第35章 だいあフェスにリベンジだよん
 ゆうきがコンビニで買い物をしていると、くみが入店してきた。
「あら?買い物?」
「うん。寮での昼と晩の。今日はさなえ居ないから簡単にね」
 ゆうきの買い物かごにはおにぎり、サバの塩焼きパックとコールスロー、ショップブランドのゆずれもんサイダーと緑茶が入っている。
「あ、この焼き魚おいしいよね。ワタシはこっちの赤魚の煮つけも好きだけど」
「骨あるけど、それも確かにおいしかった」
「ワタシも昼は一緒に食べていいかな?あ、このパスタおいしそう」
 くみはパスタをかごに入れる。
「あたしはお昼はコレかな」
 ゆうきはパスタのとなりのうどんを取る。
「最近はレンジでチンで本格的な麺類食べれて便利だよね」
「ちょっと前まではこれが至高のご馳走だったけどね」
 くみは隣の陳列棚のカップ麺を指さす。で、指の先にあるのは…
「二玉入っているペヤングソース焼きそばの大…さすがあみのお姉さん」
「いやいや、さすがにアレは分けて食べると思う。カップ麺ってだけの話」
「やっぱり、あれを一人で食べるのはあみぐらいだよね」
「そういえば、ゆうきはうどんのコーデ持ってたよね」
「うん。今度はすみっコぐらしコラボのエビフライのしっぽアクセで天ぷらうどんにしてもいいかななんて」
「ワタシはナポリタンコーデを手に入れてね。今日の二人の昼ご飯と同じだなって」
「じゃ、昼から二人で「人類は麺類ライブ」やっちゃう?」
「何それ?」
「昭和の頃、ラーメンのCMのキャッチコピーであったってあみが言ってた」
「ワタシの妹のはずなのに一体何歳なんだ、アイツは?」

 その頃、あみはというと…
「うん。やはりこの昔ばなしライブは良かったな」
 などと言いながら、先週のライブ配信を見返していた。ハッピーレアのジグソーパズル付きのお姫様六人のライブだ。
 れみが白雪姫、あみがアラビアンナイトのお姫様、まみがシンデレラ、ゆみがかぐや姫、ゆうきが赤ずきん、さなえが人魚姫だ。
「ハッピーレアですか」
 通りかかったのはれんげさんだった。
「あれ?れんげさんと…?」
 れんげさんと似たような髪型のコが一緒にいる。
「なぎさ♪です。れんげちゃんとキラキラチャイナっていうデュオユニットやってます」
「はじめまして」
「私達はハッピーレアのホロスコープコーデでライブしようかなと思って」
「あ、星座のはなかなか揃わなくて、キラチケのレインボーしか揃ってないです」
「じゃ、あみさんは虹色で、一緒にホロスコープライブやります?」
「いいですね。やりましょう」
 とまぁ、こんな感じでライブをしていたのだった。 

 翌日。まみが嬉しそうに休憩室に入ってきた。
 あみはコンビニで買ったペヤングソース焼きそばのお湯を捨てて、ソースをかけようとしているところだった。
「お、まみ。鼻いいね。これ、二玉入りで結構両るから分けてあげるね」
「ていうか、我が来なければ一人で食べてたのか…」
「最後のほう、ちょっと飽きちゃうからちょうどいいよ」
「我は別の用事で来たのだが…」
 二人は休憩室にカップ焼きそばの匂いを充満させながら席についた。
「プリパラのみかんのコーデのあろまカラーを手に入れたのである」
「本当だ。面白いね」
「今日、ゆうきとセブンスコーデライブの予定だったけど、先に形おそろいのアロマゲドンライブしないか?」
「いいね。食べたらさっそくスタジオへ行こう」
「歯に青のりが残ってないかチェックしてからね」
 まみはあみの前歯を見ながらそう言った。

 アロマゲドンライブを終えた二人が控え室に出てくると、たまたま二人組のコ達が二組いた。
「こんにちは」
 シュヤラさんとペンデュラムさんだった。
「ペンデュラムさん、久しぶりですね」
「そういえば、久しぶりですね」
「あ、あみさん!この前はどうも!」
 みるきぃさんとちゃんでぃさんだった。
「もしかして、あみさん…」
 シュヤラさんがあみのほうを見る。
「3チームジョイントライブ…どうかな」
 あみのセリフに、
「やっぱりそう言うと思ってました」

 ジョイントライブが終わって。
「そういえば、シュヤラさんたちとはだいあフェスで知り合ったんですよね」
「ですね。最初の2回は。そういえば3回目は?」
「へへ、抽選落ち。本開催待ってるうちにジュエルコレクションも終わっちゃったけど」
 あみのセリフに、ペンデュラムさんが、
「あれ?今、本開催してますよ」
「そうなの?」
「ここでも明日もやるはずですよ」
 みるきぃさんが指さす先にポスターがあった。
「うわー、皆さんに会えて良かった!さっそくエントリーしてきますね!」

 ゆうきが待ち合わせのためにスタジオに来た時には、控え室にはまみが一人で座っていた。
「あれ?まさか、あみはまた友達見つけてライブしてるとか?」
「それもしてたけど…今は明日の大会のエントリー手続きに行っているのである」
 あみが戻ってきた。
「あ、ゆうき到着?じゃ、セブンスコーデ合わせだね」
「ライブに手続きに…疲れてないの?」
「大丈夫。ゆうきが来たし」
「あたしが?」
「ほら、戦隊ヒーローとかで、青レンジャーの人が先に一人で戦ってボロボロになってるのに、赤とか他のメンバーが来たら普通に復活して名乗ったりしてるじゃない?あれと一緒だよ」
「作劇の都合と体力は違う気がするけど、まぁいいか」

 結局、実際のところ、あみは疲れに気づいてないだけで、パシャリングでスカートが豪快にめくれ上がったのをガードできず、後にれみにさんざん揶揄われることになったのだが。

 さて、翌日。だいあフェス。特に対戦ではなく、規定スコアを超えるライブをすればOKだ。
 今回のメンバーは…
「今回はさらさんの曲だから、さらさんがライブで着たコーデのレインボー版合わせはどうかな」
「それなら、あたしがジュエルコーデのレインボー版で」
 とゆみが名乗り出る。と、まどかが、
「挑戦しても、いいかな?」
 確かに、これまでは対戦のため、経験を積んだメンバーを選んでいたが、後輩のまどかとしてはなかなか機会がなかったのだ。
「そうだね。じゃ、チームコーデのレインボーを着るといいよ」

 あみたちはあっさり規定をクリアし、あみはその日のうちにだいあと同じコーデのお披露目ソロライブをしたのだった。
 懲りないというか何というか…

 そして、あみがフェスで入手したプリチケには当たりが付いていた。
「何これ…黒いダイヤモンドコーデ?」

 これが、このあと始まる事件の始まりだった。


今回のライブシーン
                                      
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