第3章 活動再開だっチュ

「ただいま」
「おかえりなさい」
 買い出しから寮に戻ってきたあみにれみが答える。
「グミの新しいやつ見つけたから買ってきたよ」
「どんなコーデが入っているか楽しみですね」
 二人は開封してはプリチケをトランプの七並べのように置きながら、グミをお菓子箱に入れる。と言いつつ、半分はその場で食べる。
「このハート型グミ、綺麗だから食べるの勿体ないよね」
「と言いつつ食べてるじゃないですか」
「おいしいもん」
「あ、このわんわんフットボールコーデ、かわいいですねぇ」
「ボトムスの色違いも出たし、復帰したらこれでペアライブしようね」
「楽しみですね。約束ですよ」

 それから程なく、緊急事態宣言は解除となった。

 あみは、プリ☆チャンランドに行ってみた。営業時間を短縮はしているものの、再オープンしていた。
「うーん、ライブできそうだけど、今から誰か呼ぶわけにもいかないか」
 あみは鞄の中を見た。会員証と幾つかのコーデが入っていた。
「よし。エンジェルナースコーデがあるから、コロナ収まれ、医療従事者さんありがとうソロライブで復活宣言しよう!」
 なんでもこじつけてライブ配信しようとするあたり、あみは相変わらずだ。
「医療従事者さんへのエールで青いライトアップしてたし。やさしさのブルージュエルを持っているりんかさんの曲がいいかな」

 こうして、あみたちの活動は再スタートすることとなった。
 あみはさっそくれみに電話を入れた。
「今、復活宣言ライブ、配信したよ。明日、約束通りペアライブしよう!」
「て、いきなり抜け駆けしたわけですね…」
「あ…あはは…は」
 毎度の事なので、れみは全く怒ってはいないのだが。
「ゆみ、まみとも早く合流したいですね」

 翌日。あみとれみのわんわんフットボールライブだ。
「うん、やっぱりこのコーデ、かわいいですねぇ」
「ちょっと露出が多いから、まみとかは嫌がるかもね」

 そして、ライブが始まった。

「よし、ピンクのプリたまキャッチできた!」
「あ、イースターコーデ、2色揃いましたね」
「わたしは雑誌の色違いもあるし、ゆみも持ってたはず。4人で復活祭できるよ!」
「ゆみたちを呼ぶ口実、できましたね」

 そして、その日がやってきた。

「ゆみ、まみ!久しぶり!会いたかった〜!!」
「あみ…そんなにハグしたら痛いのである…」
「前にもこんな事あったような…」
 あみは出会い頭にゆみとまみに飛びつき、ぎゅーっと抱き着いたのだった。
「あみはいきなりあの勢いで飛びつきますからね…」
「人をミル・マスカラスみたいに言わないでよ」
 あみが口をとがらせて言うが、いまいち通じていない。
「マスカラス?」
「空中殺法がものすごいプロレスラーだよ?かっこいい覆面いっぱい持っててね」
 ちなみに、まみが生まれるはるか前に活躍していたレスラーだ。
「人をって、そのマスカラスさんも人なんじゃ…」
 ゆみがつっこみを入れる。

 とにかく、ここに4人が再集結した。ついに、あみが雑誌で手に入れたイースターコーデを着て復活ライブだ!
「うさぎに卵から出たひよこ。イースターのテーマでも特にかわいいよね」
「実際のイースターの日じゃないけど、わたしたちの復活祭だもんね」
「あみはその色のコーデの付いた雑誌買ってから、ずっと言っていましたね」
「とにかく、久しぶりに本気でいくよ!」
「おー!」

 四人が気合を入れた時だった。
 キラッCHUの体が一瞬光った。
「あれ?今?」
「なにかが起きそうだっチュ!」

 そして、その光の原因はライブ後に判ったのだった。

 キラッCHUが二頭身の女の子の姿に成長したのだった。
「キラッCHU?」
「わぁ!かわいい!」
「あたしにも頭撫でさせて!」
「我がだっこするのである」
 四人はわいわいとキラッCHUをもみくちゃにする。

「キラッCHUは旅に出るっチュ!探さないでっチュー!」
 飛んで逃げようとするキラッCHUをあみが捕まえる。
「ちょっとお待ち」
「ぐえっ!」

「ごめんごめん。これからもよろしくね、キラッCHU」
「こちらこそよろしくっチュ」

 そして、ようやく、いつものようなライブ配信ライフが再開したのだった。


今回のライブシーン
            
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