第17章 テーマを決めてライブするパン

 あみ達が休憩室でお茶していると、ゆうきがやって来た。
「ねぇ、これ知ってた?」
「何?新フレーバーの黒糖かりんとうとか?」
 ゆうきの問いにボケるあみ。
「そもそも、黒糖かりんとうにフレーバーとか無いし」
 一応つっこみながら、ゆうきはスマホに表示されたサイトを見せる。
「ガッチャモール?」
「うん。ガチャで色々なクーポンをゲットできるサイトなんだけど」
 その中に、プリ☆チャンで使えるプリパラ復刻コーデクーポンがある。
「あみが昔入手に苦労したドリパレプリンセスコーデ、あたし一発で引いたんだ」
「う…当時のわたしに見せてやりたい…」
 言いつつ、あみ達もサイトにアクセスする。
「私はりぼんいっぱいらぁらコーデでした」
 と、れみ。
 まみはパラダイスコーデ、ゆみもパラダイスコーデだった。
「で、あみはどうだったの?」
「へへ、わたしもドリパレ…でも、あの時の感動ほどはないか…」
 他とコーデがかぶったゆみとあみはもう一度引いてみた。
「やった!かぶってない!」
 二人は同時に叫んだ…が。
「ははは、二人ともダリアオリエンタルコーデだ」
「じゃ、一日3回までってあるし、あたしが引いてみる」
 ゆみが引くとまたまたダリアオリエンタルコーデだ。
「ダリアの精か何かがいるのかな?」
 言いつつあみが3回目にチャレンジ。
「お、ちりタッセルコーデだ」

 さっそく五人でライブしようとすると、メルパンが聞いてきた。
「あみ様たちはコーデをあまり揃えずバラバラでライブしてるパン」
 メルパンの問いかけに、ゆみはこれまでを回想しながら、
「そういえばそうかな」
「でも、今回は入手方法つながりだよね」
「配信見ている人には伝わらないパン!」
 あくまでアバウトなあみにメルパンが怒ったようにつっこむ。
「でも、確かにコーデのコンセプトを揃えたライブは見ごたえあるかな」
「いろいろなコーデが見れる賑やかライブもいいけど、確かにそうなのである」
 ゆうきやまみはメルパンに賛同する。
「じゃ、いっそ今週はテーマを決めたライブ以外禁止にしましょう」
 れみが強引にその場をしめた。

「じゃ、二曲目どうする?」
「この前、大会でメルパンが着ていたかいじゅうレインコート、あれ3色あるよ」
 ゆみが提案すると、れみ、まみが参加を決めた。
「わたし達はどうしようか」
 あみはゆうきに聞く。
「この前、グミでにゃんにゃんポリスが出たんだ」
「わたし、持ってないよ」
「グミのわんわんポリス持ってなかった?」
「あっ、そうか。グミでどうぶつポリスライブか!」
「うん。面白そうじゃない?」
「決定だね」

 このように、この日はすんなりライブが決まったのだが…

 翌日。

 あみはゆうきと二人で買い物に来ていた。
「そういえば、ニコチケのシークレットワンダーランドコーデとパクトのキャットコーデって、不思議の国のアリスだよね」
「アリスが水色でチェシャ猫がピンクのイメージあるけど…」
「持ってるコーデ、色が逆なんだよね…」
「キンケシで言えば、ロビンマスクがペールオレンジでキン肉マンが青の成型色が当たった気分」
 たまたま、通りかかったところのガシャポンにキン消しのものがあった。以前、東京でロングホーントレインの技のものと単体のザ・ニンジャを当てたシリーズの新作だった。
「あみの例えって、いつも微妙な所からくるね」
「叔父さんが集めていた頃は赤、青、黄、緑、肌色、時々ラメ入り透明だって言ってたけど」
「赤と青だけ残ったんだね」
「肌色はペールオレンジの事だよ。黄色は細かい部分の造形が見えにくくて人気無かったらしいよ」
「緑は?」
「さぁ?何で無いんだろう」

「あれ?あみさん?」
 通りかかったのははぁるる♪さんとはるか♪さんだった。
「あっ、こんにちは!」
「色がどうかしたんですか?」
 話の一部が聞こえていたらしい。
「シークレットワンダーランドコーデの色が逆ならいいのにって話をしていて」
「それなら、私達はその組み合わせのコーデありますよ。色も揃って素敵なライブできそうです」
 あみとはるか♪さんがピンクチーム、ゆうきとはぁるる♪さんがブルーチームになって4人でライブすることになった。
「じゃ、うさぎ耳のアリス二人がセンターですかね」
「ですね」

 一応、この日の予定を終了して解散したのだが、あみは少し時間があった。
「ソロライブならコンセプト関係ないよね…」
 と、配信しようとしたら、今度はこのはさんに会った。
「あ、こんにちは」
「この前は入れ違いでしたね。リベンジしますか?」
 そうだった。三田で入れ違いだったので、今度ライブしようと話していたのだった。
「そうですね。合わせられるコーデありますかね」
「今日はテーマを決めてペアライブですか。いいですね」
「エッグレアの色違いライブはできそうですね」
「そうですね。それでいきましょうか」

 こうして、この日はなんとかテーマを決めたライブが出来たのだった。

 そして、テーマライブ週間最終日。
「今日はゆうきも来てないし、まみも用事があるから、3人だね」
「おやつの買い出しついでにライブかな。テーマは何にしようか」
「そういえば、みるきぃさんたちがサニーズーコーデで動物ライブやる人募ってたのをさっき見ましたよ」
 れみがチェックしていたようだ。
「それだ!さっそく連絡とってみよう」

「あの、うち3人なんですけど出来ますか?」
「もちろん。参加ありがとうございます」
「やったぁ。それじゃ今から行きますね」

 みるきぃさんとちゃんでぃさん、あみとれみはそれぞれお揃いのカラー、ゆみが通常カラーだ。
「じゃ、ゆみさんがセンターでいきましょう」
「がんばります!」

 夕方。ライブを終えて3人は休憩室で買ってきたお菓子を食べていた。ちょうどまみも到着し、わいわいとティータイムを楽しんでいたのだが…

「ごめんください」
 はじめて見る女の子だ。
「こちら、4−Miさんのお部屋ですよね」
「はい…ていうか、よくわたし達のチーム名をご存じですね」
「当然です」
 いや、当のわたし達ですらユニット名を忘れつつあったぞ、と思いつつあみは質問を返す。
「で、どういったご用件ですか」

 あみの問いかけに、そのコは真顔で言った。
「アタシたちのユニット、スイートベーカリーにそちらのれみさんをスカウトしたく参りました」

「は?」
 4人はあんぐり口を開けた。スカウト?

「れみさん、うちに移籍しませんか?」
 その女の子は、重ねてれみに聞いたのだった。


今回のライブシーン
                          
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