第26章 クリスマスだもん
「そういえば、あみってよくゲストさんとライブしてる割に、仲間内のライブも多いよね」
みぃが配信動画を見ながら言う。今は休憩室でれみ、まみ、あみと四人でお茶しながらの休憩だ。
「ゆみと三人でやったライブの前にさなえとのお嬢様ペアライブ、まみ、ゆみとキラッツの私服を真似してみたライブやってるもんね」
「ははは、ライブ、楽しいもん。いくらでもできるよ」
画面ではキラッツ私服ライブが流れている。と、れみが急に一時停止を押す。
「どうしたの?」
あみが聞くと、れみはニヤリと笑ってコマ送りする。
「このターンで、あみのスカートが翻って、一瞬見えちゃうんですよ」
「…!い、一応防御してるもん!」
確かに黒いスパッツがのぞいている。
「まぁ、冗談はさておき」
「…をい!冗談かいっ!」
れみの切り出しにあみがツッコむ。
「私とまどかはまだジュエルコーデ持ってないんですよね」
「そういえばそうだね。あ、お姉ちゃんもかな?」
「くみさん、きぼうのホワイトジュエルコーデゲットしたって言ってたよ」
「なぜ妹のわたしの知らないことをみぃが…」
くみは一時帰国を終えてまた海外にいる。
「じゃ、クリスマスまでにれみにジュエルコーデを取らせるのだ!」
まみが立ち上がる。
「実は、このコーデをゲットしたのである」
ファントミクローバーのコーデだった。
「れみはダイヤ、あみはハート持ってるよね」
「残念ながら、ボクはスペードを持ってないな…」
みぃが残念そうに言う。
「心配無用なのである」
まみはゆうきを呼び出した。
「完全に始まってる!」
ゆうきがスペードを持っていたのだった」
ファントミラージュなりきりライブの次は、
「よし、わたし、やっとフェニックスフレアコーデ手に入れたから…」
「でも、色違いのクジャクの入ったコーデセット持ってないよね」
「代わりにこれがあるから大丈夫です」
れみはディアクラウンサイリウムコーデの色違いを出した。
「確かにクジャクっぽいね」
クジャクとフェニックス。形も違うから、それはそれでいい感じだった。
あみが「やってみた」で炎の演出を出した。
「…焼き鳥」
結局、まだれみはジュエルチャンスを発生させていない。
「いっそ、ソロライブしたらどうだい?」
みぃが提案する。
「じゃ、すずさんの私服の色違い貸してあげるね」
あみがコーデを渡す。
「仕返しですか?」
この服の丈も短い。
れみがソロライブを終えると、ジュエルパクトが降ってきた。
「…これは!」
「キラにちは〜」
だいあが降りてくる。
やった!ジュエルチャンスだ!
数日後。あみは配信スタジオでたまたま色違いのコーデを着たコに会った。
「あれ?どこかで見かけたような…」
「つぼちゃんのツイッターのフォロワーさんですか?」
「あ、そうです。あみっていいます」
「とうふちゃんのグループのこうやです」
そうか。それで見たことあったのか。
こうやさんとのライブを終えると、ゆうきがいた。
「おつかれー。エアギター面白いよね。あたしもやりたいな」
「三人でエアギターできる曲もあるけどね」
あみが答えると、
「ごめんなさい。私は他に用事があるので…」
こうやさんは帰っていった。そして、入れ違いにいちかさんが入ってきた。
「あら、あみさん。こんにちは!」
「いちかさん!今日、ちょうど前に話したゆうきと一緒なんですけど、一緒にライブどうですか?」
「いいですよ」
そして、いちかさんはくみと同じきぼうのホワイトジュエルコーデだった。
「これがきぼうのジュエルコーデ…」
「もし良かったら色違いでやりますか?」
「ぜひぜひ!」
ゆうきはブルー、あみはピンクで三人でエアギターを楽しんだのだった。
あみとゆうきがいちかさんと別れて帰路につこうとすると、まみから連絡があった。
「今から、れみのジュエルコーデ祝賀会を兼ねてみんなでプリパラに行くのである」
あみとゆうきが合流すると、すでにまみ、れみ、ゆみ、みぃ、さなえ、まどかは集合していた。
「せっかく8人いるし、8人ランウェイやろうよ」
「あみ、マイサイリウム持ってる?」
「うん。みんなで光れるよ」
こうして8人全員のライブをしたのだった。
ふと、さなえが言った。
「プリパラでは、トモチケで仲間を呼び出せるんだよね」
「そりゃそうだよ」
「だったら…」
さなえがみぃに一枚のトモチケを渡した。
「使ってみて」
「ボクが?」
みぃがトモチケをスキャンする。
「おひさしぶりにゃ!」
あみやさなえには懐かしい声と共に現れたのは…
「あれ?なんでみぃがもう一人いるにゃ?」
「ボクと同じ顔…」
みぃが言い終わる前に、現れたもう一人のみぃにさなえが泣きながら抱きついた。
「会いたかった…!」
さなえが提案したのはプリ☆チャン世界のみぃとプリパラ世界のみぃのペアライブだった。
「事情はわかったにゃ。みぃもそっちへ行きたかったにゃ」
「だからボクはみんなと出会えたのかもしれないね」
「じゃ、ちょっと早いクリスマスの奇跡。一人ペアライブをごらんあれ」
「そっちのみぃ、みんなの事、よろしくにゃ」
「もちろん。きっと、ボクたちの魂はどこかでつながっているから」
「心は一緒にライブするにゃ」
「ああ」
みぃとみぃはがっちりと握手をかわした。
八人が戻ってくると、そこに声がかかった。
「ひどいなぁ。ワタシをのけ者にして楽しんでくるなんて」
「お姉ちゃん?」
くみだった。
「クリスマス休暇で一時帰国して、今着いたところでね。誰もいないから店長さんに聞いたら全員で遊びに行ったって」
「帰ってくるの知ってたら、一緒に行ってましたよ!」
「あ、別に怒ってないから…」
「でも、クリスマスライブはみんなでやりたいね」
「今のうちにライブ撮って、クリスマスに配信しようか。全員だと編集もいるし」
そんなわけで、急きょクリスマスライブをすることになった。
「じゃ、お姉ちゃんはサンタね」
「あたしとまみは去年の色違いサンタでいいかな」
とゆみ。まみも頷いている。
「ボクはプリパラのボクと共有したいからプリパラのプレゼントやジンジャーマンクッキーのついたコーデにしよう」
「みぃがそうするなら、プリパラのクリスマスオーナメントのコーデもいいかな」
と、さなえ。
「それなら、今年の新作コーデ3種類はどうしよう」
「あたしはすみっコぐらしのクリスマスコーデがいいな。すっごくかわいいし」
「私は自分でゲットしたほうの新作にしますね」
ゆうきとれみが決める。
「あ、後輩らしくケーキのコーデにしておきます」
そういうまどかに、
「新作でもいいんだよ。わたし、どのみち食べ物キャラだし」
「いえ、ゆうきの緑もそうなんだけど、赤いカラータイツかわいいなって思って」
「それなら、わたしが残った新作着るね」
クリスマス当日。あみとゆうきは買い物に来ていた。
「さて、プレゼント交換のも買ったし、あとはシャンメリーとチキンとケーキだね」
「食べ物買う前に、あみに一番のプレゼントしようかな」
「え?どうしたの?」
「クリスマスライブ、先にやっちゃって、本当は今日もライブしたいんじゃない?」
「図星だ…」
「だから、今ここでゲリラライブしない?」
二人は顔を見合わせて、ニヤリと悪戯っぽく笑って頷いた。
今回のライブシーン
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