第13章 帰ってきた仲間だパン

「あ、お久しぶりです」
 あみは配信スタジオでありもも!さんを声をかけた。
「配信では見かけるけど、久しぶりですね」
「せっかくだし、何人か声かけて、にぎやかライブでもしますか」
「いいですけど、誰かいますかね…」
 あみは待合を見回した。
「ゆっきーさん!」
「あ、あみさん。ランドオープンの時以来ですかね」
「ですね」
「あの時はお誘いありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ。じゃ、今日もどうですか?」
「いいですよ」

 しかし、他に知った人はいない。ただ、隣にいた二人組が持っているエンブレムは…
 あみは一か八か声をかける。
「あの、もしよかったら、ご一緒にライブどうですか?」
 声をかけた人は一瞬えっ?という顔をしたが、隣の人に
、 「めーさん、どうする?」
 と聞いてくれた。
 めーさんと呼ばれたコが、
「もしかして、愛姫の言ってた方かな…?」
 やはり、あいきさんのグループの人たちだった。
「多分、わたしの事です。あみです」
「瑪瑙です。こちらは珀炉」
「よろしく」
 はくろさんも会釈してくれる。
 そっか、めのうさんだからめーさんだったのか。
「楽しいライブにするなら、私たちはコーデを入れ替えて参加しようかな」
 ピンクのツインテでお姫様っぽいめのうさんが王子様コーデを着ている。
「じゃ、始めますか」
 あみがそう言った途端、

「ちょっとお待ち!」

 声がかかった。
「相変わらず面白いライブやってるね」
「!」
 ゆうきだった。
 隣町のディアクラウンの寮にいるため会えなかったのだが…

「この町に帰ってきたよ!あたしも参加するよ!」
 あみはゆうきに飛びついた。
「むぎゅ…痛い痛い!」

「一体どうしたの?」
 ライブの後、あみはゆうきとお茶しながら話していた。
「うん。あのあと、さなえはみぃたちに合流したいって旅立ってね」
「そうなんだ」
「だから、一人になったから、プリ☆チャン配信は休んでたんだ」
「配信でも見かけないなとは思ってたけど」
「でも、新しいバイトのコが興味あるみたいなんで一緒にあみたちの配信見てたら懐かしくなってね」
「それで」
「うん。緊急事態宣言の頃と違って、ソーシャルディスタンスとか、マスク、消毒も一般化してきたし」
「電車に乗って来たわけね」
「うん」
「じゃ、今かられみ呼んで、久しぶりに三人で盛り上がろうよ」
 あみはさっそくれみに連絡した。
「あ、それから提案だけど」
「どうしたの?」
「すみっコぐらしの水着手に入ったんだ」
「それで」
「夏祭りって5人ライブだから、来週ビーチでゆみたちも一緒に水着ライブしたいなって」
「おっ、いいですね」
「れみ?早っ!」
「たまたま、はす向かいの電気屋さんに録画用のブルーレイ買いにきてたんですよ」
「今度は何録ってるの?」
 ゆうきが訊く。
「キラメイジャー。今年の戦隊です。宝石が乗り物になって合体してロボットになるんですよ」
「男の子でも宝石とか見るんだ」
「仮面ライダーでもウィザードって宝石の指輪モチーフのがいましたよ」
「へぇ」

 こうして、ゆうきが復帰し、いつもの休憩室メンバーは5人になったのだった。

 もちろん、翌週に水着で集合したのは言うまでもない。
「おお、浮き輪にもすみっコたちが」
「かわいい!」
 ゆうきの新作水着であみ達が盛り上がっていると、
「我も新作なのである…どうかな?」
 ちょっと最後は恥ずかしそうに言う。フルーツの水着だ。
「おお!トロピカルな感じでいいね!」
 あみは去年流行ったフラワーパレオの水着だった。
「私はプレゼントボックスで見つけたリバイバルの水着ですよ」
「みんな、いい感じだね」
 最後に、ゆみが更衣室から出てきた。
「をををーーっ!それは!」
「へへへ。一昨年、大ブームだった伝説の水着にしたよ」
 サマーメイドだった。

「コロナ自粛で去年みたいな夏合宿は無理だけど、水着が着れて良かったね」
「だね」

 こうして、5人は短いサマーバケーションを楽しんだのだった。


今回のライブシーン
             
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