第29章 全員ジュエルコーデゲットだもん

「ルミナスプラネットコーデ、青が揃った!」
 ゆうきが嬉しそうに休憩室に入ってきた。
 休憩室では、あみ、れみ、まどか、ゆみがお茶していた。
「おー、おめでとう。と言いつつ、あたしは全然持っていないんだよね」
「私も紫がいくつかあるけど揃ってませんね」
 ゆみもれみも合わせるコーデがなかった。実際、他に誰も色違いを持っていなかった。
「あ、わたし、宇宙つながりで、この前の福袋のぷちゅうコーデあるから、ペアライブしようよ」
 あみが代替案を出し、今日の配信が決まる。
「はぁ…」
 まどかがため息をつく。
「まどか、どうしたの?足りなかったら新しい小袋開けるよ?」
 あみがお徳用おにぎりせんべいの大袋を取り出す。テーブルの上には空の小袋が三つあるだけだった。
「あ、せんべいが足りないんじゃなくて…」
「飲み物?」
「ううん、ちょっと別の話。先輩たちが次々ライブを企画して実行するの、見習いたいなって」
「うーん、そこまで真剣なものでもないんだけどな…」
 まどかは、自分だけジュエルコーデをまだ手に入れていないことで悩んでいるのだった。
「あみの場合、まずはフィーリングと勢いかな」
 ゆみが分析する。
「この前なんて、あんなさんとお揃いのコーデが自分のイニシャルと同じだからと言ってソロライブに行ったのに…」
「ああ、あれね」
 あみ達が頷く。
「たまたま、この前の認定会の情報提供のお礼に話しかけてきてくれたはぁるる♪さん達と問答無用でジョイントしたもんね」
「だって、見たことないニコチケのPRコーデをお揃いだったから、ついね」
「…そうなんだ」
 そこへ、あみになでこさんから連絡が入った。
「ゆうき、ゆみ。なでこさん達、到着したみたいよ」
「…えっ?」
 まどかが驚いているうちに三人は出て行った。
「この前、認定会で知り合って、なでこさんのグループとジョイントする約束してたみたいですよ」
 れみが解説してくれる。

 あみ達はなでこさんとの待ち合わせ場所へ向かった。
「こんにちは。さっそくジョイントが実現しましたね」
「えっと、ゆみはなでこさんとは会ってたよね。ゆうきは初めてかな」
「うん。よろしくお願いしますね」
「こちらこそ」
「えっと…」
 あみもなでこさんの仲間とは初顔合わせだ。
「ウチのメンバーのはじめとたくすです」
「よろしくお願いします」
「ゆみはこの前のパクトエラーのホーンテッドヴァンパイアだっけ」
「うん」
「じゃ、あたしもパクトエラーでジュエルと違う色になったエジプトクイーンにしようっと」
 ゆうきも同調する。
 なでこさん達は各々お気に入りのコーデのようだ。
「なでこさんは今日はくらげじゃないんですね」
「あれ、人数多いと、他の人隠しちゃったりしますしね」
「ここまできて、あみさんはどのコーデにするんですか?」
「え?こないだ福袋で出たやつだけど…」
「微妙に変化球…」
 とはいえ、別にテーマが決まったライブでもないので、みんなが思い思いのコーデでライブするのはよくあることだった。
 次の日。まどかはあみをこっそりつけてみた。
 あみは特に用事がある感じでもなく配信スタジオに入っていった。
「何か情報になるツイートはあるかな…ふーむ、おすすめユーザーも知らないコばかり…ん?」
 あみはスマホとスタジオにいた先客のコを見比べた。
「すみません。あの…これは」
「あ、私ですね。私がかり〜な♪です。」
 たまたま、おすすめユーザーとして出ていたコに出くわしたのだった。
「ちょうど、フォロワーさんらしき人のフォロチケ見つけて一緒にライブすることになったんですけど、まだ時間かかるみたいで…」
「わたしも知り合いと会う予定あるんですけど、早めに来てるんですよ」
「そうなんですね」
「せっかくですし、待ってる間に一緒にライブ、やりますか」
「そうですね。よろしくお願いします」

 ペアライブが終わると、かり〜な♪さんのフォロワーの人が入ってきた。
「あれ?あいきさん?」
「あみさん?かり〜な♪さんと知り合いだったんですか?」
「さっき知り合ったんですけどね…」
 もしかしたら、このつながりでおすすめユーザーだったのかも。
「じゃ、せっかくなので三人でライブしましょうか」

 まどかはその様子をずっと見ていた。確かに勢いだけでライブをこなしている。
 と、あみがスタジオの出口に向かって歩いてくる。あれ?他のコと会うっていってなかったっけ?

 不意をつかれたので、まどかはあみと鉢合わせしてしまった。
「まどか?」
「あみ!」
「偶然だね。これから本屋行くんだけど、一緒に行く?」
「え、あ、うん」

 あみは漫画コーナーで一冊の本を手に取った。
「『ウチのとこでは』?」
「この前、兵庫県庁の食堂へランチしに行った時、県の地方ごとの県民性ネタのポスター貼ってて、めちゃ笑ったんだよね」
「例えば?」
「神戸の人は山が北、海が南と覚えるから、他の土地で迷子になるとか」
「あ、あるある」
「この漫画から取ってるみたいだから読んでみたいなと思って」

 あみは本屋を出ると、
「このあと、待ち合わせがあるんだよね」
 と言いながらスタジオのほうへ歩いていく。まどかも何となくついていく。

 スタジオの入り口に来たら、このはさんがいた。
「あ、ごめんなさい。待たせちゃいましたか」
「いえ、今来たところですよ。そもそも、今から中へ入ろうとしてたんですからね」
「あ、それもそうか」
 三人は中へ入る。
「はい。これ」
 このはさんがレインボーおおかみトップスのキラチケをあみに手渡した。
「ありがとうございます。キラチケなのに、本当にわたしのフォロチケと交換でいいんですか?」
「ええ。猫ちゃんコーデライブをしたかったので」
 あみはキラチケの裏を見た。
「あ、手書きイラスト!かわいい!このはさんの自画像ですか?」
「ええ。気に入ってもらえればいいんですけど」
「ありがとうございます!大切にしますね」
「さっそく、試着ライブします?」
「ぜひやりましょう!まどか、どうする?」
「あ、今コーデ持ってないから…見学するね」

 ライブ後、このはさんと別れて、あみとまどかは寮へと歩いた。
「やっぱり、あみはすごいね。ポンポンとライブできて」
「思い切ってライブ誘えばいいんじゃないかな。みんな、ライブするのは好きなコばかりだよ」
「さっきのこのはさんのコーデ、すごく可愛いコーデだったね」
「あれ、プリパラで、のんさんが分身して来てたコーデの復刻だね」
「そうなんだ」
「プレゼントボックスで見た気がするなぁ」
「買わなかったの?」
「確か、クールはなかなか手に入らず、雑誌に付いていた色違い使った気きするけど、探せばあるかもって後回しにしてる」
 そんな話をしながら、二人は寮に戻った。

 次の日の朝、まどかは朝から配信スタジオへ行き、プレゼントボックスを確認した。
「あみの言ってたクール、このはさんとお揃いのラブリーの他にポップもあるんだ…」
 まどかはコーデを買うことにした。
「ポップ、ジュエルと同じ黄色だから、着てみたいな…」

 そして、まどかはあみの所へ向かった。電話してみると、ちょうどゆうきと近くにいるようだった。
 あみは近くのコンビニのイートインでゆうきとから揚げを食べながら雑談していた。
「あ、あみ!急に電話して合流したけど大丈夫?」
「うん。もちろん。から揚げ、一つ残してるよ」
「あ、ありがとう」
「で、どうしたの?」
「うん。トライアングルコーデが気になったから買ってきたんだ」
「ほう」
「で、あみとゆうきとなら、持ってるジュエルの色に合わせてライブできると思って」
「なるほどね。面白いね」

 三人はから揚げを食べ終わったゴミを捨てると、さっそくライブ配信に取り掛かった。
 そして、ライブが終わると…
「キラにちは〜」
 だいあが上空から降ってきた。そして、まどかの手を取った。
「ジュエルチャンス、一緒にいくんだもん!」
「うん!」

 こうして、まどかも無事ジュエルコーデをゲットし、全員がジュエルアイドルとなったのだった。

「おめでとう!まどか!」>
「ありがとう」
「このまま、お披露目ソロライブやっちゃう?」
 あみの振りに、まどかは満面の笑顔で答える。

「うん!行ってくるね!」


今回のライブシーン
                                  
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