第32章 バースデーだよん

 あみは先日みらいが着ていた服を見て嬉しかった。
「あ、わたしのお気に入りの服!おそろいだ」
 そんなわけで、あみはお気に入りの服を着て買い物に来ていた。今日のミッションは、れみへのバースデープレゼントの調達だ。

 れみとあみは知り合ったその日に同じ日に生まれたことを知り、それからはずっと親友だ。誕生日を忘れることは絶対にない。
なにしろ、自分の誕生日でもあるのだから。
「あ、このポーチかわいいなぁ。プリチケ入れにも使えそう!」
 あみはあっさりプレゼントを見つけてしまった。

 と、たまたま、レジの後ろに並んだのは…
 みらいだった。まぁ、れみでなくて良かった。一応サプライズだし。
「あ、あみちゃんもその服持ってるんだね」
「うん。この前みらいさんが着てて、嬉しかったな。お気に入りだし」
「そうなんだ。でも、今日は着てこなかったよ。残念」
「あ、でも今日の服も可愛いね。ポップコーンの模様だね」
「ポップコーンだし、えもちゃん向きかもって虹ノ咲さんと話してたんだ」
「あ、デザイナーズ10の。わたしも会ったことある」
「最近、だいあちゃんの髪型にしたんだよ」
「え?だいあさんがだいあちゃん…?」
 あみは混乱しかけてから気づく。
「あ、バーチャルのだいあちゃん。そういえば、この前、黒っぽいだいあちゃんを見たよ」
「え、そうなんだ。なんだろうね」
「それってぇ、だいあのことだよ〜ん?」
 噂をすれば、黒っぽいだいあが現れた。虹ノ咲さんがよく着ているアーガイル柄の私服を着ている。
「それじゃあ、一緒にこのままライブするんだよん」
 なぜか、勢いで三人で私服ライブすることになったのだった。

 そして、誕生日の前日。にじのエルザさんが来ると聞いて、あみはれみ、ゆうきと一緒に待ち合わせ場所に向かった。
「コーデは持った?」
「もちろん」
 実は、直前にツイッターでこんな話をしていたのだった。
「にじのマーチコーデってあるでしょ」
「ありますね」
「フォロワーさんが着て、「にじのエルザコーデ!」ってやってたんですよ」
「ははは。にじのつながり」
「いっそ、私のメインのコーデにしようかな」
「じゃ、今度来られる時はみんなでにじのエルザコーデを着てライブしましょう」
「ぜひ。楽しみですね」

 さて、待ち合わせ場所に行くと、エルザさんがとうふさんと話をしていた。
「あ、こんにちは」
「ちょうど交代かな。今帰ろうとしていたところなんです」
 とうふさんは帰っていった。

「じゃ、約束どおりやりましょう」
 こうして、「本物のにじのエルザさんとにじのエルザコーデライブ」が配信されたのだった。

 さて、あみは寮に戻るとツイッターのお知らせを見た。バースデーライブの告知をしていたのだった。
 れみがそれをのぞき込む。
「参加者いますか?」
「参加表明は…3件!とうふさん、このはさん…あれ知らない人がいる…」
「当日の朝、探してみましょう。あと、ミラクル☆キラッツとメルティックスター、どちらも参加してくれるそうですよ」
「わたし達が9人、ゲストが8人か、この方に会えたら9人ですね」

 そして当日。
 少し早く会場入りしたあみは参加表明してくれた人を探したけれど見つからなかった。しかし、
「おめでとうございます!」
 声がかかった。まもるさん、エルザさん、める、だいあだった。
「今年も来たよ」
 そういえば、まもるさんは去年も来てくれていた。
「昨日、とうふさんから聞いていたんだけど、急に予定が空いたのでサプライズでね」
 と、エルザさん。なんでも、最近流行しだした新型コロナウィルス肺炎の関係で用事がキャンセルになったらしい。
「感染症、怖いよね。ライブのあとはうがい、手洗いだね」
「ま、なにはともあれ、おめでとう!」
 ここで盛り上がっていると、通りかかったコが一緒に拍手でお祝いしてくれたけど、探しているコではなかった。

 しばらくして、とうふさんが到着。
「やっとお祝い返しできるね」
 このはさん、ゆうき、まみ、ミラクル☆キラッツが次々と到着。
「おめでとうございます!」
 さら、ゆみ、まどか、みぃも到着。
 最後にあんなとさなえが入ってきた。
「よし、揃ったね」
「コロナウィルス肺炎が流行っているのにこんなに集まれて良かったね」
「まぁ、中国に近いし、集団感染したクルーズ船が日本にいるから気になるけど、インフルみたいに全国ってわけじゃないしね」
「来れなくても、あまねさんやはぁるる♪さん達からもメッセージも届いていたよ」
「とにかく、楽しいライブにしようね」
 こうして、大人数ライブとパーティーは大盛り上がりだった。
「わぁ、さっそく配信にいいねがきてるよ」
「なでこさん、あいきさん、あと、知らない人も。あ、参加表明の人もいいねくれてるよ」
「良かった。参加できなくても、見てくれたんだね」

 さて、パーティーが終わって。あみはれみを呼び止めた。
「れみ」
「どうしたんですか?」
「はい。誕生日おめでとう」
 れみは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに、
「はい。私からもおめでとう」
 あみにプレゼントを渡した。そして、二人は同時に包みを開けた。
「あれ?同じポーチ!」


今回のライブシーン
                               
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