第12章 どんどんゲストさんとライブするパン

「おお!いいねが来てる!」
 その日、れみが用事でいないこともあり、あみは一人で配信スタジオに来た。と、ちょうどその時、そこにいたコがいいねをくれたのだった。
 あみはいいねをくれたコを見た。面識はないけど、フォロワーの誰かと一緒にライブしている配信で見かけたことがある気がした。一か八か声をかけてみよう。
「あの…すみません」
「はい?」
「いいねをありがとうございました」
「あ、この配信の人でしたか」
「わたし、あみっていいます。これも何かの縁。ライブご一緒しませんか?」
「ゆきたです。もちろんいいですよ。どんなコーデでやります?」
 お互いの手持ちのコーデを確認し、
「ワンダーレアのリングマリィの色変えならありますよ」
「じゃ、それでいきましょうか」
 ライブを終えると、メルパンがパンダから女の子に成長した。
「おおきくなったパン!」
 パンダだけにチャイナ風だ。
「わぁ、かわいい!」
 メルパンに癒されつつ、あみはランチをどこで食べようかと考えながらスタジオを後にした。
「久しぶりに、ごはんのお替りできる定食屋さんにしようかな…」
 あみは定食を食べ終わると、ふと思い出したように鞄を開けた。
「どうしよう…やっぱり無い!」
 近々使う予定のコーデを入れた袋が見当たらない。さっきのコーデチェックに出してから仕舞った覚えがない。
 あみは血の気が引いたまま、スマホを見た。そして…
「あれ?この書き込み…?」
 シュヤラさんが落とし物を見つけたのでカウンターに届けた旨の事を書いている。

 あみはダッシュで配信スタジオに向かった。ちょうど、シュヤラさんがいた。
「シュヤラさん!」
「あ、あみさん」
「落とし物…」
「あ、あそこのカウンターに届けましたよ」
 あみは無事、落とし物を回収できた。
「あみさんの物だったんですね。手元に戻って良かったですね」
「ありがとうございます!お礼にペアライブにご招待します!」
 そして、本日二つ目のペアライブ。
 あみは不安から安心、そして連続ライブでさすがにボーッとしてしまい、パシャリングでブランコに乗った時にスカートが大きく風をはらんでもガードできず、サービスショットを晒すことになったのだった。
「ありがとうの気持ちはあるけど、ちょっと違うなぁ…」

「たるんでいるからそうなるパン」
 事の顛末を見て、メルパンから厳しい言葉がかかる。
「心配かけてごめんね」
「わかればいいパン」
 あみは、それをふまえて、ある決意をした。
「武者修行に行こう!」

 あみは再び配信スタジオに戻った。スタジオには数人がいた。あみは知っている顔を探した。
「いちかさんと…あ、あれはおふぇりあさんかな?」
 そして、あと一人、なんとなく見覚えがあるものの、思い出せないコが。

 と、そのコがちょうど会員証をスキャンして、エントリー画面に名前が出る。
「あっ…そうか!」
 雰囲気が変わっているが、昔、フォロチケを置手紙のようにして交換したコがいた。
「あの、もしかして、昔、別の場所の配信筐体の隙間にフォロチケを置手紙みたいにして交換した事ありますか?」
「二年くらい前にあったかも…」
「やっぱり!ももいちご★さん。わたし、あみです。その時の」
「そういえば、交換できてわちゃわちゃ会の招待がありましたね」
「今からゲストさんを募ってジョイントライブやるんですけど、ご一緒にどうですか?」
「では、参加させてもらいますね」
 あみはももいちご★さんを連れて先ほど見かけたいちかさんとおふぇりあさん、そして、たまたまスタジオに入ってきたこのはさんに声をかけた。
「それじゃ、五人でライブ、スタート!」

 そして、ライブが終わった後。
「ありがとうございました。もう一本行けそうな人いますか?」
 あみは更に募集した。
「私は大丈夫ですよ」
 このはさんがOKしてくれる。そこへひなさんが来た。
「え?今からライブですか?いいですよ」
「じゃ、三人でライブしましょうか」
「実は、今、別のスタジオに、うちのグループのメンバーがいるんですよ」
 と、そんな話をひなさんがすると、まみから連絡が入った。
「たまたま一緒にライブをする事になったりくって人、ひなさんの知り合いなので配信を見るのである」
「あら、お互い、仲間同士でライブみたいですね」
「こちらは三人でやりますか」
「そうですね」
 まみがりくさんとライブをしているのと同時にあみたちもライブをした。
「あみさん」
 ライブ後、ひなさんが声をかける。
「どうかした?」
「こっちは連続ライブにしませんか?」
「いいですね」
 そのような雰囲気になったものの、このはさんは時間切れだった。
「すみませんが、お先に失礼しますね」
「おつかれさま。ありがとうございました」

「それじゃ、ペアライブですかね」
 あみがそう言いかけると、
「では、交代で私が入りましょうか?」
 はぁるる♪さんが現れた。
「いや、そこでこのはさんに会って話聞いたので」
「わぁ、いいタイミングですね」

 そして、ライブをすると、そのいいねが集まり、応援していたメルパンの体が光った。

「すくすくすくすく〜」

 これって…!

 メルパンはアイドルマスコットに成長し、あみの手を引いた。
 またジェットコースター?と思ったら、今度はメリーゴーランドだった。そして、あみはメロディープリンセスのイルミナージュコーデでイルミナージュライブをした。

 いいのかな?まだこのエリアの大会に出てないのに。


今回のライブシーン
                              
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