー麺の時は高菜ごはんにするんだけど」
 結局、この日はトマトらーめんなのであみはチャーシュー丼を選んだ。れみは同じメニューでも丼はミニ丼にした。
 あみはチャーシュー丼に取り放題の沢庵を載せながらふと思った。今日のジョイントライブはかたやコーデバラバラのにぎやかライブ、かたやコーデ統一のセッションライブ。コンセプトが真逆なのにどっちも楽しかった。
「ねぇ、れみ」
「何ですか?」
 あみは疑問をぶつけてみた。自分たちのやりたいライブのコンセプトって何だろう。

 れみはれんげですくったトマトの欠片を食べようとした手を止めて一瞬考えた後、
「あみ。じゃ、食後に二人でライブしてみませんか」
 とだけ答えた。

「れみ、どうするの?」
 食後に訪れた配信スタジオでれみに訊いた。れみはニコチケを二枚取り出した。
「テーマは先週ゲットしたニコチケコーデ合わせ。でも、色も形もバラバラです」
「ということは…?」
「楽しければ、コンセプトなんてどうにでもなりますよ。その時やりたいライブをすればいいんです」
 れみは微笑んで片方のニコチケをあみに手渡した。


今回のライブシーン
            
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